原告 O P SOLUTIONS INC.

                    対

          被告 INTELLECTUAL PROPERTY NETWORK LTD.

                96 Civ. 7952(LAP)

          ニュー・ヨーク州南部地区連邦地方裁判所

              1999 U.S.Dist.LEXIS 16639

               登載 1999年10月20日

原告 O P SOLUTIONS,INC.側法廷代理人:Melvin C. Garner, Darby & Darby P.C. 法律                   事務所、ニュー・ヨーク州、ニュー・ヨーク。

被告 INTELLECTUAL PROPERTY NETWORK LTD.側訴訟代理人: Alan L. Shulman,

            Silverman & Shulman P.C. 法律事務所、ニュー・ヨーク州

            ニュー・ヨーク。

裁判官: 連邦地方裁判所裁判官 LORETTA A.PRESKA

意見執筆:LORETTA A.PRESKA

意見:事実認定および法的結論

連邦地方裁判所裁判官 LORETTA A.PRESKA

  本訴訟において原告は、コンピュータ・ソフトウェア・プログラムの著作権の侵害等を主張して提訴した。当事者が知っていると思われる以前のメモランダムおよび決定において、本官は略式判決を求める当事者の交差申立を却下した。参照、O.P.Solutions,Inc.v.Intellectual Property Network, Ltd.,1999 U.S.Dist.LEXIS 979, No. 96 Civ. 7952,1999 WL 47191, at*21 (S.D.N.Y. 1999)(以下「O.P.Solutions 」)。その時当事者は Acuff-Rose Music v. Jostens, Inc., 155 F.3d 140, 143(2d Cir.1998) 事件で明示された手続に従い、かつ略式判決を求める申立に関して集積された記録に基づき、略式手続において争われていた著作権の争点を解決する選択権を与えられていた。参照、 O.P.Solutions, 1999 WL 47191, at *21。そうするに当たって当事者は、その争点に関する本格的正式審理の権利を放棄することに同意した。参照、同上。両当事者が事実認定の提案の追補および審理前の意見書を提出した後に略式手続が行われ、そこで主として争われているプログラムからのさまざまの画面より成る証拠物が提出され、弁論が行われた。連邦民事訴訟規則 52(a)条に従い、本官はここに以下の事実認定を行い、法的結論を下す。[注 1]

[注 1] 本官の以前の決定において、類似点の項目106 および107 を取上げることを怠ったようである。それらの要素は方法またはプロセスであるから、それらは保護されるべき要素ではないと認定する。

I。事実認定

管轄権事実

  原告 O P Solutions, Inc.( 「OPS 」または「原告」)はニュー・ヨーク州法人で、主たる営業所をニュー・ヨーク州ニュー・ヨークにおく。被告 Intellectual PropertyNetwork, Ltd. (「IPN 」または「被告」)はデラウェア州法人で、その営業所をニュー・ヨーク州ニュー・ヨークにおく。本件は 1976 年著作権法(修正、17 U.S.C. §§ 101以下)に基づく著作権侵害の訴えであるから、適正に本官によって審理さるべきである。 

OPC の著作権所有に関する事実

  OPS および IPNの両者ともに、特許および商標の申請を行うことに関する情報を会社および法律事務所が扱うことを助けるコンピュタ・ソフトウェアのデザイン、開発、サービスを行っている。(参照、原告の事実認定の提案(「OPS PFF 」) 、PP 1-3,5; IPN の事実認定の提案(「IPN PFF 」)P 3)。OPS は1991 年合衆国で最初に発表されたPATTSY FOR DOS - DATAEASE VERSION (「PATTSY DOS」)という題のコンピュータ・プログラムを作成した。OPS は同プログラムの著作権の唯一の所有者であって、登録番号TX4-326-954 は著作権登録官によって発付され、1996年9月22日に発効した。(参照、OPS PFF PP 8,22,23)。

OPS は PATTSY DOS を基にしたコンピュータ・ソフトウェアをさらに2つ作成した。それらは PATTSY FOR WINDOWS - DATAEASE VERSION  (「PATTSY WINDOWS」)および PATTSY FOR WINDOWS - MS ACCESS VERSION (「PATTSY MS ACCESS」)である。PATTSY WINDOWSは1994年10月に合衆国で最初に発表された。OPS は同プログラムの著作権の唯一の所有者であって、登録番号 TX4-296-798は1996年9月6日著作権登録官が発付した。同様に、OPS は PATTSY MS ACCESS の著作権の唯一の所有者であって、登録番号 TX4-296-799は1996年9月6日著作権登録官が発付した。PATTSY MS ACCESSは 1996 年3月1日頃、合衆国で最初に発表された。(参照、OPS PFF PP 9,11,12,14,24-27; IPN PFF P7 )。

  上記の3つのコンピュータ・プログラム(併せて「PATTSY」)は、ユーザーに合衆国および外国の特許と商標の申請、登録、訴訟、およびその特許と商標に関する行政手続の推移を追うコンピュータ・ソフトウェア・プログラムである。(参照、OPS PFF P 15)。

IPN の WorldMark 4.0に関する事実

  IPN も商標実務処理プログラムの開発と販売を業とする。1986年 IPNは商標/特許処理を行う同社の最初のコンピュータ・プログラムを発売し、以来さらに6つのプログラムを発売した。

