原告
No.96-56426, No.96-56433
合衆国第9巡回区控訴裁判所
訴訟代理人:
被告−被控訴人・交差控訴人側:Michael S. Oberman, Kramer, Levin, Naftalis & Frankel 法律事務所、ニュ−ヨ−ク州ニュ−ヨ−ク市
裁判官:控訴裁判所裁判官 Alex Kozinski, David R. Thompson*, Stephen S. Trottの面前にて。
*Thompson 裁判官は、本件提起後、Floyd Gibson 裁判官差支えのため交代。
意見執筆:ALEX KOZINSKI
意見:KOZINSKI 控訴裁判所裁判官。 Duke Nukemはいつものように Octabrain とProtozoid Slimer を打負かす。しかし、人の恐れる Micro Starはどうか?
Micro Starは地方裁判所に出訴して、N/Iが Form Gen の著作権のいずれをも侵害していないという宣言的判決を求めた。Form Genは反訴して、N/Iをそれ以上製造、頒布することを禁止する仮差止命令を求めた。Lewis Galoob Toys, Inc. v. Nintendo of Am.,Inc.,964 F.2d 965(9th Cir.1992)事件に基づいて、地方裁判所はN/Iが二次的著作物ではなく、故に Form Gen の著作権を侵害していないと判示した。しかし地方裁判所は、スクリ−ン・ショットについて仮差止命令を認めた。N/Iの包装は、ライセンスなしにD/N-3Dの登場人物の写真を複製して、Form Gen の著作権を侵害したと認定したからである。同裁判所は Micro Starの「公正使用」の主張を退けた。双方が敗訴分につき控訴する。
仮差止命令を求める当事者は、「本案勝訴の見込みおよび回復不能の損害の可能性か、それとも本案にかかわる重大な問題が提起され、困難度の均衡がひどく自分の側に傾いているか、のいずれかを」証明しなければならない。Johnson Controls, Inc. v. Phoenix Control Systems, Inc.,886 F.2d 1173, 1174(9th Cir.1989)。「著作権侵害請求においては、本案勝訴の合理的見込み[*4]の証明は、回復不能の損害の推定を生む」。同上。Form Genは、それが求める仮差止命令(N/Iの製造、頒布を禁止する)を受け、すでに与えられた仮差止命令を保持(N/Iの包装上のスクリ−ン・ショットを禁止する)するためには、本案勝訴の見込みを証明するだけでよい。
N/Iが Form Gen の著作権を侵害しているという主張の本案で勝訴するためには、Form Gen は(1)N/D-3Dの著作権を有すること、および(2)保護されている表現のMicro Starによるコピ−行為、を証明しなければならない。参照、Triad Systems Corp. v. Southeastern Express Co.,64 F.3d 1330,1335 (9th Cir.1995)。For mGenの著作権登録は、その所有の推定を生じる。参照、同上。そして当裁判所は、Form Genはその著作権の所有を証明したとの確信を得た。故に後者の争点に焦点を当てる。
Form Gen の主張は、ユ−ザ−の作ったゲ−ム・レベルを、Micro Star が許可なく商業的に不当利用してその著作権を侵害したということである。Form Genの主張を理解するためにはまず、D/N-3Dがどのように働くのかを理解しなければならない。ゲ−ムは3つの別々の構成要素から成る。すなわち、ゲ−ム・エンジン(game engine)、ソ−ス・ア−ト・ライブラリ−(source art library)およびMAPファイルである。[注2]ゲ−ム・エンジンはコンピュ−タ・プログラムの核心であって、それは或る意味でプログラムである。それはコンピュ−タに、デ−タを読み、ゲ−ムを保存し、ロ−ド(load)し、音声を出し、スクリ−ンに画像を写す時を知らせる。特定のレベル用の視聴覚ディスプレ−を作るために、ゲ−ム・エンジンはそのレベルに対応するMAPファイルを呼出す(evoke)。