原告ENDRESS + HAUSER, INC. AND ENDRESS + HAUSER GMBH & CO.

被告HAWK MEASUREMENT SYSTEMS PTY. LIMITED, HAWK AMERICA, INC.
and DELAVAN, INC.

訴訟No. IP 92-440-C
インディアナ州南部地区連邦地方裁判所インディアナポリス部
1994 U.S. Dist. LEXIS 17845; 32 U.S.P.Q. 2D (BNA) 1768
1994年8月29日判決

弁護士:    [*1]原告:Donald E. Knebel, James A. Coles, Mark Janis, Dwight D. Lueck,
BARNES & THORNBURG, インディアナ州インディアナポリス

被告:         Thomas G. Watkins, III., CAHILL SUTTON & THOMAS, アリゾナ州フェニックス

裁判官:    SARAH EVANS BARKER, 首席裁判官、インディアナ州南部地区連邦地方裁判所

意見者:    SARAH EVANS BARKER

意見:         登録

この紛争は、被告Hawk Measurement Systems Pty. Limited, Hawk America, Inc.およびDelavan, Inc.(総称して「被告」または「Hawk」)が、Endress + Hauser, Inc.(「E+H米国」)とEndress + Hauser GmbH & Co.(「E+Hドイツ」)(総称して、「原告」または「E+H」)の特許を侵害したか否かを焦点とするものである。1994年4月8〜13日に侵害問題のみに関して大法廷審理が行われた。1証拠を聞き検討し、本法廷は、被告が原告の特許を文理的に侵害したと認定した。したがって本法廷は、以下の事実認定と法律問題についての結論を登録する。

I.      事実認定

A.    当事者

1.       ドイツ国モールブルクに主たる事業場所をもつドイツ国法人E+Hドイツは、水準・圧力測定装置を生産している。

2.       インディアナ州グリーンウッドに主たる事業場所をもつインディアナ州法人E+H米国[*2]も、水準・圧力測定装置を生産しており、関連する研究開発を行っている。E+H米国はE+Hドイツの米国における独占的代理店である。

3.       被告はHawk Measurement Systems Pty. Ltd,(「Hawkオーストラリア」)、Hawk America, Inc.(「Hawkアメリカ」)およびDelavan, Inc.(「Delavan」)である。オーストラリアの企業Hawkオーストラリアは、超音波水準測定システムをオーストラリアで生産し米国に輸出している。Hawkアメリカは、Hawkオーストラリアの製品を米国で販売している。

4.       アイオア州ウェスト・デス・モイネスに所在するアイオア州法人Delavanは、水準測定装置を生産し販売している。Delavanは1989年初頭から1991年中頃まで、米国で再販売するために、Hawkオーストラリアから製品を購入していた。(II-138, 1-139, 8: Beazley)。Delavanと原告との和解によって、Delavanは本訴訟から除かれた。

5.       1991年中頃、アリゾナ州法人Hawkアメリカが、Delavanに代わってHawkオーストラリアの米国での代理店となった。

6.       告発された装置[*3]を主に設計し開発し試験した、電気技師でありコンピューター・プログラマーでもあるGordon Beazley氏(「Beazley」)は、Hawkオーストラリアの創始者の一人であった。Beazleyは、Hawkの元社員であり、現在、Hawkオーストラリアの取締役兼顧問となっている。Beazleyと彼の妻は二人で、Hawkオーストラリアの20%を所有している。

B.    争点の製品

7.       本訴訟の争点の製品は、距離を測定するのに音を使う。この装置は、音波が目標物に当たって戻ってくるまでの時間を測定し、経過時間を2で割ることにより、距離を計算する。(I-92, 1-13: Silva)。

8.       争われている製品は、人間が聴取不可能な範囲の周波数をもつ音波を使うので、「超音波」システムと呼ばれている。(I-75, 10-17: Silva)。超音波の典型的な周波数は、20 KHz以上である。(I-76, 3-7: Silva)。

9.       超音波水準測定システムは、超音波パルスを生成し戻ってくるエコーを受信するのに、トランスデューサーを使う。(I-92, 1-8: Silva)。送信モードでは、トランスデューサーは、周期的に決まった長さの音のパルスを発する拡声器として機能する。受信モードではトランスデューサーは、送信されたパルスの放出後、決まった間隔の間に受信された音を聞く。

10.     超音波トランスデューサー[*4]は、電気信号を、目標物に向かって伝播する超音波に変換する、スピーカーとマイクロフォンの組合せのように振る舞う。(I-92, 1-8; I-121, 15-24: Silva)(証拠II)。超音波パルスが対象物に当たり、反射してトランスデューサーに戻った後、トランスデューサーは反射したパルスを電気信号に戻す。(I-121, 15-24: Silva)。

11.     本訴訟で争点となっている超音波水準測定システムは、囲まれた箱やタンク内部の物質の水準(高さ)を測定する。(I-109, 6-11: Silva)。

12.     囲まれた環境での水準の測定に超音波を利用することは、水中などの他の環境での距離の測定に音波を使うときに出会う問題とは非常に異なる、さまざまな問題を提起する。(II-76, 16-23: Silva)。

13.     主な問題は、システムが、囲まれた環境で生じる可能性のある多くの偽のエコーの中から、真の応答パルスつまりエコーを選びだすことが可能でなければならないことである。(I-99,23から100, 6: Silva)。