  IPN は 1996 年の初め WorldMark 4.0(「WM 4.0」)という商標処理コンピュータ・プログラムを発表した。WM 4.0は Microsoftの Visual Basic Programで書かれた。OPS は発表の日を争っているけれども、両当事者は PATTSY DOS が WM 4.0 以前に作られたことを争ってはいない。(IPN PFF P 5;被告による事実の記述の提案に対する OPSの異議

(「OPS Reply PFF 」)PP 4-6)。

  IPN は 1996 年の末、または 1997 年の初めのある時点で、商標申請の処理のための新しいソフトウェア・プログラムを発表した。その新しいプログラムは WorldMark 4.1 (「WM 4.1」)と呼ばれ、WM 4.0をグレードアップしたものであった。

特許/商標プログラムに関する事実

  PATTSYや WorldMarkのような、ユーザーが商標のポートフォリオ(portfolio)をうまく処理することを可能にするソフトウェア・プログラムにはいくつかの機能がなければならない。それらは(1) ユーザーの依頼人各自に関する一般情報および各依頼人の特定の 申請に関する情報を収集、記憶すること、(2) 商標の[申請を]うまく実行する間に取るべき各処置を確認すること、(3) その処置を行うに当たってとられた各行為に関する情報を記録すること、(4) 特定の処置がとられた日時に基づき、次に必要な処置がとられるべき日時を計算すること、(5) 「要録通知」(docket notification)サービスを行うこと、すなわち、法律事務所または会社法務部の責任者に切迫した最終期限を知らせること、である。(IPN PFF P 9; OPS Reply PFF P 15 )。一般に WM プログラムとPATTSYプログラムは、弁護士が最終期限を追い、間に合うことを助け、申請中「フォローアップ」処置をとることを促す。(IPN PFF P 11; OPS Reply PFF P 15) 。

コピー行為に関する事実

  PATTSY DOSは 1991 年以来一般に入手できた。1992年から、PATTSYはそれだけで展示され、またはOPS スタッフが展示することもあった。OPS スタッフは、アメリカ知的財産法協会(American Intellectual Property Law Association)( 「AIPLA 」)および国際商標協会(International Trademark Association)(「INTA」)が組織した業界会議場の展示ブースで、関心のある人にそのプログラムの能力を実演した。INTAの会議場でのPATTSYの実演に加えて、OPS スタッフは実演ディスクを配った。それにはPATTSY画面を表示するソフトウェアが入っていて、利用できる機能を詳しく述べていた。

(Siskind 陳述書 PP 10-12 )。

                       

  1994年以前は、IPN と Bureau Geversは別の会社であった。Bureau Gevers は IPSのように、商標ソフトウェアを販売したが、その活動は合衆国ではなく主としてヨーロッパに限られていた。Bureau Gevers が販売したプログラムの1つは Markordを呼ばれた。

Jean L. Pireは 1992 年にBureau Gevers の仕事をしていた人であるが、後にIPN の経営幹部の地位についた。(Siskind 陳述書 PP 13-14 )。

  1992年−1994年間の何度かのINTA会議で、OPS 展示ブースのOPS スタッフは Pire に対し PATTSY の実演を行い、実演用コンピュータ・ディスクを与えた。(同上 P 14 )。その上 IPNと Bureau Geversは 1994 年と 1995 年の5月の INTA 会議の際、自分の製品を売るためにブースを設けた。IPN ブースは PATTSY が展示されているOPS ブースに非常に近いことがよくあった。Mr. Laurent Delrieu は、後に WM 4.0 を開発したプログラマーのチームのマネージャーになったが、彼は 1994 年5月の INTA 会議の時に Bureau Geversブースの人員配置を行った。

               

  IPN が PATTSY のアクセス・コードまたはソース・コードにアクセスしたとは主張されていないけれども、IPN が上記の業界会議に参加し、Bureau Geversに雇われた何人かの者が PATTSY の実演資料を受取ったことは争われていない。

  IPN は WM 4.0 プログラムが独自に作られたというその主張を支持する陳述書を提 出している。IPN は WM 4.0 が実際Worldmark Dos, Worldmark-Conflicts, Worldpat Dos, World IPR, Markord 3 の各コンピュータ・プログラムから派生したものであると主張する。(参照、Laurent Delrieu の陳述書(「Delrieu 陳述書」)P 8 )。これらのプログラムは WM 4.0 が出来る前に開発されたものである。(参照、同上)。しかしWM 4.0はそれらの以前のコンピュータ・プログラムとはプログラムの外観(appearance) を構成するコンピュータ画面、特にそれらのコンピュータ画面上のフィールドの配列および選択の点で、実質的に異なっていると本官は認定する。(Delrieu 陳述書の証 A-Eを比較せよ)。