各々のMAPファイルは、ゲ−ム・エンジンに(さらに、それを通じてコンピュ−タに)、何を何処に出すかを告げる一連の命令を内容とする。例えば、MAPファイルはスキュ−バ・ギヤ(scuba gear)はスクリ−ンの下部を進むと言うこともあろう。するとゲ−ム・エンジンは、ソ−ス・ア−ト・ライブラリ−に行き、スキュ−バ・ギヤの画像を見つけ、スクリ−ン上のまさにその場所に出す。[注3]MAPファイルは念入りな詳細さでそのレベルを記述するが、それ自体実際に著作権のあるア−ト(art)を何ら含んではいない。スクリ−ンに現れるものはすべて、実際にはア−ト・ライブラリ−から来ている。ゲ−ムの視聴覚ディスプレ−は番号で色を塗るキット(paint-by-number kit)のようなものと考えなさい。MAPファイルは565番の部分には青絵具を塗れというかもしれないが、それ自身、青絵具を持ってはいない。青絵具はあなたのパレットから出すのであって、パレットはア−ト・ライブラリ−のロ−・テク(low-tech)のアナログ(analog)であり、他方ゲ−ム・エンジンの役割を演じるのはあなたである。プレ−ヤ−がN/Iレベルの1つを選ぶと、ゲ−ム・エンジンは N/IMAP ファイルを参照するが(reference)、そのレベルを構成する画像を生むためには依然としてD/N-3Dア−ト・ライブラリ−を使用する。
Form Genは、著作権者がD/N-3Dに基礎を置く二次的著作物を作る排他的権利を有することを指摘する。参照、17 U.S.C. @ 106(2)(1994)。Form Genによれば、N/I CDMAPファイルと結合してD/N-3Dが起動(run)される時に生じる視聴覚ディスプレ−は、この排他的権利を侵害する二次的著作物である。Form Genは正しいのか?答は明らかではない。
著作権法は、二次的著作物を一つ以上の既存の著作物に基づく著作物であると定義する。例えば、翻訳、編曲、戯曲化、小説化、映画版、録音、美術複製、要約、縮約、その他著作物が改作、変形、または翻案された別の形式である。編集的改訂、注釈、推敲、または全体として原著作物を再現するその他の変形から成る著作物は「二次的著作物」である。同上、@101。しかしながら、制定法の文言は絶望するほど広すぎる。何故なら「文学、科学、芸術におけるあらゆる書物は、よく知られ、以前に用いられた多くのものを、借用し、借用せざるを得ないし、使用している」からである。Emerson v. Davies, 8F.Cas.615,619(C.C.D.Mass.1845)(No.4436)、1 Nimmer on Copyright,@3.01,at 3-2(1997)に引用。扱い得るレベルにまで同制定法を狭めるために、二次的著作物としての資格をもつため著作物が満たすべき一定の基準を当裁判所は作った。その一つは、二次的著作物は「具体的または恒久的形式」で存在しなければならないということであり、Galoob,964 F.2d at 967(内部引用符省略)、既存の著作物からの保護されている資料を、実質的に具体化しているものでなければならない。参照、Litchfield v. Spielberg,736 F. 2d 1352,1357(9th Cir.1984)。Micro Starは、N/Iは二次的著作物ではない。何故ならD/N-3DがMAPファイルと共に作動される時生じた視聴覚ディスプレ−は、如何なる具体的または恒久的形式にも具体化されていないし、MAPファイルはD/N-3Dの保護された表現をコピ−していないからである、と主張する。Micro Starはこの両方の点で誤っている。