14.     囲まれた環境での偽のエコーは、多くの理由で生じる。たとえば、問題の物質の表面以外からの超音波や音波の雑音、側面やその他の物体[*5]からの反射、あるいは塵からの反射などである。(I-96, 15-97, 6: Silva)。

15.     偽のパルスは表面で反射するたびにエネルギーを失うので、真の反射パルスは、通常、最大強度をもつパルスである。(I-99, 1-22; I-104, 23から105, 5: Silva)。

C.    Hawkの侵害行為

16.     1988年頃から、Hawkオーストラリアは超音波を使う水準測定製品を製造した。(II-137, 7-14: Beazley)。

17.     1989年初頭、Hawkオーストラリアの製品が初めて、米国でその代理店Delavanに販売された。(II-138, 1-9: Beazley)。

18.     Delavanはその製品を、「SONAC」製品シリーズとして1991年中頃まで米国で再販売した。(II-138, 12-14; II-138, 24からII-139, 8; II-140, 22から141, 20: Beazley)(証拠K)。

19.     1991年中頃、Hawkアメリカは、Hawkオーストラリア製品を「Rangemaster」製品シリーズとして、米国で販売し始めた。(II-144, 14-16; II-145, 7から146, 3: Beazley)(証拠I)。

20.     HL0699からHL0704と標示されたHawk設計図(証拠H参照)は、1991年中頃から現在まで米国で販売されたHawk装置の回路の該当部分を、正しく示している。(III-28, 1-21: Beazley)。HL0707と標示されたHawk設計図(証拠H参照)は、1991年中頃から現在まで米国で販売されたHawk装置の回路板[*6]を正しく示している。(IV-98, 8から99, 5: Beazley)。

21.     Hawkオーストラリアは、そのRangemaster製品が、Hawkアメリカにより米国で箱やタンクでの利用のために再販売されることを意図した。(II-140, 4-19; II-163, 23から164, 6: Beazley)。

22.     Hawkオーストラリアは少なくとも、原告がDelavanに、Hawk装置が第'650号特許(下記、認定27参照)を侵害しているとのE+Hの考えを通知した1990年には、第'650号特許のことを知っていた。(II-148, 6-149, 8: Beazley)(証拠JJ)。

23.     Hawkオーストラリアは第'650号特許のことを知った後、第'650号特許の該当するクレームで具体的に求められている要素の一つである、アナログ−デジタル変換器を組み入れるために、その以前の装置(「Hawkコンパレーター装置」)を修正し、また、アナログ−デジタル変換器と合わせて使うために、そのソフトウェアを修正した。(IV-115, 8-25; IV-117, 5-10, IV-118, 16-22: Beazley)。

24.     Beazleyは、E+HによるHawkに対する侵害の非難はHawkにとって「大きな懸念」であったが、そして彼はHawkがE+Hの弁護士からの手紙に回答すると望んだしそう予想したが、彼は回答がなされたかどうかは知らないと、証言した。(II-150, 25から153, 1:[*7]Beazley)(証拠QQ)。

25.     Beazleyは、後にSONACおよびRangemasterシリーズとして販売された、Hawk装置を設計した。(II-140, 20-21: Beazley)。

26.     Beazleyは、1つまたは複数のしきい値コンパレーターを含むHawk装置の先行装置(Hawkコンパレーター装置)について証言したが、米国でのHawkの販売の過半数はHawkコンパレーター装置ではなくアナログ−デジタル変換器を含むHawk装置であり、米国で販売された装置がHawk装置なのかHawkコンパレーター装置なのかを示す記録をHawkはもっていない。(II-171, 8-14; IV-16, 10から17, 2: Beazley)。

D.    訴訟の特許

27.     米国特許第4,000,650号(「第'650号特許」または「Snyder特許」)は、超音波を使う物質水準測定装置に関係して、1977年1月4日に、Ellery P. Snyderに与えられた。(証拠AおよびB)。Snyder特許は46のクレームを含み、1994年1月4日に期限が切れた。

28.     E+Hドイツは現在、第'650号特許を所有しており、1988年5月3日以来それを所有していた。(証拠CおよびE)(I-34, 10から35, 18: Schaffer)(I-16, 9-12: 弁護士の合意)。

29.     第'650号特許は、パルスが箱の上から物質の表面まで進み、そして戻ってくるまでどれだけかかるかを判断するための[*8]、超音波と組み合わせたデジタル処理技術の利用を説明している。(I-89, 14から90, 1: Silva)。与えられている空気中の音の速度を使って、タンクの上から物質表面までの距離を決定することができる。(同上)。

E.    争われている特許のクレーム

30.     E+Hは、Hawk装置がSnyder特許のクレーム43、44および46を侵害したと主張する。クレーム44と46は、独立クレーム43の限定を組み入れた従属クレームである。

1)       クレーム43

31.     クレーム43は、手段プラス機能形式で以下のように表現された、独立クレームである。

「43. 貯蔵タンク中の物質の水準の測定に使用される、前記物質の上面に超音波パルスを向けそこから反射するエコー応答パルスを受けるトランスデューサーを含むコントロール・システム、ならびに、前記トランスデューサーに関連して動作する、トランスデューサーと物質表面との間の超音波パルスの往復時間に基づいて物質の水準を決定するためのコントロール回路における、エコー応答パルスを各エコー・パルスの相対強度を示す数値をもつデジタル信号[*9]に変換する変換手段、ならびに、数値化された応答パルスの相対的数値に基づいて物質の水準を決定する、前記変換手段に対応する水準決定手段から、コントロール回路が構成されるようにするための改良。」
(原告の証拠A)。

