原告/交差上訴人MAS-HAMILTON GROUP
v.
被告/上訴人LaGARD, INC(現在はMasco Corporation)
および被告HI-SHEAR TECHNOLOGY CORPORATION

97-1530, 97-1546
米国連邦巡回控訴裁判所
1998 U.S. App. LEXIS 22116
1998年9月10日判決

訴訟履歴: [*1] 原審: ケンタッキー州東部地区米国地方裁判所、判事Karl S. Forester

処分: 原判決維持

主な用語: レバー、特許、ロック、侵害、ソレノイド、訴えられた、移動可能、ステッパー、ミーンズプラスファンクション、明細書、無効、対応する、カム、戻り止め、ハウジング、カム・ホイール、発明、侵害、スライド、スロット、パット、カンチレバー、アーム、解放、形式、文字通りに、文字通りの、実質的な相違、交差上訴、無効性

弁護士: 原告/交差上訴人に対してオハイオ州シンシナティ、Frost & Jacobs LLPのDavid E. Schmit

被告/上訴人に対してカリフォルニア州ロサンゼルス、Oppenheimer Wolff & Donnelly LLPのChristopher Darrow。上訴趣意書記載の共同弁護人として、Michael D. HarrisおよびGuy Porter Smith

裁判官: 巡回控訴裁判所判事、MICHEL, PLAGER, GAJARSA

意見書の提出者: MICHEL

意見書の作成者: 巡回控訴裁判所判事、MICHEL、

宣言的判決の被告人/上訴人La Gard Inc.(「La Gard」)は、非陪審審理の後に、宣言的判決の原告/交差上訴人Mas-Hamilton Group(「Mas-Hamilton」)のX-07ロックによる米国特許第5,307,656号(「'656特許」)の侵害は証明されないと判示したケンタッキー州東部地区米国地方裁判所の決定を不服として上訴した。Mas-Hamilton v. La Gard, Inc., No. 94-349, slip op. at 74 (E.D. Ky. Mar. 5, 1997) を参照。侵害の訴えを受けたMas-Hamiltonは、'656特許が有効であるとする地方裁判所の決定に対して、交差上訴を提起した。訴えられたX-07ロック[*2] は '656特許の主張クレームを侵害していないとした地方裁判所の判断に明確な誤りはなく、'656特許は有効であるとした同裁判所の判断にも誤りはないと判断し、我々は上訴および交差上訴の双方に関して、原判決を維持する。

背景

'656特許の名称は「高度セキュリティー電子ダイアル・コンビネーション・ロック」である。この特許の図1を以下に示す。開示されたロックについては、この表を参照しながら説明する。電子コンビネーション・ロック20には、ロック状態とロック解除状態とを切り替えるためのロッキング機構、すなわちボルト36、カム・ホイールの回転でスロット88が移動するように、そのスロットを規定している周辺表面部を有する回転可能なカム・ホイール47、ロック状態とロック解除状態を切り替えるためのロッキング機構と連結される移動可能レバー46が含まれる。移動レバーは回転して、カム・ホイールとのかみ合わせを解除することができる。移動レバーをカム・ホイールにかみ合わせると、カム・ホイールの回転によってロッキング機構の状態が切り替わる。レバー上のカンチレバー・アーム52と戻り止め54は、一時的にカム・ホイールから離れている状態にレバーを保持する。ソレノイド(n1)と突出し型の戻り止め96は、レバーを解除[*3] 位置からカム・ホイールにかみ合わさる位置に移動させる。これによって、ロッキング機構はロック状態からロック解除状態に切り替わる。'656 pat., col. 7,1.4-col. 8,1.24.

[原本の図1を参照]

----------- 脚注 -----------
n1 ソレノイドは図1に表示されていないが、ソレノイド・ハウジング62の内部にある。
-------- 脚注終わり --------

訴えられたMas-Hamilton X-07ロックも、とりわけスロット、移動レバー、カンチレバー・アームを含むカム・ホイールを利用している。ただし、X-07ロックは、ソレノイドの代わりにステッパー・モーターを使用して、スライド部材を垂直に動かしてレバーを移動させるために、介在する複雑な一連の回転カムおよび旋回カム部材を通じて部分ギアを回転させる動力を供給している。