二次的著作物が具体的または恒久的形式をとらなければならないという要件は、Galoob事件においてあまり議論をしないで認められた。同事件において当裁判所は、著作権法の二次的著作物の例はすべて何らかの確定的、有体の形式をとっていると述べ、これが同法の要件の一つであると結論した。参照、Galoob, 964 F.2d at 967-68;次も参照、Edward G.Black & Michael H. Page, Add-On Infringements, 15 Hastings Comm/Ent. L. J. 615,625(1993)(Galoob事件において第9巡回区控訴裁判所は、「101条に挙げられた二次的著作物の同法上の定義を再検討し、二次的著作物の制定法上の定義に入れられた種類(sorts)の独立固定要件を見出だした」。)明らかに、N/IのMAPファイルそれ自体は、具体的または恒久的形式で存在する。それらはCD-ROMに入れられている。参照、ProCD,Inc.v.Zeidenberg,86 F. 3d 1447,1453(7th Cir.1996)(CD上のコンピュ−タ・ファイルは、表現の有体媒体に固定されている)。しかしD/N-3DがN/IMAPファイルを作動させてできる視聴覚ディスプレ−、すなわち、スクリ−ン上にディスプレ−される実際のゲ−ム・レベルはどうか?Micro StarはGaloob事件の視聴覚ディスプレ−は「具体的で恒久的形式」の要件を満たさなかったからだと主張するが、N/Iも満たしていない。
Galoob事件において、当裁判所は Game Genieという装置を用いて作られた視聴覚ディスプレ−を検討した。その装置はNintendo Entertainment Systemsと共に使用するように販売されていた。Game Genieはプレ−ヤ−に、ゲ−ムの個々の特長、例えば、登場人物の力とかスピ−ドを変えることができるようにしていた。それは選択的に「ゲ−ムのカ−トリッジによって[Nintendoコンソ−ル]へ送られる単一デ−タ・バイト(single data byte)の数値を遮断し、新しい数値と入替えて行われた」。Galoob, 964 F.2d at 967。プレ−ヤ−はコ−ド(code)を入れることによって、どのデ−タの数値を入替えるのかを選択した。何十億以上もの異なるコ−ドがあり得た。Game Genieは声を出さない。それはコンピュ−タ・プログラムの窓口として機能しているだけであって、プレ−ヤ−がゲ−ムの個々の部面を一時的に変更することを可能にした。参照、Lewis Galoob Toys, Inc. v. Nintendo of Am.,Inc.,780 F.Supp.1283,1289(N. D. Cal.1991)。
Nintendoは提訴して、Game Genieがゲ−ム・システムの視聴覚ディスプレ−を変える時、それは著作権侵害になる二次的著作物を作ると主張した。当裁判所はこの主張を退けた。何故なら「二次的著作物は保護されている著作物を何らかの具体的または恒久的な形式で具体化しなければならないからである」。Galoob,964 F. 2d at 967(内部引用符省略)。Nintendoシステムと Game Genieを結合して作られた視聴覚ディスプレ−は、恒久的形式に具体化されたものではなかった。ゲ−ムが終わると、ディスプレ−は消えてしまった。もちろん、それは再構成することができたが、それは次のプレ−ヤ−が同じコ−ドを入れることを選ぶ場合に限られた。[注4]
MicroStarは、N/I上のMAPファイルは Game Genieのもっと進んだバ−ジョンであって、古い数値(原ゲ−ムのMAPファイル)を新しい数値(N/IのMAPファイル)と入替えるものであると論ずる。しかし Game Genieの作る視聴覚ディスプレ−は、恒久的形式で記録されることがなかったのに反して、D/N-3DがN/Iファイルから作る視聴覚ディスプレ−は、MAPファイルそれ自体の中にある。Galoob事件において視聴覚ディスプレ−は、原ゲ−ムカ−トリッジによって決定され、Game Genieによって決定されるものではなかった。Game Genieの挿入したデ−タ数値が、視聴覚ディスプレ−を記述するとは、到底誰も言えないであろう。本件において、或るN/Iレベルがプレ−される時、コンピュ−タ・モニタ−上に現れる視聴覚ディスプレ−は、--細かいところまできちんと--N/IMAPファイルによって記述される。