a)       「コントロール・システム」

32.     両当事者はHawk装置が、貯蔵タンク中の物質の水準を測定するのに使われる、文字通りのコントロール・システム(つまり、他の装置をコントロールできるシステム)であることを争ってはいない。(I-126, 11から129, 6: Silva)(II-168, 2-5: Beazley)(証拠K)。

b)      「トランスデューサー」

33.     Hawk装置が文字通り、超音波パルスを貯蔵タンクの物質の上面に送り、その表面で反射したエコー応答パルスを受けるトランスデューサーを含んでいることに争いはない。(I-129, 7から131, 10: Silva)(II-164, 7-11; II-166, 18-23: Beazley)(証拠K、シート3、「動作原理」の下で)。

c)       「コントロール回路」

34.     Hawk装置が文字通り、トランスデューサーと物質表面との間の超音波パルスの往復時間[*10]を基にして、物質の水準を決定するための、作動においてトランスデューサーに関連した、コントロール回路を含んでいることに争いはない。(I-131, 11から133, 7: Silva)(II-167, 7-20: Beazley)。

d)      「変換手段」

(1)     機能

35.     クレーム43の変換手段要素は、「手段プラス機能」形式で書かれており、記されている機能は、アナログのエコー応答パルスを得て、それを、各エコー・パルスの相対強度を表わすデジタル数に変換するというものである。(I-135, 17から136, 6: Silva)。これは、アナログ−デジタル変換器一般に共通の機能である。(同上)。

36.     アナログのエコー応答パルスを得て、それを、各エコー・パルスの相対強度を表わすデジタル数に変換するという機能は、Hawk装置でもそのまま行われる。(I-136, 7-13: Silva)。

(2)     手段

37.     「変換」機能を行うために第'650号特許の明細書で開示された回路部分は、アナログ−デジタル変換器122である。(証拠A、図2; 証拠DD)(I-136, 23から137, 12: Silva)。

38.     Hawk装置には、「変換」機能を行うためのアナログ−デジタル変換器(または「デジタル・サンプラー」)が含まれる。(I-138, 12から140, 21: Silva)(証拠H、シートHL-0703)[*11](証拠FF)(II-143, 15-18; IV-108, 3-11: Beazley)(証拠H、シートHL-0707、パートU-100)。

39.     「変換」機能を行うためにHawk装置で使われているアナログ−デジタル変換器(または「デジタル・サンプラー」)は、第'650号特許図2のアナログ−デジタル変換器122と同一か、少なくとも等価である。(I-140, 22から141, 16; II-45, 25から46, 15: Silva)。

e)       「水準決定手段」

(1)     機能

40.     クレーム43の「水準決定手段」要素は、「手段プラス機能」形式で書かれており、記されている機能は、数値化された応答パルスの相対値を基に、物質の水準を決定することである。(I-142, 2-17: Silva)。

41.     クレーム43の「水準決定手段」に記されている機能には、最大サンプル値を特定するために、各エコー・パルスの強度を示す一連のサンプル値を比較することが含まれる。(I-142, 2から143, 2; I-143, 19-24: Silva)。

42.     「水準決定」機能を行う過程で、クレームされた発明によって特定される最大サンプル値は、最大エコー・パルスの面積に対応する、数の和に比例する。(IV-166, 9-22; II-98, 81-21: Silva)。

43.     トランスデューサーと物質表面との間のパルスの往復時間を決定するため、この機能[*12]には、最大サンプル値に対応する「時間標識」が含まれる。往復時間は、トランスデューサーと物質表面との距離の決定に使われる。(I-143, 25から144, 6: Silva)。

44.     両当事者は、第'650号特許の明細書が、開示された装置は積分が必要ない短距離作動モード(2〜21フィート)で作動可能であると述べていることに合意している。長距離作動モード(21フィート超)では積分が行われうるが、第'650号特許の明細書は、長距離モードで積分が必要であるとは述べていない。したがって、クレームされた「水準決定」機能は、連続するエコー・パルスの積分を含んでいるが要求はしていない。(II-55, 24から56, 24: Silva)。

45.     Hawk装置は、一連のサンプル値を比較し、最大サンプル値とそれに付随する時間標識を特定し、時間標識を距離の決定に使用するので、第'650号特許のクレーム43の「水準決定手段」要素に記されている機能を正確に行う。(I-144, 7から145, 2: Silva)[*13](IV-134, 17から135, 9: Beazley)。

46.     「水準決定機能」を行う過程でHawk装置が検知する最大サンプル値は、エコー・パルスの最初からピークまでの高さを加え、単位幅を仮定することによって計算される、最大エコー・パルスの面積を表わす。(IV-132, 7-18: Beazley)。Hawkによる最大サンプル値の検知は、「水準決定」機能の実行過程でクレームされた発明が行う最大サンプル値の検知と機能的に同一である。(II-115, 3から116, 6; IV-165, 18から166, 25: Silva)。

47.     Hawk装置の「目的」が「最大エコーの特定」であることは、争われていない。(IV-40、3-10: Beazley)。

(2)     手段

48.     「水準決定」機能を行うための、第'650号特許の明細書で開示された回路部分には、加算器124、MOS(金属−酸化物半導体)レジスター126、ANDゲート128、コンパレーター130、最大値レジスター132、アドレス・レジスター134、表示レジスター136、およびデジタル−アナログ変換器138が含まれ、すべてが第'650号特許図2に示されているように接続されている。(I-145, 3-19: Silva)(証拠A、図2と欄7、1.4-63; 証拠CC)。