  本官は、原告が証拠となる類似性(probative similarity) の立証責任を果たしたと認定する。本官は、両当事者から共同で当裁判所に提出されたPATTSYプログラムとWorldMark プログラム間の160 以上の類似点のリストを検討した。さらにその類似点のリストと提出されたその他の資料とを比べて、実際に類似点が存在するかを決定しようとした。本官は、コロンビア大学のコンピュータ学の準教授 Dr. Kenneth Ross の陳述書(「Ross陳述書」)を特に注目する。同氏は、もし彼のデータベース・クラスの学生から宿題の答案としてPATTYSY プログラムと WorldMarkプログラムを受取ったなら、彼は「甲の学生が乙のをコピーしたとしか結論はあり得ない」と述べた。(Ross陳述書 P11)。本官は、WM 4.0とその先行物との間の外観の食違いに関する IPNの説明(すなわち、同プログラムは異なるチームにより作成され、異なるプログラム言語で開発されたからだという(Delrieu 陳述書 P 11))が、その非類似点を十分に説明するものとは認めない。

  それぞれのプログラムの保護され得る要素の実質的類似性に関する事実は、法的基準の適用と極めて密接に絡み合っているから、それらの事実は以下にもっと詳しく述べる。

U。法的結論

  以前の決定で述べたように、本訴訟はコンピュータ・プログラムの非文字的要素の著作権侵害を主張する大抵の訴訟とは異なっている。本件では原告が主として画面表示、すなわち「ユーザー・インターフェイス」の保護を求めている点である。

                                       


参照、O.P.Solutions, 1999 WL 47191, at  **10-11 。本質的に OPSは、プログラムのユーザーの前のコンピュータ画面に現れる PATTSY プログラムの特徴の選択と配列を保護しようとする。これとは対照的に、Computer Assocs.,Int'l Inc. v. Altai,Inc.,982 F.2d 693 (2d Cir.1992)(「Altai 」)事件における控訴裁判所の判決が焦点を当てたのは、ユーザーが見、それと相互作用する画面表示、表、データ・フィールドをそれ自身で生み出す現実のプログラムの組織的構造であった。参照、同上 at 697-98(フローチャート、チャート、モジュール、パラメーターのようなコンピュータ・プログラムの要素を保護する)。同判決は、画面表示やユーザー・インターフェースはプログラムの非文字的要素としての著作権保護を正当化するものであることは、十分に確立されていると述べた。参照、Mitek Holdings Inc. v. Arce Eng'g Co., 89 F.3d 1548, 1556, n.15 & n.16 (11th Cir.1996); Engineering Dynamics, Inc. v. Structural Software, Inc., 26 F.3d 1335 (5th Cir. 1994); Harbor Software Inc. v.Applied Systems, Inc., 925 F.Supp. 1042, 1046 (S.D.N.Y.1996)( 「Harbor I」)(著作権保護をコンピュータ・プログラムの生み出す画面表示に及ぼしている);Manufacturers Technologies, Inc. v. Cams,Inc., 706 F.Supp. 984(D. Conn. 1989)(同上)。

A.法的基準

  著作権侵害の主張で勝訴するには、原告は(1) 有効な著作権の所有、(2) 著作物のオリジナルな構成要素のコピー行為、を証明しなければならない。参照、Feist Publications, Inc. v. Rural Tel.Serv. Co., Inc., 499 U.S. 340, 361, 111 S.Ct. 1282, 113 L.Ed. 2d 358 (1991) 。本件では原告は PATTSY プログラムを合衆国著作権局に登録した。それは有効な著作権の所有の一応の証拠となる。参照、17 U.S.C. §410(c)。IPN は原告がその略式判決を求める申立の第一の要件を充足したことを争わなかった。そしてIPN は一応の前提の反証となる証拠を他に提出していない。

  Feist 事件で明確に述べられた第二要件 -- すなわち、オリジナルな構成要素のコ ピー行為 -- は、それ自身別々の2つの要素から成る。第一の要素は、被告が事実問題として、原告のプログラムの部分をコピーしたかどうかである。参照、Mitek Holdings Inc., 89 F.3d at 1554 。第二の要素は法と事実の混合争点として、「コピーされたプログラムの諸要素が保護される表現であり、かつ、コピーされた著作物にとってその盗用が訴訟提起できるほどの重要性があるかどうか、である」。同上。この第二の要素はまた、その著作物が著作権保護を相当とするに十分なほど創造的またはオリジナルでなければならないということである。参照、Matthew Bender & Co., Inc. v. West Publ'g Co., 158F.3d 674, 681 (2d Cir.1998) (「Bender」)。そこでこれらの原則の適用に移る。

1 。現実のコピー行為

  現実のコピー行為という問題に関して、本官の以前の決定において断定はしないで、

IPN が実際 PATTSY のコピーをしたと仮定した。この争点は今や事実認定者として、適正に本官によって審理されるべきものであるから、本官はOPS がコピー行為の立証責任を充足したものと認定する。本件でOPS は、間接証拠でIPN が PATTSY をコピーしたことを証明することを選んだ。そうするに当たって原告は、(1) 被告が原告の著作権のある著作物にアクセスしたこと、(2) 被告の著作物は原告の著作物に「証拠となるほど類似している」[注 2]ことを証明しなければならない。参照、O.P.Solutions, 1999 WL 47191, at *3;Altai, 982 F.2d at 701; Repp v. Webber, 132 F.3d 882, 889 (2d Cir.1997) 。

  [注 2]  本官の以前の意見で述べたように、控訴裁判所は「実質的類似性」よりもむしろ、分析のこの段階を表すのに「証拠となる類似性」という語の使用を採用した。それは侵害分析における別個の、かつ後の段階を示す「実質的類似性」の使用より生ずる混乱があるためである。参照、Repp v. Webber, 132 F.3d 882, 889 n.1 (2d Cir.1997) 。