このことは興味ある問題を提起する。すなわち、最後の細部に至るまで視聴覚ディスプレ−を正確に記述したもの(定義上MAPファイルは確かに視聴覚ディスプレ−を最後の細部に至るまで記述するが)は、Galoob事件にいう恒久的または具体的形式といえるか、という問題である。当裁判所はそう認めていけない理由はないと考える。結局のところ、一曲ずつの楽譜は、著作権のあるメロディ−の音の出し方を正確に、かつ詳細に記述するだけのものではないのか?1William F. Patry, Copyright Law and Practice 168(1994)(「作曲は楽譜の中に具体化され得る…」)。著作権を与えられるためには、パントマイムやダンスは、「その記述からその著作物が実演され得るほど十分に、詳細に記述され」得るのである。同上。at 243(CompendiumU of Copyright Office Practice@463を引用);次も参照、Horganv. MacMillan, Inc., 789 F.2d 157,160(2d Cir.1986)。同様に、N/IMAPファイルは、プレ−ヤ−がN/Iレベルを用いてD/N-3Dをプレ−することを選ぶ時に作り出される視聴覚ディスプレ−を記述する。視聴覚ディスプレ−は、MAPファイル中で具体的または恒久的形式をとっているので、Galoob事件は、それらが二次的著作物であると認定するについて妨げにはならない。
さらに、「或る著作物は、それが既存の著作物から引き出した資料が、その既存の著作物の著作権者の同意なく取り出されているならば、著作権侵害と考えられる場合にのみ、二次的著作物と考えられる」。Mirage Editions v. Albuquerque A. R. T. Co.,856 F. 2d 1341,1343(1 Nimmer on Copyright @3.01(1986)を引用)(内部引用符省略)。「侵害を証明するために[Form Genは]、[D/N-3Dの視聴覚ディスプレ−とN/Iの視聴覚ディスプレ−]がアイディアと表現の両方で、実質的に類似していることを証明しなければならない。」 Lichfield v. Spielberg, 736 F.2d 1352,1356(9th Cir.1984)(強調省略)。アイディアの類似性は、著作物の客観的細部、すなわち、筋書、主題、台詞、ム−ド、背景、登場人物など、を比較して証明できよう。参照、同上。表現の類似性は、普通人の反応に焦点を当て、著作物の全体的概念と感触を考える。参照、同上 at 1356-57。Form Genはこれらの証明にきっと成功するであろう。何故ならプレ−ヤ−がN/Iレベルを選んだ時に作られる視聴覚ディスプレ−は全部、D/N-3Dのソ−ス・ア−ト・ライブラリ−から出ているからである。次と比較:Atari, Inc. v. North Am. Philips Consumer Elec. Co., 672 F.2d 607,620(7th Cir.1982)(二つのビデオ・ゲ−ムが同一の「全体的概念と感触」を共に持っていたので、それらが実質的に類似すると認定した)。
さらに Micro Starは、MAPファイルは二次的著作物ではない、何故ならそれらは、実際にはD/N-3Dの保護されている表現を具体化してはいないからであると主張する。特にMicro Starは、N/IMAPファイルはソ−ス・ア−ト・ライブラリ−を参照するが、実際にそれ自体どんなア−ト・ライブラリ−も含んでいないという点を重視する。それ故、Micro Starは、D/N-3Dのどの部分もMAPファイル中に複製されていないと主張する。この主張をするに当たって、Micro Starは保護されている著作物の解釈を誤っている。Micro Starが侵害する著作物は、D/N-3Dのスト−リ−それ自体であって、それは Dukeという名の筋骨たくましいコマンド隊員タイプの男が、世界の終末後のロスアンゼルスを歩きまわり、銃で Pig Copsを撃ち、手榴弾を投げ、med kitsやステロイドを探し求め、jet packを使って障害物を飛び越え、ガス・タンクを爆破し、放射能を持つスライム(slimes)を避けるのである。著作権者は続編を作る権利を有し、参照、Trust Co. Bank v. MGM/UA Entertainment Co., 772 F.2d 740(11th Cir.1985)、N/IMAPファイル中のスト−リ−はまさに続編で、Dukeの信じられない冒険の新しい(いささか反復的だが)物語をしている。Duke Nukemについての書物は、たとえ絵が入っていなくても、同じ理由から侵害となるであろう。[注5]