La Gardは、1994年8月に、'656特許を侵害しているとしてMas-HamiltonのX-07ロックを訴えた。Mas-Hamiltonは、1994年9月に、訴えられたロックが '656特許を侵害していないことを確認する宣言的判決を請求した。LaGardは、1995年7月に '656特許の侵害について反訴を提起し、これに対応してMas-Hamiltonは、'656特許は無効であり侵害されることはないとする積極的抗弁(affirmative defence)[*4] を主張した。本件は1997年2月に裁判所で審理され、地方裁判所は76頁にわたる意見で、'656特許は侵害されてもおらず、無効でもないと判示した。La Gardは、主張クレーム1、3、31、34、43に関して侵害を認めない判断を不服として上訴し、Mas-Hamiltonは本件の特許が無効ではないとする判断について交差上訴を行った。この上訴は、1998年7月1日の口頭弁論の後に、我々による決定のために提出された。

我々は、訴えられたX-07ロックには、主張クレーム1、3、31で要求されている「レバー操作手段」と、主張クレーム34および43で要求されている「移動連結部材」がないため、侵害は発生していないとした地方裁判所の判断に明確な誤りはないと判示する。従って、我々は '656特許の侵害がないことに関する地方裁判所の判決を維持する。さらに、Mas-Hamiltonの無効性に関する主張は、いずれも実体(本案)に関係するものではないとの判断においても、地方裁判所は誤りを犯していないため、我々は '656特許の有効性に関する地方裁判所の判決も維持する。

考察

I. 管轄権

この上訴の実体的事項について議論する前に、まず、管轄権の欠如を根拠として上訴の棄却を求めるMas-Hamiltonの係属中の申し立てについて、決定を下す必要がある[*5]。

Mas-Hamiltonは、La GardとMasco Corp(「Masco」)(係属中の特許に対するLa Gardの権益承継者)は、それぞれ当事者適格を与えられるために必要な '656特許の十分な所有権を持っていないため、本裁判所は今回の上訴に対する管轄権を持たないと主張している。Mas-Hamiltonによると、'656特許に関する権原の譲渡では、過去の侵害についての訴訟権に関する合意がなされなかったため、侵害の発生時における特許権者のみが、その侵害から発生した損害に対して訴訟を提起することができるという。従って、Mas-Hamiltonは、La Gardがもはや '656特許に関する権益を持っていないため、上訴を遂行する当事者適格を持たず、Mascoも現在 '656特許の権原を所有してはいるが、訴えられた侵害の発生時にはMascoではなくLa Gardがその権原を所有していたため、Mascoも当事者適格を持たないと主張する。

侵害の発生時に特許について法律上の権原を有する者だけが、その侵害から生じる損害に対して訴訟を提起することができるというMas-Hamiltonの主張は、次の判例を根拠としている。Crown Die & Tool Co. v. Nye Tool & Machine Works, 261 U.S. 24, 67 L.Ed. 516, 43 S. Ct. 254 (1923)、Enzo APA & Son, Inc. v. Geapag A.G., 134 F.3d 1090, 45 U.S.P.Q. 2D (BNA) 1368 (Fed. Cir. 1998)、Arachnid, Inc. v. Merit Industries, Inc., 939 F.2d 1574, 19 U.S.P.Q.2D (BNA) [*6] 1513 (Fed. Cir. 1991)。この主張は正しいが、この上訴における争点ではない。また、Mas-Hamiltonが根拠としている各判例で、侵害を主張している当事者は、訴訟が提起された時点でライセンシーにすぎず、特許権者は最初から参加していなかった。Crown Die, 261 U.S. at 39などを参照。

本件でMas-HamiltonがLa Gardに対して宣言的判決の請求を提起した時点で、La Gardは '656特許の特許権者であった。その特許権は、今回の上訴が提起された後の1997年10月21日になるまで譲渡されなかった。このため、上記の判例が要求しているように、侵害の発生時に特許権者であった者が訴訟を提起している。さらに、Mascoが '656特許の単なるライセンシーではなく、譲受人であることにも争いがない。

Arachnid事件で、本裁判所は最高裁判所判例の次の警告を繰り返した。

[原告は、侵害の発生時に特許権を持つ者でなければならないという規則の] 例外は、特許の譲渡[*7] に、過去の侵害に対する訴訟権の譲渡が伴う場合である。後者の譲渡は、明示的でなければならず、特許自体の譲渡から推論することはできないという点で、各当局の見解は一致している。