  アクセスに関して原告は、被告が侵害された著作物を見る合理的機会、またはそれをコピーする合理的機会を有したことを証明することによって、その最初の責任を果たすことができる。参照、Autoskill v. National Education Support Systems,994 F.2d 1476,1490 (10th Cir.1993)( 3 Nimmer on Copyright  §13.02[A] & n.5, at 13-15 to 13- 16を引用)。原告は本件でその責任を果たした。IPN は、その従業員が PATTSY のソース・コードまたはオブジェクト・コードにアクセスしなかったと主張するが、結局は IPNの従業員になった Mr.Pireが PATTSY の実演を受け、その実演ディスクを貰ったことは否認していない。その上 IPNは、業界会議場で OPSが PATTSY を販売していた期間中、PATTSYの実演を見ることができる所にブースを持っていた。従って、アクセスは証明されたのである。

  証拠となる類似性を考察する場合、事実認定者は著作物の中の保護に値しない要素を考察しても不当ではない。本件において両当事者は類似点の長いリストを提出した。その類似項目全部を考察して、これには略式判決の申立を却下した際に本官が除去した項目も含まれるが、PATTSYと WM 4.0 には全体として、証拠となる類似性ありと認定する。

2 。オリジナリティ

  IPN は OPSが著作権保護のオリジナリティの要件を充足したことはないし、充足することはできないと論ずる。(参照、被告 IPNの事実審意見書 at 1 )。オリジナリティの要件は、制定法上および憲法上の双方の要件で、それを充足するには著作物が「独立の創作」の結果でなければならないし、著作者はその創作には「少量の創作性」があったことを立証しなければならない。参照、Feist, 499 U.S. at 346;Key Publications Inc.v. Chinatown Today Publ'g Enterprises, 945 F.2d 509, 512-13 (2d Cir.1991) 。編集著作物の著作者は、「どの事実を含めるか、どの順序でそれを並べるのか、収集されたデータを効果的に読者が使用することができるようにどう配列するのか」の選び方で、必要な創作性を立証する。 Feist, 499 U.S. at 348 。諸裁判所は、オリジナリティは越えるべき低いハードルだと繰返し強調してきた。例えば、参照、Feist, 499 U.S. at 345; CCC Information Services, Inc., 44 F.3d 61, 67, 69-70(2d Cir.1994); Kregos,937 F.2d 700, 706 。Feist 事件において編集著作物に関し連邦最高裁判所がオリジナリティの基準を論じた時述べたように、「確かに、創作性の要求されるレベルは極めて低い。ほんの少量でも十分である。ごく容易にその程度に達する著作物はおびただしく存在する。『どんなに粗雑、貧弱、または分かりきったものであろうとも』それらは何らかの創作的火花を持っているからである」。499 U.S. at 345 (引用判例省略)。

  PATTSYの商標画面上の用語とフィールドの選択は創作性を欠くという IPNの主張は、

Bender事件における控訴裁判所判決を援用する。Bender判決の裁判所は、以下の場合編集著作物は典型的に創作的火花を欠くと判示している。(1) 業界の慣行その他の外的要因により選択が決定され、その結果、そのタイプの事実を編集する人は誰であっても、必然的に情報の同じ範疇を選ぶであろう場合、(2) 著作者が分かりきった、ありふれた、または型通りの選択をした場合、(3) 著作者にごく少量の選択権しかなかった場合。参照、158 F.3d at 682-83。その上、同裁判所は裁判所がそのような決定をしなければならない場合、侵害を避けるために人はどうしなければならないだろうかを考察すべきであると述べた。参照、同上 at 688 。

  総じてIPN は、画面レイアウトとフィールド名そのものの両者はオリジナリティの要件に合致することはないと論じている。その議論は本官の以前の決定を誤って解釈するものである。同決定において本官は、その画面レイアウトが著作権保護を正当化するに足るほどオリジナルだと判示した。特定的に、本官は「[インプットの]フィールドの調整、選択、および配列」に言及し、そのレイアウトは保護に値し、もしIPN によるそのレイアウトのコピー行為が「些細な程度以上に」違わないのであれば、侵害となると述べた。

O.P.Solutions, 1999 WL at *13 。従って、画面レイアウトにオリジナリティを欠くとことについての IPNの議論は、本官の以前の決定で解決された争点を再提起しようとするものある。