それにもかかわらず Micro Starは、Micro StarによるD/N-3Dの保護された表現の使用は、公正使用の法理に該当すると主張する。同法理は、「批評、コメント、報道、教授(これには教室用の複数コピ−も含まれる)、研究または調査などの目的のための」著作権のある著作物の無断使用を許している。17 U.S.C. @107;参照、Narell v. Freeman, 872 F. 2d 907,913(9th Cir.1989)。107条は、「特定の事件において行われた著作物の使用が公正使用かどうかを決定する」裁判所に、4つの要因を考察せよと命じる。すなわち、(1)使用の目的および性格、これは使用が商業的性質を持つかどうかを含む;(2)著作権のある著作物の性質;(3)著作権のある著作物全体との関連におけるコピ−された資料の量および実質性;および(4)著作権のある著作物の潜在的市場への使用の影響である。17 U.S.C.@107。
予備的事項として、Micro Starは当裁判所に対し、公正使用の主張を評価するに当たっては、N/ICDのプレ−ヤ−による使用に焦点を当てるように要請する。何故なら、Micro Starによれば、プレ−ヤ−は実際に二次的著作物を作り出しているからである。Galoob事件において当裁判所は、議論上 Game Genieが実際に二次的著作物を作っていると想定した上で、プレ−ヤ−の視点から公正使用の抗弁を考察した。参照、Galoob,964 F.2d at 970。しかし Galoob事件における公正使用の分析は必要ではなかった。だから明らかに傍論である。もっと重要なことには、Nintendoの主張は寄与的侵害だけであって、Galoobは消費者が二次的著作物を作るのを助けていたというのである。本件で Form Genは、Micro Starによる直接の侵害を主張する。何故ならMAPファイルは新しい Dukeのスト−リ−を含み、スト−リ−自体二次的著作物であるからである。
107条の諸要因を検討すると、明快な結果を生じる。Micro Starによる Form Genの保護された表現の使用は、純粋に金儲けのために行われた。それで当裁判所の調査は終わらないけれども、参照、Campbell v. Acuff-Rose Music, Inc.,510 U.S. 569,584,127 L. Ed. 2d 500,114 S. Ct. 1164(1994)、「著作権のある資料の商業的使用はすべて、著作権者に属する独占の特権の不当な悪用と推定される」。Sony Corp. of Am.v. Universal City Studios, Inc.,464 U.S. 417,451,78L. Ed. 2d 574,104 S.Ct.774(1984)。[注6]連邦最高裁判所は、第二要因、すなわち著作権のある著作物の性質が特に重要である、何故なら「著作物の中には他のものに比して、意図された著作権保護の核心にもっと近いものもあり、その結果、そのような著作物がコピ−されると、公正使用の証明がもっと困難になるからである」と説明した。Campbell, 510 U.S. at 586。公正使用の抗弁は、電話帳のような事実の著作物に反し、フィクションまたは空想的作品に用いられると、認められる見込みははるかに少なくなる。参照、United Tel. Co., v. Johnson Publ'g Co., 855 F. 2d 604,609(8th Cir.1988)。次も参照、Stewart v. Abend, 495 U.S. 207,237,109 L.Ed.2d 184,110 S.Ct.1750(1990)。Duke Nukemの世界は異星人、放射能を持つスライム、冷凍武器から成立っている。これらはロスアンゼルス基準によっても、明らかに空想的である。