続きものの「真実?」に割り込んで。

What’s Legally New?で報じているように、EUでAI規則法案が閣僚理事会で承認された。2021年のEU委員会の法案プロポーザルに始まり、域内のAI産業の振興策も掲げつつ、事前規制を強く志向する内容だが、その後のとりわけ生成AIの凄まじい進展に対する危機感から特に生成AIについての規定も置き、また利用が禁止されるhigh-risk 分野を拡大するなどの欧州議会修正案につき、欧州議会と閣僚理事会間で調整を経て昨年末に暫定合意がなされ、今般の閣僚理事会の承認となった。

日本企業も余所の国の話とはならない。この規則の対象は、どこの国の企業であれEUでAIにかかる製品やサービスを提供する企業には適用されるのであり、義務違反には罰則も規定されている。ちゃんと規制内容を知っておく必要がある。

そしてEUの法規制というと、これまでも個人情報の取り扱いや環境問題などがそうであるように、世界で先行して厳しいものが制定され、日本もそれに引きずり回される。今回の承認にあたっての閣僚理事会声明が自信を示しているとおりのこととなるのではないか。日本政府は、AI規則の検討に対抗するように(そう言うと政府に怒られそうですが)AI規則と同様のリスクの大きさに応じて対応を決める「リスクベース」による「AI事業者ガイドライン」を4月に策定したが、あくまで自発的取り組みを求めるガイドラインであり、強制力の点ではAI規則ほどのインパクトはない。しかしそれから1か月、日本政府もソフトローだけではうまくいかないと考えたようで、法規制に踏み込む検討を始めたようだ(5/22 AI戦略推進会議の資料2-1、2-2)。産業や技術が急激に発展していく過程では、ハードローでの法規制は好ましいとは言えないが、AIの進展は、もはや自制に委ねるだけでは困ったことになりそうだという懸念には同感だ。

AI規則、全体で400頁を超えてともかく分量が多い。EU各国に直接的に適用されるので、細部に亘る規定が置かれているからだろうか(不勉強です)。全文を自分で読むのは、かような駄文を書いていながら言うのも何だが、私の日常にインパクトがあり過ぎるので(笑)、サマリを探し出して読むのが関の山。学識者の分析、解説を待ちたい。ご厚誼を頂いている先生方、よろしくお願いします!

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