  しかしながら、本官の以前の決定は、フィールド名の選択が「Bender判決によると十分に創作的ではないとするのに、[本官が]合理的な陪審員なら誰もその編集著作物に、保護を受けられるだけオリジナルなものとするに足るほどの創作性を認めることはできないと、結論できなかった」という可能性を確かに残した。同上 at *15 。今、事実認定者としての本官の資格において、PATTSY商標画面の上部2箇所に関して用語とフィールドの選択は十分にオリジナルではないと認定する。むしろ、それらのインプット・フィールドの選択は、争われているタイプの編集著作物を作成する人なら誰でも、必然的に同じ情報の範疇を選ぶことになるであろう業界の慣行のような、外的な力の働いた結果である。例えば、(1) その商標が登録されている「国」、(2) 商標の「タイプ」、(3) 商標自体の名前、(4) 「登録者」、(5) 商標の現状(status)、(6) 登録の日時と番号、(7) 申請の日時と番号、に関する情報を求めるフィールドは、すべて PATTSY に先んずる WM Dos 商標画面に現れる選択である。(参照、原告の審理前の意見書の証O、56.1)。これらの範疇は、当事者のこの分野の競争者3者のもつ商標画面にも現れており、その上に、代理人、所有者、弁護士、依頼人関係 (Client Reference)、使用の意図、および登録番号のようなフィールドがさらに加えられている。(参照、同上 60.1, 61.1, 62.1)。OPS はこれらのフィールドを選ぶことによって、独自の創作の何らの要素も加えていない。単にその分野で典型的なインプット・フィールドを選んだだけで、外的要因に従っているにすぎない。

  原告は、用語とフィールド名の選択の際に必要な創作性を立証したと論ずるに当たって、PATTSYに現れるものの代わりに用いることのできる代替的な名前のリストを提出した。(参照、原告の審理前意見書の証J)。しかしながら、その代替物は分かりきった変種またはありふれた変種である。例えば、原告はフィールド名「Reg」が商標の登録日を表すが、次のような代替的方法でも表現できると述べる。すなわち、「Registration  Date; Date of Registration; Date Registered; Date Reg.; Effective Registration Date;

Registration Issue Date; DOR; Original Registration Date」。(参照、原告の審理前意見書の証J)。原告はまた、フィールドをあらわす代替的方法として一連のアイコンも含めている。(参照、同上)。これらの変種はオリジナリティの関門をパスするものではない。「Registration Date 」または「Date of Registration」に対して、

「Reg 」を選ぶことはむしろ分かりきった選択である。その上に、本官は用語も商標実務家の「共通の仲間言葉」の一部と認める。故にそれらは誰か或る個人または会社に独占的なものではない。(参照、Jeffrey M. Samuelsの陳述書 PP 20-22 )。最後に、フィールド名の若干は一定のフィールドを示すだけのものであることを認める。例えば、原告は「Owner 」(所有者)は代替的に「registrant」(登録者)または「client」(依頼人)としても表すことができると主張するが、これらの代替語は「owner 」のフィールドが生み出すであろう異なる団体または個人を表すこともあろう。従って、OPS のフィールド名の選択は十分にオリジナルなものではないと認める。

B.実質的類似性

  本官の以前の決定において抽象化とろ過基準を適用した上で、本官はOPS が PATTSY の(1) 画面レイアウト、(2) 「アクション・グリッド」(action grid)、(3) データ編集物、( data compilations)、(4)データ表、に含まれている情報の選択、調整、および配列の保護を受ける権利を有すると判示した。さらに、もし(1) WM 4.0が PATTSY に実質的に類似していない[原文ママ]ならば、かつ(2) この2つのプログラムの保護を受けるべき要素が、被告を侵害したものとするに十分なだけ、全体としての著作物にとって重要であるならば、OPS はIPN による侵害を証明できるであろう。参照、O.P. Solutions,  1999 WL 47191,at **20-21; Williams v. Crichton, 84 F.3d 581, 587(2d Cir.1996) 。

  本件に実質的類似基準を適用すると、本官は、控訴裁判所が適切な検討は、「編集著作物の場合には狭められている」と述べたものと認める。参照、Key Publications,Inc.,945 F.2d at 514 。故に、もし誰か他の者が「些細な程度以上に異なる選択(または配列)を行うことによって要求された創作性を表すならば、OPS は侵害に異議を唱えることはできない。Kregos v. Associated Press, 3 F.3d 656 (2d Cir.1993)( 「KregosU」)。原告は「侵害されたと主張される編集著作物に著作物性」を与えるような要素の間に些細以上の相違がないことを証明しなければならない。Key Publications, Inc., 945 F.2d at 514 。その基準が充足されたかどうかを決定するに当たって、事実認定者は普通の観察者の役割をしなければならない。参照、Williams v. Crichton, 84 F.3d at 590。

  コピーが著作権のある編集著作物と些細に異なるだけかどうかを決定するに当たって、何を比較すべきかについての決定がなされなければならない。基本的にOPS は、本官が著作権のある編集著作物の要素を、OPS が類似していると主張する複製著作物中の要素と比べるべきであると主張する。だから原告は、特定の編集著作物の全部が取られなくても、


または編集著作物の大部分が取られ、侵害者が創作した追加的資料と結合されても、些細な相違の基準が充足され得ると主張する。(参照、原告の審理前意見書 at 6-7 )。

後者のポイント -- すなわち、侵害者による新しい資料の追加が侵害者の責任を免れさせない -- という点に関して、原告は Learned Hand 裁判官のよく繰返し引用される「剽窃者は彼の著作物のうちどれだけを剽窃していないかを証明することによって、自分の不正の責任免除をすることはできない」という卓見を引用する。Sheldon v. Metro-Goldwyn  Pictures Corp., 81 F.2d 49, 56 (2d Cir.), cert. denied, 298 U.S. 669, 80 L.Ed.

