欧州特許庁審判委員会
内部頒布コード
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1998年7月1日の審決
件番号: T 1173/97 - 3.5.1
出願番号: 91107112.4
公表番号: 0457112
IPC: G06F 11/14
審判での言語: 英語
発明の表題: コミット手続きの非同期的再同期
出願者: インターナショナル・ビジネス・マシン・コーポレーション
反対者:
見出し語: コンピューター・プログラム製品/IBM
関係する法規:
EPC 23条(3)、52条(1)、52条(2)(c)、52条(3)
EPC R. 27、29
ガイドラインC-IV、2.3
TRIPS:
10条、27条(1)、27条(2)、27条(3)
ウィーン条約:
4条、30条、31条(1)、31条(4)
キーワード:
「コンピューター・プログラム製品の特許性の排除(すべての状況においてではない)」
引用される審決
T 0006/83、T 0208/84、T 0022/85、T 0115/85、T 0163/85、
T 0026/86、T 0110/90、T 0164/92、T 0769/92、T 0204/93、
T 0410/96、
頭書
「コンピューター・プログラム製品は、それがコンピューター上で実行されたときに、プログラム(ソフトウェア)とコンピューター(ハードウェア)間の「通常」の物理的相互作用を超えた、さらなる技術的効果をもたらすならば、EPC第52条(2)および(3)の下で特許性を排除されない。」
欧州特許庁
審判委員会
件番号: T 1173/97 - 3.5.1
技術審判委員会3.5.1の審決
1998年7月1日
審判請求人:
インターナショナル・ビジネス・マシン・コーポレーション
Old Orchard Road
Armonk
N.Y. 10504 (US)
代理人:
Teufel, Eritz, Dipl.-Phys.
IBM Deutschland Informationssystem GmbH
Patentwesan und Urheberrecht
70548 Stuttgart (DE)
審判請求された査定: EPC第97条(1)に基づき欧州特許出願No.91 107
112.4を拒絶した、1997年7月28日に提示された欧州特許庁審査部の査定
委員会の構成
委員長: P. K. J. van den Berg
委員:
V. Di Cerbo
R. R. K. Zimmermann
事実および提出物の要約
I. 独立クレーム20と21の対象はコンピューター・プログラム自体なので、EPC第52条(2)(c)および(3)に基づき特許性を排除されるという根拠で欧州特許出願No.91 107 112.4(発行番号0 457 112)を拒絶した、1997年7月28日付けの審査部の査定に対して審判請求が提起された。
II. 独立クレームは以下の通りである。
III. 一般的にクレーム1から19は受け入れ可能と考えられ、特にクレーム1と14で定義されている方法とコンピューター・システムは、説明で引用されている従来技術と比較して新規性と進歩性の要件を満たしていると、査定は記している。
IV. しかし、それぞれ、ディジタル・コンピューターの内部メモリーに直接ロードできるコンピューター・プログラム製品(クレーム20)、およびコンピューターで使用可能な媒体に記憶されるコンピューター・プログラム製品(クレーム21)を示している、クレーム20と21の対象は、EPC第52条(2)および(3)の下で特許性を排除されているとみなされた。欧州特許庁の審査ガイドラインC-IV、2.3に従えば、それだけで、またはキャリア上の記録としてクレームされたコンピューター・プログラムには、その内容に関わらず特許性がないからである。
V. 審査部に提出された出願人(審判請求人)の主張は、技術的基準、経済的考慮および国際的な発展に基づいていた。第三の要素は特に、知的所有権の貿易的側面に関する協定(「TRIPS協定」)第27条、ならびに米国および日本の特許庁の審査ガイドラインに関連していた。
VI. 審判請求人は審判請求書において、査定を取り消し、上記の出願に対して欧州特許を付与し、補足の要請として、審判請求が認められるか否かについて口頭審判を行うように要請した。