49.     一般に、[*14]これらの構成要素は3つの範疇に分けられる。パルスのA/D変換によって得られるデジタル値とそのデジタル値に付随する時間標識を記憶するための記憶部分(I-116, 16-22: Silva)、最大相対強度をもつパルスを検知するためにパルスの振幅を比較する比較装置(I-116, 21から117, 3: Silva)、そして表示する数値を作るための表示装置である。(I-117, 4-6: Silva)。そしてそれらが組み合わさって、構成要素は本質的に3段階であるプロセスを実行する(サンプル値を比較し、最大サンプル値とその時間標識を検知し、その情報を使って距離を決定する)。(I-117, 7から118, 1: Silva)。

50.     「水準決定」機能を実施するための第'650号特許で開示された回路が、「デジタル積分器」(加算器124、MOSレジスター126およびANDゲート128から構成される)およびそれに続く「デジタル・ピーク検知器」(コンパレーター130、最大値レジスター132、アドレス・レジスター134)、と呼ぶことができるということは、この回路が単に、単一のエコー反射パルスを処理する最大値検知器として使えるという事実と、完全に合致している。(I-204, 8から205, 24:[*15] Silva)。

51.     「水準決定」機能を実施するための第'650号特許で開示された回路は、侵害に関する装置の分析を変えることなしに、「デジタル積分器」(加算器124、MOSレジスター126およびANDゲート128から構成される)およびそれに続く「デジタル・ピーク検知器」(コンパレーター130、最大値レジスター132、アドレス・レジスター134)、あるいは、デジタル・データの記憶、条件付けおよび比較を行う一連の構成要素と呼ぶことができる。(I-207, 8-25: Silva)(証拠GG)。

52.     クレーム43の「水準決定手段」要素に記されている「水準決定」機能を行う、Hawk装置内の回路部分は、証拠EEで、正しく特定されている。(I-154, 19から155, 5: Silva)。

53.     「水準決定」機能を行うのに使われる、Hawk装置内の回路部分の一つは、マイクロプロセッサーである。(I-155, 6-10: Silva)(証拠EE)。

54.     Hawk装置内のマイクロプロセッサーは、エコー応答パルスのデジタル化によって得られる数字を比較し、「水準決定手段」を構成する他の構成部分と協力して、最大面積をもつエコー[*16]を表わす最大サンプル値を決定し、その情報を、距離の計算の基礎として利用する。(I-159, 3-12: Silva)(III-14, 1-15; III-15, 20から16, 4: Beazley)(証拠F、p. 25)。

55.     マイクロプロセッサーが「水準決定」機能を行うことを可能にする、Hawk装置内のその他の構成部分には、「ラッチ」と呼ばれる回路、EPROM(消去可能でプログラム可能なロム)として知られるチップ3つからなるセット、RAMチップ、および表示装置を動かす構成部分が含まれる。(I-157, 13-24; I-157, 25から159, 2: Silva)(証拠EE)。

56.     Hawk装置内のRAMチップは、エコー応答パルスに付随するデジタル値を記憶し、付随する時間標識も記憶する。(I-159, 3-12: Silva)。

57.     Beazleyは、配線システム(つまり、メモリーやレジスターなどの別個の構成要素が配線でつながれているシステム)がマイクロプロセッサーで模倣できることは「かなり自明」であると認めた。(II-127, 20-22; II-128, 1-4: Beazley)。

58.     Beazleyは、マイクロプロセッサー・システムを取り、第'650号特許がすることに対応するソフトウェアを書くことは数時間、おそらく1日以内でできるだろうと証言した。(III-102, 15-23: Beazley)。

59.     Hawk装置内で「水準[*17]決定機能」を行うのに使われる回路部分は、「水準決定」機能を行うために第'650号特許で開示された回路部分に等価である。なぜなら、この分野の通常の技能をもつ人ならば、正確に水準決定機能を行うようにプログラムされたマイクロプロセッサーを、水準決定機能を行う第'650号特許で開示された回路要素の集合に対する、自明の代替物であるとみなすからである。(I-159, 19から160, 22: Silva)。

2)       クレーム44

60.     第'650号特許のクレーム44は、次のように述べる:

「44. 物質表面までの目分量での距離に基づきあらかじめ選択されたパルス列にしたがって連続的に送られるパルスからの数値化された応答パルスを積分する手段、および前記パルス列の完了時に実際の距離を決定するために積分されたパルスを計算する手段から、水準決定手段が構成されるようにする、クレーム43に記されている改良。」

a)       「積分手段」

(1)     機能

61.     第'650号特許のクレーム44の「積分手段」に記されている機能は、あらかじめ選択されたパルス列にしたがって連続的に送られるパルスからの数値化された応答パルスの処理である[*18]。(I-165, 13-24: Silva)。

62.     「積分」とは、異なるエコー・パルスからの数値を互いに加えることを意味するが、1つのエコー・パルスにゼロを加えることを指すために使われることもある。(I-153, 9-13; II-112, 6-9: Silva)。

63.     第'650号特許のクレーム44の「積分手段」要素に記されている機能において、あらかじめ選択されたパルス列におけるパルス数は、「あらかじめ選択された」という用語の利用によって示されるように、1つでも構わない。(I-165, 13から166; 9: Silva)。