1392, 56 S.Ct. 835(1936)。

  原告が提案する比較の法則は、事実認定者が侵害を決定するに当たって考察すべきものを、原告がその訴えにおいて指定した編集著作物中の保護すべき要素に限定しようとする。そのような自分本位の法則に固有の問題は明らかである。侵害する著作物のどの部分が編集著作物の原本と比べるべきであるかという問題の解決は、その編集著作物に要求される創作性を与えた選択と配列次第で成立もし、不成立にもなる。全体の配列と選択のプリズムを通して各編集著作物の保護されるべき要素を見れば、事実認定者は侵害者と言われる者が、異なる選択と配列によってその著作物を構成することを選んだかどうかを決定できる。このことは、編集著作物は「薄い」保護を受ける権利があるにすぎないという、

Feist 事件における連邦最高裁判所の判旨に実質を与えるものである。それと異なる判断を下せば、原告は侵害訴訟において編集著作物の小さな構成部分に焦点を当てることができるようになり、オリジナルな選択と配列を考察するに当たって、実際にその創作力を用いた者を罰することになりかねない。

  控訴裁判所は Key Publications, Inc. 事件と Kregos U事件においてそのアプローチを採用した。Key Publications, Inc.事件において同控訴裁判所は、電話帳の侵害があったかどうかを審査した。同裁判所は両方の著作物中の保護され得る要素全部、すなわち全体中のどの要素が選択されたかを見ることによって、比較した。同裁判所は次のように判示した。

  当裁判所による 1989-90年 Key電話帳の著作物性の議論は、このように侵害の主張の分析のための枠組みを与える。1989-90 年 Key電話帳に著作物性を与える要素は、第一に諸職業が分類される260 以上の範疇の配列、第二にそのように分類された 9000 の諸職業の選択である。Galore電話帳が 1989-90年 Key電話帳と範疇の配列または諸職業の選択に関して実質的に類似していれば、侵害の認定が根拠あるものとなるのである。

                                    

945 F.2d at 514 。

  同様に Kregos U事件において控訴裁判所は、投球の範疇の選択によってユーザーが野球試合の結果を予測することができるようにデザインされている編集著作物の侵害を考察した。原告のフォームには9つの投球の範疇があり、被告のものには 10 つあった。2つのフォームを比較して同裁判所は、被告が原告の9つの範疇のうち6つを取り、4つは自分自身のものを選んだと認定した。被告は投球統計の6範疇をコピーしたけれども、同控訴裁判所は被告が原フォームから3要素を除き、新しい要素を加えたことの効果を、それが被告の選択と配列を些細な相違とするかどうかの決定に当たって考察した。参照、 3 F.3d at 663 。

  よって、IPN の著作物が PATTSY の侵害となるかどうかを決定するに当たって、本官は争われている編集著作物中の選択と配列の全体を眺めて、選択と配列の方法(それが編集著作物にオリジナリティと個性を与える)が相互に些細な程度に異なるかどうかを決定しなければならない。上述の通り、争われている編集著作物は、(1) 画面レイアウト、(2) アクション・グリッド、(3) データ編集物、および(4) データ表である。これらの個々の編集著作物は、控訴裁判所が Nihon Keizai Shimbun, Inc. v. Comline Bus. Data, Inc., 166 F.3d 65 (2d Cir.1999) 事件において保護すべきものと認定した個々のニュース記事と類似している。

しかしながら、その法則を適用するに当たって本官は、自分の比較の基準は「後の編集者が著作権のある編集著作物の原本通りの複製を作った場合だけに、侵害の認定を許す」べきではないと信ずる。Key Publications, Inc., 945 F.2d at 514 。同控訴裁判所が述べたように、侵害の要件をそのように狭く解すると「後の編集者に、著作権のある編集著作物の逐語的コピーにたった1つ事実を追加するだけで、または著作権のある編集著作物に含まれるたった1つの事実をコピーから除くだけで、侵害訴訟を回避することを許すことになろう」同上。

I 。画面レイアウト

  類似点 1-2は、PATTSY Dos商標画面と WM 4.0 商標画面の画面レイアウト[注 3] に対応する。換言すれば、類似点 1-2はプログラムの商標画面のさまざまな箇所でのインプット・フィールドの選択と配列を扱っている。項目 1は商標画面の上部を扱い、そこには国、商標、依頼人名、所有者、代理人、依頼人関係、代理人関係、商標の現状とタイプおよび事務所内の参照番号などの情報を求めるフィールドが入っている。項目 2は画面の中央部分の記述で、そこには商標の申請番号、申請日時、登録日時および登録番号に関する情報を求めるフィールドが入っている。

  [注 3]  本官の以前の決定における画面レイアウトへの言及は、コンピュータ画面上のインプット・フィールドの配列と置き方に関するものであった。 項目 3は PATTSY の商標画面上のアクション・グリッドに関するものであるが、以下にもっと詳細に分析する。

  PATTSYの商標画面の上部の編集著作物は、IPN の商標画面の上部の編集著作物とは些細な程度以上に異なっている。外観上原告は左から右に走る2つの欄を持ち、IPN は3つの欄を持つ。 フィールドが画面上に現れる順は少し異なり、その上IPN の編集著作物には OPSの編集著作物よりフィールドが多く入っている。選択に関しては、OPS の 13 のフィールドのうち3つは該当する IPNの編集著作物には入っていない。さらに IPNは、 OPSの編集著作物には現れていない新しいフィールド8つ(全体で 18 のうち)挿入している。[注4]。