VII. 口頭審判は1998年7月1日に行われた。審判請求委員会の手続規則11(2)に基づく、召喚状に添付された伝達において、委員会は予備的見解を以下のように要約した。
VIII. 書面および口頭審判で提出された審判請求人の主張は、次のように要約される。
2.1 本件に関するTRIPSの重要性について、本委員会は審判請求人の意見にかなりの範囲で同意する。
2.2 また本委員会は、TRIPSがEPCに直接適用されるという判断を、諸協定の法律に関するウィーン条約の下で、正当化することはできなかった。
2.3 TRIPSは直接EPCに適用されないかもしれないが、貿易的側面での知的所有権、そして特許権の利用可能性、範囲および使用に関する共通の基準と原則を打ち立てることを目指しているので、考慮に入れることは適切なことだと本委員会は考える。TRIPSは現在の傾向に対する明確な示唆を与える。
2.4 TRIPS第10条(1)によれば、「ベルヌ条約(1971)の下でコンピューター・プログラムは、ソース・コードかオブジェクト・コードかに関わらず、文学的著作物として保護される」ことを、本委員会は十分に認識している。しかしこの規定は、TRIPSの下では、コンピューター・プログラムにはその第27条に基づき特許性があるという、前記の結論を弱めない。審判請求人が正しく推定したように、第10条はコンピューター・プログラムに明示的に言及したTRIPSの唯一の規定であり、著作権がその規定によって与えられる保護手段であるという事実は、TRIPSの第10条と第27条の間の矛盾を生み出さない。著作権と特許による保護は、それぞれがそれ自身の役割を果たす、同一のもの(たとえばコンピューター・プログラム)を対象とするかもしれない異なる二つの法的保護手段を構成する。
2.5 審判請求人は米国と日本の特許庁の現在の慣行にも言及し、両特許庁の最近改訂された審査ガイドラインによれば、コンピューター・プログラム製品に関するクレームは現在認められていると指摘する。審判請求人は、かかるクレームの正確な定式化に関しては詳しく述べていない。
2.6 しかし、審判請求人が指摘したように、これらの展開は現在の趨勢についての有用な徴候となっている。これらは、強く望まれている特許法の(世界全体での)調和化に貢献するだろうと本委員会は考える。
排除条項自体に関して、本委員会は以下のことに留意する。
4.2 コンピューター・プログラムからの特許性の排除の範囲を定めるには、「自体」という表現の正確な意味を決定することが必要である。これにより、コンピューター・プログラム自体とはみなされないことによって特許性が与えられるコンピューター・プログラムを特定することができるかもしれない。
5.1 EPCの出願の文脈においては、発明の技術的性質は一般に、その特許性の必須の要件として認められている。これはたとえば、EPC規則27や29で説明されている。
5.2 コンピューター・プログラム自体からの特許性の排除(EPC第52条(2)と(3))は、かかるプログラムが、技術的性質に欠ける単なる抽象的な創作物とみなされるという意味であると解釈することができる。「発明とはみなされない」という表現の使用は、この解釈を確認すると思われる。
5.3 このことは、コンピューター・プログラムはそれが技術的性質をもつ場合には特許性をもつとみなされなければならないことを意味する。
5.4 この結論は、関係する三つの異なる規定と合致していると思われる。
(a) EPC第52条(2)に定められている特許性の排除
(b) EPC第52条(1)の一般規定。それによれば、欧州特許は、産業上の利用性をもち(したがって技術的性質をもち)、新規であり、進歩性をもつすべての発明に付与される。
(c) 排除の範囲の幅広い解釈を認めていないEPC第52条(3)の規定
5.5 したがって排除の解釈における主要な問題は、特に本件ではコンピューター・プログラムに関係した、「技術的性質」という特徴の意味を定めることである。
6.1 EPC第52条(2)と(3)に基づくコンピューター・プログラムの特許性の排除を解釈する目的では、コンピューター・プログラムは、コンピューター・プログラムであるというだけの理由で技術的性質をもつとみなすことはできない。
6.2 このことは、コンピューター・プログラムによる命令の実行から生じるハードウェアの物理的変形(たとえば、電流を引き起こす)は、それ自体では、そのプログラムの排除を避けるのに必要な技術的性質を構成できないことを意味する。