N/IMAPファイルは、「明示的に[D/N-3D]のスト−リ−のユニ−クな場面、登場人物、筋書を使用する、」Stewart, 495 U.S. at 238; Micro Starの用いた資料の分量と重要性の双方ともに実質的である。最後に、N/Iを売ることによって Micro Starは、「[Form Gen]が[D/N-3D]スト−リ−の新しいバ−ジョンを売出す能力を侵害した。」Stewart, 495 U.S. at 238;次も参照、Twin Peaks Productions,Inc. v. Publications Int´l, Ltd.,996 F.2d 1366,1377(2d Cir.1993)。Form Genだけがその市場に参入する権利を有しているのであって、Form Genがそれを選ぶかどうかは他人の知ったことではない。「[N/I]は107条に列挙された範疇のいずれにも該当しないし、107条に述べられた4つの基準に合致しない。Stewart,495 U.S. at 237。それは公正使用によって保護されない。
Micro Starはまた、自分は Form Genがその顧客に新しいレベルを作り出すことを許すことによって与える黙示的ライセンスの受益者であると主張する。
著作権法204条は、著作権者に与えられた排他的権利(二次的著作物を作る権利を含む)の移転は書面であるべきことを要求している。参照、17 U.S.C.@204(a); Effects Assocs., Inc. v. Cohen, 908 F.2d 555,556(9th Cir.1990)。しかし非排他的ライセンスは、口頭によって与えられても、または行為によって黙示的に与えられてもよい。参照、Effects, 908 F.2d at 558。Form GenがMicro Starに書面によるライセンスをいやしくも与えたことを示すものはなく、または非排他的口頭ライセンスの証拠もない。Form Genが与えたと考えられる唯一の書面ライセンスは、自分で新しいレベルを作ったプレ−ヤ−に対するものである。しかしそのライセンスには重要な制限が入っている。プレ−ヤ−が作る新しいレベルは、「[他人に]提供する時は、無料に限られなければならない」。両当事者は、ライセンスが拘束的であるかどうかを争っているが、それは問題ではない。もしライセンスが有効であれば、それは明らかにレベルの商業的頒布を禁じている。もし禁じていないならば、Form Genは書面によるライセンスを全然与えなかったのである。[注7]
Form Genがその権利をライセンスの結果失っていないとしても、Form Genは Build Editorを提供してプレ−ヤ−に自分でレベルを作ることを推奨することによって、自分の保護されている表現に対する一切の権利を放棄した、と Micro Starは主張する。著作権法に基づき得られた権利が放棄できることは十分確立している。しかし権利の放棄は、その権利を放棄する意思を表す何らかの公然の行為によって明らかにされなければならない。参照、Hampton v. Paramount Pictures Corp., 279 F. 2d 100,104(9th Cir.1960)。Form Genがプレ−ヤ−に新しいレベルを作り、無料で頒布することを公然と推奨したとすれば、Form Genは実際それを行う排他的権利を放棄したと言えよう。しかし若干の権利を放棄することは、すべての権利を放棄することと同じではない。Form Genは新しいレベルから商業的に利益を得る権利を公然と放棄したことはない。実際 Form Genは、プレ−ヤ−にそのレベルを商業的に頒布しないように警告したし、本件のような訴訟を提起して、その制限を積極的に強行してきたのである。
Form Genは、Micro Starがその著作権を侵害したことを審理において証明することに成功する見込みがあるから、当裁判所は、地方裁判所による仮差止命令を与えない決定を破棄し、そのような差止命令を下させるために差戻す。もちろん当裁判所は、Micro Starがゲ−ムのスクリ−ン・ショットを一面につけた箱に入れてN/Iを売ることを禁じる仮差止命令の発布を確認する。[注8]