64.     1つからなる列という概念は数学的に完全に正しいので、第'650号特許の審査経過が、方法クレーム12の説明で「パルス列」に言及しているという事実は、第'650号特許の明細書で開示されている装置が単一のエコー応答パルスを処理できるという事実と完全に合致している。(I-214, 4から215, 23: Silva)。

65.     第'650号特許のクレーム44の「積分手段」に記されている「積分」機能は、Hawk装置によって正確に実施される。(I-166, 9-19: Silva)。

(2)     手段

66.     クレーム44の「積分手段」要素に記されている「積分」機能を行うための、第'650号特許に開示されている回路部分は、加算器124、MOSレジスター[*19]126およびANDゲート128であり、総称してデジタル積分器123と言及することができる。(証拠A、欄7、4-23行)。

67.     「積分」機能を行うための、第'650号特許に開示されている回路部分は、連続的なエコー応答パルスを積分することができるが、連続するエコー応答パルスのどれも積分することを要求されるわけではない。(I-153, 17から154, 13: Silva)。むしろ、特許は、8個以下のパルスを積分すると記している。(同上)(証拠A、欄7、24-28行)。

68.     コントロール・ロジック70とパルス・カウント・ピックオフ86が、「積分」機能を行う回路部分が処理する、エコー応答パルスの数をコントロールする。(I-154, 2-5: Silva)(証拠A、図2)。

69.     1つのエコー応答パルスを処理するか8つのエコー応答パルスを処理するかに関わらず、「積分」機能を行うのに同じ回路部分が使われる。(II-110, 21から111, 4: Silva)。その構成部分が1つのエコー応答パルスを処理するのに使われる場合でも加算器124は使われるが、コントロール回路で使われるカウントは、加算器がゼロを加えるように調整される。(同上;I-154, 14-18: Silva)。

70.     「積分」[*20]を行う回路部分は8つまたは「それ未満」のエコー応答パルスを積分できると第'650号特許は記しているので、1つのエコー応答パルスの処理のためのこれらの構成部分の利用は、第'650号特許の教示の範囲内である。(I-154, 6-13: Silva)。

71.     第'650号特許のクレーム44の「積分手段」要素に記されている「積分」機能は、クレーム43の水準決定手段に関して説明されたのと同じ理由で、Hawk装置においても、「積分」機能の実施のために第'650号特許の明細書に開示されている構成部分に等価な回路部分を利用して実施される。(I-166, 9-19: Silva)。

b)      「監視手段」

(1)     機能

72.     第'650号特許のクレーム44の「監視手段」要素に記されている機能は、パルス列が完了した際に実際の距離を決定するため、積分されたパルスを測定することである。(I-165, 13-24; I-168, 21から169, 5: Silva)。

73.     第'650号特許のクレーム44の「監視手段」要素に記されている「監視」機能は、Hawk装置によって正確に行われる。(I-169, 6-9: Silva)。

(2)     手段

74.     クレーム44の「監視手段」[*21]要素に記されている「監視」機能を行うために、第'650号特許で開示されている回路部分は、コンパレーター130、最大値レジスター132、アドレス・レジスター134、表示レジスター136、およびデジタル−アナログ変換器138である。つまり、加算器124、MOSレジスター126およびANDゲート128を除く、開示された「水準決定手段」の構成部分すべてである。(証拠A、欄7、24-28行)。

75.     第'650号特許のクレーム44の「監視手段」要素に記されている「監視」機能は、「監視」機能を行うために第'650号特許の明細書で開示された回路部分を使って、Hawk装置によって行われる。(I-169, 10-14)。

3)       クレーム46

クレーム46は次のように述べる:

「トランスデューサーが貯蔵タンクの上部に装着され、パルスを下方に送り、物質表面から、タンクの上部と物質表面間の空間を通って上方に反射されるパルスを受けるように向けられるようにする、クレーム43に記されている改良。」

76.     Beazleyは、Hawkオーストラリアのその製品のためのインストラクション・マニュアルがユーザーに、Hawkトランスデューサーをタンクに取り付け、測定される物質表面に向けるよう指示していると確認した。(III-17, 8-20: Beazley)(証拠F、p. 35)。

77.     Beazleyは、[*22]Hawkアメリカのインストラクション・マニュアルが、物質に向けて容器に据え付けられたトランスデューサーを示していることを確認した。(III-25, 20から26, 3: Beazley)(証拠G、p. 34)。

78.     Hawk装置は文字通り、タンクの上部に装着され、パルスを下方に送り、物質表面からタンクの上部と物質表面間の空間を通って上方に反射されるパルスを受けるように向けられたトランスデューサーを含んでいる。(I-167, 21から168, 13: Silva)。

79.     Hawk装置は、偽のエコーの除去、ノイズの除去、精度の向上のための補助機構を含んでいる。しかしこれらの補助機能のいずれも、侵害の問題には関係しない。

80.     以下に記される法律問題についての結論は、それが事実認定を構成する限りにおいて、裁判所により追加の事実認定として、引用によってここに組み入れられる。上記のいずれの事実認定も、それが法律問題についての結論を構成する限りにおいて、追加の法律問題の結論として、以下で引用によって組み入れられる。

II.     法律問題についての結論

1.       本法廷は、28 U.S.C. @@ 1337 (a)、1338 (b)、[*23]および1367 (a) に基づいて、両当事者、および本訴訟の係争物に対して裁判権をもっている。本地区は裁判地として適切である。