6.3 かかる変形は技術的とみなされるかもしれないが、コンピューター上で動かすことのできるすべてのコンピューター・プログラムに共通の特徴であり、したがって、技術的性質をもつコンピューター・プログラムを、コンユーター・プログラム自体から区別するのに使うことはできない。
6.4 したがって、上記の意味での技術的性質は別の所で探さなければならない。それは、コンピューター・プログラムが与える命令の(ハードウェアによる)実行によって生じるさらなる効果が技術的性質をもつかソフトウェアに技術的問題を解かせる場合に、その、さらなる効果の中に見付けることができる。かかる効果をもたらす発明は、原則としては特許の対象となりうる発明とみなすことができる。
6.5 したがって、ソフトウェアがコンピューターによって産業上のプロセスまたは機器の動作を制御する発明の場合ばかりでなく、コンピューター・プログラムが上記の意味の範囲内での技術的効果を得るための唯一の手段または必要な手段のうちの一つであるすべての場合に、たとえばその種類の技術的効果がプログラムの影響下にあるコンピューター自体の内部動作によって達成される場合に、特許が付与されうる。
6.6 前項ですでに示したように、その技術的効果は、プログラムが実行されているコンピューター自体の動作によって、つまりそのコンピューターのハードウェアの動作によって引き起こされてもよい。この状況でも、上記6.2および6.3で示された意味でのプログラムの命令の実行によって生じるハードウェアの物理的変形は、それ自身では、排除を避けるのに必要な技術的性質を構成しえないことは明らかである。
7.1 上記4、5および6の理由に含まれている考察は、EPC審判委員会の判例の主流に合致している。
7.2 コンピューター・プログラムの命令の実行によって生じるハードウェアの物理的変形は、それ自身では、EPC第52条(2)(c)および(3)の下での特許性の排除を避ける目的で要求されるコンピューター・プログラムの技術的性質を構成しえないという事実は、たとえば審決T 22/85(OJ 1990、12)「文書の抜粋と検索/IBM」に示されている。それによれば、ハードウェアの物理的変形は電流を引き起こす。
7.3 審決T 769/92(OJ 1995、525)「汎用管理システム/SOHEI」の対象は、そこで実行されるプログラムによって引き起こされる、コンピューターの内部動作に関係する発明の典型的な例であった。それによれば、発明に到達するのに技術的考察が要求されるという事実が、クレームされた発明に、第52条(2)(c)および(3)の下での特許性の排除を避けるのに十分な技術的性質を与えるとみなされ、システム全体の具体的な使用法には、重要性は与えられなかった。
7.4 本発明の基本的アイデアは、コンピューター・プログラムの中にある。
8. 本委員会はこの機会に、EPC第52条(2)(c)および(3)に基づく排除の程度を決定する目的では、上記の「さらなる」技術的効果は従来技術において知られていてもよいと考えていることを指摘する。
9.1 理由1においてすでに指摘したように、本件で決定すべき唯一の問題は、クレーム20および21の対象が、EPC第52条(2)および(3)に基づき特許性を排除されるか否かである。これらのクレームはコンピューター・プログラム製品に向けられており、何が「さらなる技術的効果」と呼ぶことができるかという観点から審査しなければならない。もしこの「さらなる技術的効果」が存在すれば、この対象はEPC第52条(2)および(3)に基づき排除されることはない。
9.2 このような製品は通常、プログラムがロードされたときに、ハードウェアに特定の結果をもたらす特定の手続きを実行させる、命令のセットから構成される。
9.3 本件では、発明の基礎となるアイデアがコンピューター・プログラムの中に存在しているということは自明である。また、かかる場合、プログラムがそこで実行されることを意図されているハードウェアが発明の範囲外である、つまりハードウェアが発明の一部ではないことも、明らかである。それは、プログラムの実行によって行われる物理的変化が起こる物体である。