  [注 4] 比較は PATTSY DOS プログラムと WM 4.0 プログラムの主要商標画面の間で行われている。

  同様に、商標画面の中央部にあるインプット・フィールドの配列と選択には些細以上の相違がある。配列の点では、OPS の中央部の要素のうち4つはIPN の中央部に現れているけれども、その現れ方の順序が異なり、追加された要素で隔てられている。選択に関しては、IPN は原告の PATTSY 商標画面の中央部に現れていない7つの追加要素を含めた。その上、 PATTSY の中央部のフィールドの半分(「1File 」、「1APPL # 」、「1REG DT 」、「1REG #」)は被告の商標画面の対応部分にある編集著作物には現れていない。

  従って、項目 1-2の画面レイアウトには選択と配列から見て些細以上の相違がある。

2 。アクション・グリッド

  OPS は項目 3を「アクション・グリッド」と呼ぶ。その見出しは左から右へ、取るべき処置の記述、処置の期日、処置の最終期日、処置の審議(call-up )期日、回答/完了期日、法律事務所の要録担当者(docket directors)関係、および注の欄を含む。 

OPS の商標画面に現れるアクション・グリッドと IPNのものとの相違は些細にすぎない。グリッドは一列内に商標の処置に関する情報の多くの項目を含み、各列は各画面上議論された商標のファイルに関して取られた特定の処置に関する情報を内容とする。アクション・グリッドは申請の推移のうち取られた各処置に関する情報を受取り、記憶し、追跡し、表示する。商標の推移の中で取られた各処置はそれぞれ一行を与えられ、グリッドはそのすべての行を一度に表示する。

  原告の商標画面のアクション・グリッド中、IPN は原告の 12 のインプット・フィールドのうち9つを取った。これらのフィールドの外観は大体同様で、(すなわち、「Actions 」対「Action」、「DueDate 」対「DueDt 」、「Final 」対「Final Dt」、および「Notes 」対「Notes 」)、IPN はインプット・フィールドの順序を、それがアクション・グリッド上で左から右へ移る通りの順序を変えていない。その上IPN はアクション・グリッドの編集著作物に新しい範疇を何も加えていない。IPN は OPSのインプット・フィールドすべてをコピーしたのではないけれども、そのアクション・グリッドを構成する諸要素は、OPS の保護されている著作物とほとんど同じである。従って、IPN は主たる商標画面中のアクション・グリッドである、保護された編集著作物を侵害したのである。同様に、PATTSY DOSと WM 4.0 との国別の法律のファイルに現れるアクション・グリッド間には些細な相違しかない。(参照、原告の証I)。

  被告は被告側の如何なる侵害も些細であると主張する。上述のように、侵害を認定するためには事実認定者はまた、保護されている著作物のコピー行為が些細ではないと決定しなければならない。IPN は、主たる商標画面上のアクション・グリッドはPATTSYプログラム全体の中に沢山ある画面のうちのほんの少しにすぎないという事実を強調する。従ってIPN は、アクション・グリッドの如何なるコピー行為も量的に取るに足りないと主張する。しかしながら、アクション・グリッドは WM 4.0 プログラム全体に亘って複製され、次の画面にも現れている。その若干をあげると、一般事項、契約、衝突、およびライセンスなどである。(参照、原告の審理前意見書の証Sとして添付のスライド7.1 )。アクション・グリッドはまた WM4.0全体に亘って様々の国別画面上にも現われている。それはWM 4.0 商標画面とは少し異なってはいるけれども、OPS のアクション・グリッドとの相違は些細にすぎない。(参照、同上、at  スライド 6.1)。その上控訴裁判所が Nihon Keizei Shimbun, Inc., 166 F.3d at 71 事件で指示したように、2つの著作物の量的比較は、「常に両者の質的状態の影で行われなければならない」。


同上。アクション・グリッドは原告のプログラムの核心を成す。要録期日すべてが作成され、記入される場所はアクション・グリッドである。それはその競争者と区別されるユニークな特徴であり、IPN は自分の著作物中にそっくりそのまま盗用したのである。従って、IPN の些細論に打ち破るに十分な重要性をもつものである。

3 。データ編集物

  OPS は PATTSY の「データ編集著作物」、すなわち、「事務所の処置に対する対応」のような項目のために定めた数値(例えば、時間表や最終期限)と呼ぶものに対する保護を主張する。これらの数値はまた呼び出し(callups) または延期(extention)があるかどうかも含む。参照、O.P.Solutions, 1999 WL 47191 at * 19。本官の以前の決定で述べたように、データ表には薄い保護を受けるに値する創作性の最小限の火花が含まれている。参照、同上。

  被告はデータ編集著作物は制定法や業界の日常的慣行によって決まっていると主張するが、本官はその議論を信じない。期限だけは制定法により定められてる範疇であるが、呼び出しの日時はプログラマーが決定するものである。PATTSY合衆国商標の予め定めた処置 (Pre-defined Actin)のデータ編集著作物の中の記載事項の8つ全部が WM4.0のものと同一であるという事実は、IPN が PATTSY のその箇所を侵害したことを証明している。 (参照、OPSの審理前意見書の証Sとして添付のスライド 11.1 )。