2.       米国内で他の人の特許対象の発明物を製作し使用し販売する人は、侵害の責任を負う。35 U.S.C. @@ 154, 271 (a)。

3.       E+Hは証拠の優越によって、侵害の存在を示す責任を負う。Smithkline Diagnostics, Inc. v. Helena Labs. Corps., 859 F. 2d 878, 889(連邦巡回、1998);Envirotech v. Al George, Inc., 730 F. 2d 753, 758(連邦巡回、1984)。

A.    文理侵害

4.       文理侵害は、2段階の分析を必要とする:「(1) クレームの範囲と意味を決めるための、その適切な解釈、そして (2) 適切に解釈されたクレームと、告発された装置またはプロセスの比較」。Conroy v. Reebok Intern. Ltd., 14 F. 3d 1570, 1572(連邦巡回、1994);Dolly, Inc. v. Spalding & Evenflo Companies, Inc., 16 F. 3d 394, 397(連邦巡回、1994);Read Corp. v. Portec, Inc., 970 F. 2d 816, 821, 23 U.S.P.Q. 2d 1426, 1431(連邦巡回、1992)。第1段階は、法律問題であり、第2段階は事実問題である。Standard Oil Co. v. American Cyanamid Co., 774 F. 2d 448, 452(連邦巡回、1985)。[*24]

5.       特許のクレーム要素の用語を解釈するのに、本法廷は、主として特許の明細書または説明を調べる。Arachnid, Inc. v. Medalist Mktg. Corp., 972 F. 2d 1300, 1302(連邦巡回、1992);In Re Donaldson, Co., Inc., 16 F. 3d 1189, 1193(連邦巡回、1994)。2

6.       文理侵害の調査の第2段階のためには本法廷は、クレームと侵害製品の要素ごとの比較分析をし[*25]、構造、作動および結果の同一性を判断しなければならない。Atlas Powder Co. v. E. I. Du Pont de Nemours & Co., 750 F. 2d 1569, 1579(連邦巡回、1984)。

7.       特許のクレームの各要素が告発された製品に含まれていれば、その製品は文理的に特許を侵害している。North American Vaccine, Inc. v. American Cyanamid, 7 F. 3d 1571, 1574(連邦巡回、1993)。侵害が存在するためには、特許のクレーム中の各限定が、正確に、または実質的に等価な物によって満たされていなければならない。Becton Dickinson & Co. v. C. R. Bard, Inc., 922 F. 2d 792, 796(連邦巡回、1990);Uniroyal, Inc. v. Rudkin Wiley Corp., 837 F. 2d 1044, 1054(連邦巡回)裁量上訴棄却、488 U.S. 825、109 S. Ct. 75, 102 L. Ed. 2d 51(1988)。

8.       侵害していると告発された製品が、特許のクレームの限定を1つでも満たさなければ、侵害は存在しない。Laitram Corp. v. Rexnord, Inc., 939 F. 2d 1533, 1535(連邦巡回、1991)。クレームの限定の1つが欠けていれば、法律問題として侵害はない。London v. Carson Pirie Scott & Co., 946 F. 2d 1534, 1539(連邦巡回、1991)[*26]

9.       従属クレームは、その従属クレームの明示的な限定のすべてが満たされており、その従属クレームが引用しているクレームの限定のすべてが満たされている場合に、侵害されている。Wahpeton Canvas Co., Inc. v. Frontier, Inc., 870 F. 2d 1546, 1552 n. 9(連邦巡回、1989)。

B.    手段プラス機能の規則

10.     35 U.S.C. @ 112、P 6は、手段プラス機能クレームの表現があるときの文理侵害の分析に適用され、次のように定めている。

組合せクレームの要素は、それを支持する構造、材料または動作を記載せずに、特定の機能を達成するための手段または工程として表現することができ、そのようなクレームは、明細書に記されている対応する構造、材料または動作、およびその等価物を対象とするように解釈される。3 [*27]

11.     「第112項の文脈では ... 特許の明細書で開示された構造、材料または動作へ重要なものを加えない、実質的でない変更は等価物となる。第112項の等価物の決定は、等価物の法理のエクイティ上の三者テストは関係しない。本法廷が述べたように、第112項の下での「唯一の問題」は、クレームされた機能を行う告発された装置の構造と、明細書の構造との比較である。」Valmont Industries, Inc. v. Reinke Mfg. Co., Inc., 983 F. 2d 1039, 1043(連邦巡回、1993)(引用省略)。

12.     「手段プラス機能の限定を満たすためには、告発された装置は、(1) 手段の限定に記されたものと同一の機能を行い、(2) 明細書で開示された構造または等価物を使ってその機能を行わなければならない。」Kearns v. Chrysler Corp., F. 3d, 1994 WL 416410(連邦巡回、1994年8月11日)(No. 93-1450、93-1470)、*11, n. 8(Carroll Touch, Inc. v. Electro Mechanical Systems, Inc., 15 F. 3d 1573, 1578(連邦巡回、1993を引用));[*28]Valmont Industries., Inc. v. Reinke Mfg. Co., Inc., 983 F. 2d 1039, 1042(連邦巡回、1993)(「... 告発された装置は、特許の明細書で説明されている ... 構造と同一の手段またはその等価物を採用し、[また]クレームに記されたものと同一の機能を行わなければならない。」)も参照。4 [*29]

13.     「一般に、手段プラス機能の限定の範囲を判断するとき、「クレームの表現、特許明細書、特許の審理経過、特許のその他のクレームそして専門家の証言」など、多くの要因が考慮される。」Hayes Microcomputer Products特許訴訟、982 F. 2d 1527, 1543(連邦巡回、1992)。