9.4 すべてのコンピューター・プログラム製品は、そのプログラムがコンピューターで実行されたときに何らかの効果を生み出す。その効果は、プログラムが実行されている時に物理的実在にのみ現われる。したがって、コンピューター・プログラム製品自体は、物理的実在の中にその効果を直接もたらすわけではない。実行されているときにのみその効果をもたらし、したがって、その効果を生み出す「潜在的能力」をもっているに過ぎない。
9.5 審判請求された査定で示された理由と異なり、本委員会は、コンピューター・プログラムがもつ、コンピューターで実行されたときに開放され出現する潜在的な技術的効果から、その製品の技術的性質を導きだした。
9.6 したがって、特許性のある(たとえばコンピューターを操作するための)方法のすべての特徴を(内在的に)もっているコンピューター・プログラム製品は、原則として、EPC第52条(2)および(3)に下で特許性を排除されないとみなされる。
9.7 上記の本委員会の意見に基づき、プログラムの実行から生じるさらなる技術的効果が必要であるとすれば、その要件はクレームが上記のように構成されれば満足される。
9.8 以上の判断は、「VICOM」審決の理由16の第三および最後の段落で示された理由によって、さらに支持される。そこでは委員会は以下のように認定した。「最後に、適切にプログラムされたコンピューターによって制御される技術的プロセスに対して保護を与えるのに、設定されたときにその制御を実行するコンピューター自体には保護を与えないのは、非論理的であると思われる。」つまり、方法には特許を与えるが、その方法を行うように作られた装置には与えないのは非論理的だと思われる。その類推で本委員会は、同じ方法を行うように作られた方法および装置に特許を与えるが、その方法の実現を可能にするすべての特徴を含み、コンピューターにロードされれば実際にその方法を行うことができるコンピューター・プログラム製品には特許を与えないのは、非論理的であると認定する。
10.1 本委員会は、「コンピューター・プログラム自体」という表現の意味の諸側面を、「自体」に焦点を当てて分析し、コンピューター・プログラムは、「さらなる」技術的効果をもたらす潜在的能力をもっているならば、特許性を排除されないという結論に達した。
10.2 本委員会は、EPC第52条(2)(c)および(3)の下でのコンピューター・プログラム自体の排除に与えられた上記の解釈は、ここで引用されたウィーン条約の規定に完全に合致しているという意見である。
11.1 さらに本委員会は、第52条(2)(c)および(3)に基づく排除は、プログラムの内容とは無関係に、つまり、適切なコンピューターにロードされたときにそのプログラムが何を行うかとは無関係に、すべてのコンピューター・プログラムに適用されるという見解が、審判委員会の多くの判例、特に、メンバーは異なるが本委員会の判例で取られたという事実を認識していることを指摘したい。技術的性質をもつプログラムともたないプログラムを区別することは、そのような論理の下では認められない。
11.2 そのような論理の例は、審決T 26/86(OJ 1998、019、「x線装置/KOCH & STERZEL」、理由、3.1)、T 110/90 (OJ 1994、557、「編集可能な文書形式/IBM」、理由、5)、T 164/92(OJ 1995、305、「電子的コンピューター要素/ROBERT BOSCH」、理由、4)、あるいはT 204/93(未発表、「ソフトウェア・ソース・コードを生成するためのシステム/ATT」、理由、3.13)に見られる。
11.3 しかし引用した審決のいずれも、また、本委員会の知る限りにおいて審判委員会の他の審決も、本件のクレーム20および21のような、コンピューター・プログラム製品に向けられたものではなかった。
11.4 しかし幾つかの審判では、引用されたタイプの理由付けが、少なくとも一応、審決に達する際に支配的な役割を果たした(たとえば、上記のT 204/93 (未発表、「ソフトウェア・ソース・コードを生成するためのシステム/ATT」、理由、3.13を参照)。
したがって、本委員会は、この例についてコメントする義務があると感じる。
11.4.1 理由、3.13は、コンピューター・プログラムは具体的な目的のために有用または適用可能かもしれず、コンピューターはたとえば、プログラムによる制御の下で技術的プロセスを制御するかもしれず、判例によれば、かかる技術的プロセスには特許性があると述べている。しかし、かかる応用とは独立したコンピューター・プログラム自体は、実行されたときにその内容が技術的プロセスの制御にとって有用なものになるとしても、その内容とは無関係に特許性がないとも述べている。
