夏至からこっち昼の時間が短くなってきているにも関わらず、またお天道様が雲に隠れる日も増えているにも関わらず、暦の上では秋となって2週間が経つにも関わらず、相変わらずの酷暑である。気象庁の予報では、この先まだ、平年に比較して気温が高めの日が続くそうな。平年値というのは今年だと1991年から2020年までの平均値ということだから、平年といってもここ数年の体感とは合わない。夏が長くなっている。
愛宕山には木々が多く、夏の朝は蝉が大合唱をしている。ミンミンゼミ、クマゼミが暑苦しく鳴いている。暑苦しいと感じるのは、暑さと相俟って、身体全体を力んだように震わせて大音量を発する姿からの連想かもしれない(ヒグラシの声は涼やかである)。私の祖父母の家は愛知県の田舎にあって、小学校時代はお盆前後に帰省して過ごした。朝は蝉の声で目覚める。アブラゼミでは面白くなく、羽が透明なクマゼミを捕まえようと夢中だった。住んでいた千葉県ではクマゼミの声を聞くことはなかった。20年かそれ以上前だったか、勤め先のあった川崎でクマゼミの鳴き声を聞いた時には最初は耳を疑ったが、クマゼミはどんどん北上(東進?)し、今や東京のど真ん中で、毎朝、ノスタルジーに浸れるようになった。サクランボが不作だったとか、北海道でブリが獲れたとか、温暖化の仕業が様々報じられるが、私にとっては、蝉の声が最もそれを感じさせてくれる。
今朝、ミンミンゼミ、クマゼミの合唱の合間に、ツクツクボウシの声が聞こえた。ツクツクボウシの声で、小学生の頃の、夏休みが終わってしまうという悲しい気持ちと、宿題が残っていると焦った気持ちが思い出された。いつまで続くか分からない夏。暑さにはウンザリしたのでそろそろ夏は終わって欲しいとも思うが、夏が終わるということには一抹の寂しさを感じる。