14.     「第112項6号を適用する際に、先行技術を考慮する必要はない。先行技術が同一または等価な構造を開示していても、そのクレームはその範囲によって限定はされない。問題の機能を行う、明細書で開示された構造の等価物とは何であるかを考えればよい。」Intel Corp. v. Int'l. Trade Comm'n, 946 F. 2d 821, 842(連邦巡回、1991)。

15.     第112項6号は、「すべての可能な手段から「等価」なものへ、クレームを限定するように機能する。」Intel、946 F. 2d, 145。「しかし、[@ 112, P 6]クレームの範囲は、無限定ではなく、明細書で明示的に開示された構造と対応する等価物に制限される。したがって、[*30]法規は、明細書を参照することを要求することによって、過度に広いクレームの解釈を阻み、同時に、明細書で明示的に開示された手段のみに対象を制限するという、過度に狭い解釈も排除する。」Symbol Technologies, Inc. v. Opticon, Inc., 935 F. 2d 1569, 1575(連邦巡回、1994)(強調は原文)。

16.     両当事者は、告発されたHawk装置が、Snyder装置で開示された構造と同一の構造ではないことを、争ってはいない。(I-195-196, 22-25: Silva)。唯一の問題は、Hawk装置が、Snyder特許の明細書で説明されている構造と等価な手段を採用しているか否かである。

C.    Hawk装置はクレーム43を侵害している

17.     本法廷は、Hawk装置が第'650号特許のクレーム43の「変換手段」要素に記されている「変換」機能を行い、第'650号特許で開示された回路に等価な回路を使ってその機能を行うと認定する。したがってHawk装置は、クレーム43の「変換手段」要素を文字通り満足する。(I-141, 17から142, 1: Silva)。

18.     本法廷はまた[*31]、第'650号特許のクレーム43の「水準決定手段」要素に記されている「水準決定」機能を行い、その機能を、「水準決定」機能を行うために第'650号特許で開示された回路に等価な回路を使って行うとも認定する。

19.     本法廷は、クレーム43の水準決定手段の部分は、複数の応答のデジタル的積分を要求するというHawkの議論を却下する。明細書は、積分を含まない短距離モードと積分を含む長距離モードの水準決定手段を説明している。水準決定手段で表されている機能の平明な表現は積分限定を含んでいないので、Hawk装置は文字通り、クレーム43の「水準決定手段」要素を満足する。(I-160, 23から161, 8: Silva)。5 [*32]

20.     Hawk装置は、多くの送られたパルスの列によって生成されたエコーを数値的に積分せず、またはデジタル・ピーク検知器をもっていないという事実は、Hawk装置が、文理侵害に要求される要素を満たしていないことを意味しない。

21.     Snyder特許の審査経過は、クレーム43の水準決定機能の範囲に対する限定を示唆も創出もしないと、本法廷は認定する。なぜなら、「「特許権者がクレーム中の特定の単語または句によって何を意味したかを解釈する必要性からまったく離れて」、クレーム中に限定を読み取ることは不適切だからである。」Zenith Laboratories, Inc. v. Bristol-Myers Squibb, 19 F. 3d 1418, 1422(連邦巡回、1994)(E. I. Du Pont de Nemours & Co. v. Phillips Petroleum Co., 849 F. 2d 1430, 1433(連邦巡回)、裁量上訴棄却、488 U.S. 986、109 S. Ct. 542、102 L. Ed. 2d 572(1988)を引用)。

22.     Hawkは、その回路部分が第'650号特許で開示されたものと等価でないという証拠をほとんど提示せず、また、Hawk装置は文字通り、変換手段要素、水準決定[*33]手段要素、そして第'650号特許のクレーム43の他のすべての要素を満たしているので、本法廷は、Hawk装置がクレーム43を文字通り侵害したと認定する。(I-161, 9-21: Silva)。

D.    Hawk装置はクレーム44を侵害している

23.     本法廷はまた、Hawk装置が、第'650号特許のクレーム44に記されている「積分」機能を行い、その「積分」機能を行うために第'650号特許で開示された回路に等価な回路を使ってその機能を行うと認定する。したがって、Hawk装置はクレーム44の「積分手段」要素を文字通り満足する。

24.     Hawk装置は、第'650号特許のクレーム44の「監視手段」要素に記されている「監視」機能を行い、その「監視」機能を行うために第'650号特許で開示された回路に等価な回路を使ってその機能を行うので、Hawk装置はクレーム44の「監視手段」要素を文字通り満足する。

25.     本法廷は、Hawk装置が第'650号特許のクレーム44の積分手段要素と監視手段要素およびクレーム43のすべての要素を文字通り満足すると認定したので、Hawk装置は従属クレーム44[*34]を文字通り侵害すると結論付ける。(I-167, 6-20: Silva)。

E.    Hawk装置はクレーム46を侵害している

26.     Hawk装置は、第'650号特許のクレーム46のトランスデューサー要素を文字通り満足し、また、クレーム43のすべての要素を満足するので、Hawk装置は従属クレーム46を文字通り侵害する。

27.     その各結論を得る際に、本法廷は、開示された手段を特定するために明細書を検討し、Hawk装置の機能を原告の特許対象の装置と比較し、それらが同一であると認定した。