一部確認、一部破棄、差戻し。Micro Starは両控訴の費用を負担するものとする。
脚注
[注1]この形式のプレ−は、古典的 Wolfenstein 3D 登場人物をもって id Software という会社が創始した。
[注2]そう呼ばれるのは、ファイルはすべて「.MAP」という拡張子で終わるからであるまた、確かにファイルはさまざまのレベルのレイアウトを含んでいるからである。
[注3]実際これはすべて少し比喩的である。コンピュ−タ・プログラムは実際には何処へも行かないし、何も持って来ない。むしろゲ−ム・エンジンは、プレ−ヤ−がどのレベルを選ぶかについてプレ−ヤ−の命令を受け、プロセッサにそのレベルに対応するMAPファイルにアクセスするように命令する。MAPファイルとしては、どのア−ト画像が何処へ行くべきかを示す一連の命令から成立っている。MAPファイルが特定のア−ト画像を求める時は、ゲ−ム・エンジンがプロセッサにア−ト・ライブラリ−にアクセスすることを命じ、その画像に彩色するために、スクリ−ン上の各ピクセルにどう着色しなければならないかの命令を求めさせる。
[注4]ロ−・テクの見本は理解を助けるであろう。ピンク・スクリ−ナ(Pink Screener)という製品を想像してみなさい。それは枠一杯に張られた大きな一枚のセロファンから成立っている。テレビの前に置かれると、それはスクリ−ン上のもの何もかもがもっとピンク色に見えるようにする。このピンクの色調で(多分スクリ−ンをフィルムに写すことによって)プログラムの記録をやりおうせた者は、侵害する二次的著作物を作ったことになるであろう。しかしピンク・スクリ−ナを通してテレビを見ている人が見た視聴覚ディスプレ−は、二次的著作物ではない。何故ならそれは修正された画像を恒久的または具体的形式で、具体化してはいないからである。Game Genieはビデオ・ゲ−ムにとっては、変種のピンク・スクリ−ナといってもよかろう。それは現在のプレ−ヤ−が知覚するゲ−ムの数値を変えるが、新しい視聴覚ディスプレ−を恒久的または具体的形式に具体化することはない。
[注5]当裁判所は、N/IMAPファイルを使うことができるのは、D/N-3Dと一緒である時に限ることを認める。もし別のゲ−ムがMAPファイルを使って、ベ−ジュ色の迷路を通って、悪い塩入れをペ−パ−クリップで殺しながら旅をする鼠男のスト−リ−を話させるなら、MAPファイルはD/N-3Dの保護された表現を具体化することにはならないであろう。何故ならそれらは、D/N-3Dのスト−リ−を話してはいないからである。
[注6]もちろん、変形的著作物は公正使用の抗弁に依拠することがもっと多い。何故なら、それは「著作権の範囲内の息つぎの場である公正使用の法理による保証の中心にあるからである…。新しい著作物が変形的であればあるほど、商業主義のようなその他の要因で、公正使用の認定にマイナスの比重を持つかもしれないような他の要因の意義が、それだけ少なくなるであろう。」Campbell, 510 U.S. at 579(引用省略)。N/Iは変形的と言うことはできない。それ以外の何であろうとも。
[注7]ライセンスから制限を分離する理由はないであろう。制限はユ−ザ−・ライセンスに明瞭に述べらていて、曖昧なところはなく、少しも不合理でもない。実際、それはそのようなライセンスに予期するような、まさにそのような条件である。
[注8] Micro Starはその他さまざまの主張をして、著作権の誤用と開示過程の濫用を主張する。しかし、Form Genがその著作権を濫用しとことを示すものはない。参照、Triad Systems Corp. v. Southeastern Express Co., 64 F.3d 1330,1337 (9th Cir.1995)。当裁判所は、Micro Starが開示過程について何故苦情を言うのか、理解に苦しむところである。地方裁判所がその裁量権を濫用しなかったことは確かである。参照、Sopcak v. Northern Mountain Helicopter Serv., 52 F.3d 817,819(9th Cir.1995)。