4 。データ表

  OPS はまた、プログラム中のPATTSYのアクション・プレディフィニション・グリッド(action predifinition grid)とアクション・グリッドの基礎となるデータ表3つの構造に対する保護を求める。データ表はプログラムが一部のフィールドにユーザーが記入する情報を記憶する表である。データ表はまた次のような各データ・フィールドに関する基本的情報を定義する。それらは、(1) データ・フィールドの名称、(2) データ・フィールドのタイプ(例えば、テキスト、日時、時間または数)、および(3) フィールドの文字のサイズ、などである。本官の以前の決定において、OPS は定義の選択と配列に編集著作物としての保護を受ける権利があると判示した。

  表面に現われているデータ表の外観は、些細以上に異なっている。例えば、データ表中の対応するフィールドの名称は随分違っている。(IPN の処置・ユーザー表(ActionUserTable)フィールド「AU ID」と、それに対応するOPS の時間表「Join」とを比較せよ)。データ表に現われるフィールドの順序も同様に異なっている。(参照、原告の審理前意見書の証Sとして添付のスライド 8.1, 9.1, 10.1 )。データ表の基礎となる定義の選択は Times/Action  IPN データ表と Times/Action  Userデータ表においては些細程度以上には異なっていない。そこでは IPNのデータ表の 19 の要素のうち 15 がOPS のデータ表からコピーしたものである。同様に、Actions/Agendaデータ表の定義の選択においても些細程度以上の相違はない。そこでは IPNのデータ表の 26 要素のうち 20 がOPS のデータ表からコピーされたものであった。そしてこれらのデータ表はアクション・グリッドに関し、アクション・グリッドは PATTSY の著作物全体にとって質的に重要であるから、データ表のコピー行為は些細なものと考えることはできない。

5 。依頼人/住所画面および一般事項画面

  依頼人/住所ファイルは依頼人に関する情報を内容とし、どの弁護士とパラリーガルをどの依頼人に割当てたかについてのデフォルト(default) 情報を収める。項目 55 は3つのフィールドのデータ記入画面に関するもので、それは依頼人毎に構成され、それは編集著作物としてのみ保護され得るものである。参照、O.P.Solutions, 1999 WL47191 at *17。原告はこの争点に関して、原告の審理前意見書または審理の際にそれ以上の主張を提出しなかった。略式判決の記録からも、これらの画面は些細にしか異なっていないという認定が相当であるとはいえない。従って、本官はOPS がこの争点に関して立証責任を充足していないと認定する。

6 。書面画面およびヘルプ画面の比較

  最後に、OPS はPATTSYのユーザー・マニュアルからの若干の抜粋の保護を主張する。その抜粋は、OPS の主張によれば、コピーされて WM 4.0 のヘルプ画面とそのユーザー・マニュアルに出ている。本官はその意見の中で述べたように、その抜粋は実質的類似性の基準で評価されていて、その両著作物の違いが些細であるかどうかによってではない。実質的類似性の基準は、些細な相違の基準よりも容易に充足することができるけれども、原告は本件でその基準を充足していない。本件において、原告は保護され得る表現そのものよりもむしろ、基礎となる機能性に対して保護を求めるようである。抜粋は短い語句で、その中には完全な文章になっていないものもあるが、総じてプログラムの中に類似の機能を記述しているものである。IPN の用いた語句のほとんどはOPSの用いた語句とは異なっている。原告が引用する抜粋のうち、期限プラス許される延期の最大回数に基づく「最終期日」だけが、被告のプログラムとユーザー・マニュアル中のそれに対応する定義と実質的に類似すると思われる。

たとえ本官が、争われている被告の抜粋の全部が原告の著作物と実質的に類似したと認定したとしても、それは確かに些細なことであろう。原告は 200ページのユーザー・マニュアルからの 13 の文章と文章の断片に異議を唱えている。量的にも質的にもそのコピー行為は些細であり、従って侵害を構成しない。

  終わりに本官は、訴訟代理人たちの全手続を通じての洞見と援助に対して、敬意を表したいと思う。今回の判決と以前の意見が明らかにしたように、本訴訟はそのコンピュータ・ソフトウェアへの適用が困難で容易でない著作権法の多くの複雑な分野に関わって いる。本官は Altai事件における控訴裁判所の次の言葉を想起する。すなわち、一般に 「著作権登録は -- それは無差別に利用できるものであるため -- コンピュータ科学の高度に動的な技術を処理するためには、理想的に適してはいない。これまでのところ、この分野の判決の中には、諺にいう丸い穴へ四角い木釘をはめ込もうとする裁判所の企ての表れであるものが多い」。Altai, 982 F.2d at 712。

結論

  上述のように原告は、IPN が原告の PATTSY プログラムを侵害したことの立証責任を充足した。

  訴訟代理人は、1999年10月19日までに本訴訟を解決するに必要な処置について書面で当裁判所に通知し、1999年11月12日午前11時30分、ニュー・ヨーク州、ニュー・ヨーク市、パール・ストリート 500番地での現状コンファレンスに出頭しなければならない。

以上の通り決定する。

連邦地方裁判所裁判官  LORETTA A.PRESKA

1999年10月19日