11.4.2 本委員会は、「同様に」、プログラマーによるプログラミングという活動は「精神的行為」であり、その結果のプログラムが技術的プロセスの制御に使われうるか否かとは無関係に特許性はなく、通常でない手段を含まない方法でその活動を自動化しても、その結果のプログラムの内容に関わらず、プログラミングの方法に特許性を与えないと裁定した。
11.4.3 最後に、理由4.4に次のように記されている。「さらに、その方法クレームによって付与される保護を、かかるプロセスによって直接得られる製品つまりコンピューター・プログラムにEPC第64条(2)が広げるという理由によって、クレーム5が拒絶されるか否かを検討するのは不必要である。そのような拡大された保護は、EPC第52条(2)および(3)に基づきコンピューター・プログラム自体は特許性を排除されるという明示的な規定に反すると思われる。」
11.4.4 本委員会は以上の要約から、次のように結論付ける。上記の審決で与えられた真の客観的理由は、プログラマーによるプログラミングという活動が、EPC第52条(2)(c)および(3)に基づき排除される精神的活動を構成するというものであった。しかし、「同様に」という言葉は明らかに、コンピューター・プログラムが排除されるので、プログラミングという活動は特許性を排除されるということを意味する。そして、その活動の自動化(たとえば、コンピューター・プログラムという手段による)は、排除に打ち勝つ通常ではない手段を含んでおらず、結局、精神的活動を行うための方式・規則・方法およびコンピューター・プログラムという、どちらもEPC第52条(2)(c)および(3)に基づきそれ自体としての排除されるものの組合せに基づいていた。
11.5 以上すべてのことから本委員会は、この審決は欧州特許庁審判委員会の判例と、考え方および理由付けにおいてやや異なるアプローチに基づいているかもしれないが、判例において何が決定されたのかを考えれば、それとは直接抵触しないと結論付ける。
12.1 審査部は、クレーム1から19まではEPCの規定を満たしているという意見であった。
12.2 この審判請求は、EPC第52条(2)および(3)に基づき、クレーム20および21の対象の特許性が排除されるかという問題に関係している。審査部は、排除されると査定した。本委員会は、コンピューター・プログラム製品はすべての状況で特許性を排除されることはないとのみ審決したことを強調したい。本委員会にとって、その状況には、問題のクレームの正確な表現が含まれる。問題のクレーム20および21の表現が示すように、コンピューター・プログラム製品に関するクレームを定式化する方法にはさまざまなものがある。
12.3 本委員会は、審決T 410/96(1997年7月25日、未公表)に基づき、あるクレーム中での、別の範疇に属する他のクレームへの言及は、クレームのより簡潔な表現を達成するのに有用なことがあると指摘したい。
13. 最後に、上記のことから明らかなように、それ自体としてまたはキャリア上の記録としてクレームされたコンピューター・プログラムには特許性がないとの審査部の結論の根拠となった、ガイドライン、C-IV、2.3(1994年12月版の38ページ)に基づくEPC第52条(2)および(3)の審査部による解釈に、本委員会は同意しないことを注意する。
14. また、EPC第52条(2)および(3)に基づく排除に関しては、コンピューター・プログラムがそれ自体としてクレームされたか、キャリア上の記録としてクレームされたかは無関係であるというのが、本委員会の意見である(すでに引用した、審決T 163/85、OJ 1990、379、「カラーテレビ信号/BBC」に基づく)。
上記の理由により、以下の通り決定する。
1. 審判請求された査定は破棄する。
2. 本件は、審判請求人の要請に基づくさらなる追行のため、特に、コンピューター・プログラム製品はすべての状況で特許性が排除されるわけではないとの事実を考慮した上で、問題のクレームの表現はEPC第52条(2)および(3)に基づく特許性の排除を回避するかの審査のために、第一審に差し戻される。
登録官 委員長
M. Kiehl P. K. J. van den Berg