28.     Silva博士の証言とBeazley氏の承認に基づき、本法廷はまた、E+Hは証拠の優越によって、回路部分は、水準決定機能を行うために第'650号特許で開示されたものと構造が等価であることを証明したと認定する。

29.     本法廷は、Hawk装置はデジタル積分器もデジタル・ピーク検知器も含んでおらず、必要な相違が存在するので、本法廷は侵害を認定することはできないとのHawkの議論を却下する。その代わり、本法廷は、告発された装置と特許対象の装置の相違は、侵害の目的にとっては実質的でない相違であると認定する。

30.     Hawk装置も[*35]補助機能(偽のエコーの除去、ノイズの選別および精密性の向上を含む)を含んでいるという事実は、これらの結論には影響しない。Hawk装置が文字通り、クレーム43、44および46のすべての要素を含んでいるからである。Amstar Corp. v. Envirotech Corp., 730 F. 2d 1476, 1482(連邦巡回)、裁量上訴棄却、469 U.S. 924, 83 L. Ed. 2d 240, 105 S. Ct. 306(1984)(「... 機能の要素の単なる追加による修正は、侵害を否定できない ...」)参照。

31.     その装置がノイズ・スパイクを取り除き、デジタル段階に移る前にアナログ段階で、特定されたエコーを処理し、したがって特許対象のSnyder装置よりもよい結果を得ることを示すことによっては、Hawkは侵害の認定を否定しない。Stiftung v. Renishaw PLC, 945 F. 2d 1173, 1179(連邦巡回、1991)(「... 特許対象の装置に対する改良は、必ずしも侵害を回避しない。」)参照。本法廷は、Hawk装置のノイズ除去の手段は、Snyder特許の非侵害を構成するのに十分には、実質的に異ならないと認定する。

32.     E+Hが[*36]証拠の優越によって、Hawk装置がE+Hの第'650号特許を侵害したと立証したと認定する際に、本法廷は、パデュー大学電気技術教授Leroy Silva博士の証言が、Gordon Beazley氏の証言よりも説得力があると認定する。Silva博士の意見は、特許庁におけるSnyder特許の出願過程の検討、その特許自体の彼の分析、Hawk装置とその資料の彼の分析、そしてこの分野での彼の確立した専門知識にしっかりと根拠を置いている。

33.     本法廷はHawkがE+Hの特許を文理的に侵害したと認定するので、等価物の法理の下での侵害を検討する必要はない。

F.    Hawkオーストラリアの寄与侵害

34.     当事者は、主要部分でなくとも、また非侵害の利用にかなり使われるとしても、少なくとも特許対象の装置の構成部品を、それが侵害のために実際に利用されることを知りながら販売することによって、その侵害に寄与することになる。35 U.S.C. @ 271 (c)。

35.     本法廷は、HawkオーストラリアによるHawk装置のHawkアメリカやDelavanへの販売は、HawkオーストラリアはHawkアメリカが[*37]それらを米国内で箱やタンクでの利用のために再販売することを知っていたので、@ 271 (c) の下での寄与侵害を構成すると認定する。

結論

上記の理由により、本法廷は、原告は証拠の優越により、被告Hawkアメリカが原告の特許を侵害し、被告Hawkオーストラリアが原告の特許を寄与侵害したことを示したと認定する。

本1994年8月29日に、以上の通り命令される。

SARAH EVANS BARKER, 首席裁判官
連邦地方裁判所
インディアナ州南部地区



1   特許の有効性、損害賠償金および弁護士報酬の問題は、争点とはされなかった。

2   Donaldson Co., Inc.訴訟、16 F. 3d 1189, 1193(連邦巡回、1994)では、連邦巡回裁判所は、次のように判断した:
第6号の平明で明確な意味は、クレーム中の手段プラス機能表現の解釈をする人は明細書を見なければならず、明細書が開示を行っている限りにおいて、その表現を、そこに説明されている対応する構造、材料または行為、およびそのその等価物に鑑みて解釈しなければならない。

3   Valmont Industries, Inc. v. Reinke Mfg. Co., Inc., 983 F. 2d 1039, 1043-44, 25 U.S.P.Q. 2d 1451, 1455(連邦巡回、1993)において連邦巡回裁判所は次のように指摘した:
第112項6号と等価物の法理は、別個の起源と目的をもっている。第112項6号は、組合せクレーム中の手段プラス機能限定の広範囲な表現を、明細書中に構造、材料および行為の等価物に限定する。等価物の法理は、排他的特許権をエクイティ上で拡大する。

4   Accord Penwalt Corp. v. Durand-Wayland, Inc., 833 F. 2d 931, 934, 4 U.S.P.Q. 2d 1737, 1739(連邦巡回、1987)(大法廷)(「述べられている機能を実施するための手段として表現されているクレームの限定が、文字通り満たされているか否かを判断するには、法廷は、告発された構造と開示されている構造を比較し、等価な構造を見付け、その構造に対してクレームされている機能を特定しなければならない。」)、および、Laitram Corp. v. Rexnord, Inc., 939 F. 2d 1533, 1536(連邦巡回、1991)(「手段プラス機能表現は、告発された装置上で読み取れなければならないばかりでなく、告発された構造が特許で説明されたものと異なる場合には、文理侵害については特許権者は、告発された装置が明細書で説明されている手段と構造的に等価であることを証明しなければならない。」)

5   Donaldson訴訟において本法廷は、「我々の判断は、特許明細書または特許出願書にのみ見られる限定は、クレームに持ち込むべきでもクレームから読み取るべきでもないという一般的なクレーム解釈原則と矛盾しない」と指摘した。16 F. 3d, 1195。