Arachnid, 939 F.2d at 1579 n.7, 19 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1519 n.7。本件で、最初の譲渡は、'656特許の「全ての権利、権原、権益」を移転しているが、過去の侵害に対する訴訟権も含まれることは規定していない。ただし、1998年6月1日に、La Gardは補足的な譲渡契約を締結した。これは、「La Gardとの合併以降、Mascoが過去の侵害に対する訴訟権を有することを遡及的に」確認した。

事実、Enzo事件で、我々は「遡及的な譲渡は、遡及的に当事者適格を与えるために十分ではない」134 F.3d at 1093, 45 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1371(強調は著者)と判示したが、これは本件には当てはまらない。本件では、訴訟が提起された時点でも、上訴が行われた時点でも、当事者適格に不足はない。従って、過去の侵害に対する訴訟権の付与について規定している補足的な譲渡によって、不十分な当事者適格が修正されているわけではない。

さらに、Enzo事件で、本裁判所[*8] は、権原の所有者が参加しなくても口頭による専属ライセンスと、後の遡及的な書面のライセンスによって、当事者適格が付与されるかどうかを判断する必要が生じた。我々は、当事者適格は与えられないと判示した。Enzo, 134 F.3d at 1093, 45 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1370-71を参照。本件では、対照的に、最初の譲渡契約は書面で行われ、La Gardは審理後にMascoと合併し、現在はMascoの一部門であるため、Mascoと別の主体ではない。このため、本上訴において、La GardまたはMascoのいずれの側についても、過去および現在において、当事者適格は欠如していないと判示する。従って、本裁判所は28 U.S.C. @ 1295 (a) (1) (1994) に従って管轄権を有し、Mas-Hamiltonの管轄権の欠如による棄却申し立てを否認する。

II. 侵害

特許権の侵害分析は、2段階に分かれている。第1に裁判所は主張クレームの範囲と意味を判断する。Markman v. Westview Instruments, Inc., 517 U.S. 370, 372-74, 134 L.Ed. 2d 577, 116 S. Ct. 1384 (1997) を参照。クレームの解釈は、上訴で独立に審理される法律問題である。Cybor Corp. v. FAS Techs., Inc., 138 F.3d 1448, 1456, 46 U.S.P.Q.2D (BNA) 1169,1174 (Fed. Cir. 1998) (in banc) を参照(「我々は上訴においてクレームの解釈について新たに審理する」と判示した)[*9]。第2に、正しく解釈したクレームを、侵害に関して訴えられた装置と比較する。Read Corp. v. Portec, Inc., 970 F.2d 816, 821, 23 U.S.P.Q.2D (BNA) 1426, 1431 (Fed. Cir. 1992) を参照。本裁判所は、事実審裁判所の事実上の侵害判断に明確な誤りがないことを審査する。Pennwalt Corp. v. Durand-Wayland, Inc., 833 F.2d 931, 936, 4 U.S.P.Q.2D (BNA) 1737, 1740 (Fed. Cir. 1987) (in banc) を参照。

35 U.S.C. @ 112, P6に従って記述されたクレームの限定事項は、ミーンズプラスファンクション(means-plus-function)の限定事項と呼ばれている。第112条6項は、当該限定事項が「明細書記載の... 対応する構成と、その均等物を対象とするものとして解釈される」と規定している。「ミーンズプラスファンクションの限定事項での「手段(means)」という用語は、実質的に明細書に開示された対応する構成を包括的に示すものである」。Chiuminatta Concrete Concepts v. Cardinal Indus., Inc., 145 F.3d 1303, 1308, 46 U.S.P.Q.2D (BNA) 1752, 1755-56 (Fed. Cir. 1998)。従って、対応する構成を決定することは、クレーム内の「手段」という用語の意味を決定することに相当し、これもクレーム解釈上の問題である。同上、B. Braun Med., Inc. v. [*10] Abbott Lab., 124 F.3d 1419, 1424-25, 43 U.S.P.Q.2D (BNA) 1896, 1899-1900 (Fed. Cir. 1997)(明細書に開示されたどの構成が手段の限定事項に対応するかに関して、覆審的に判断を下した)およびMarkman v. Westview Instruments, Inc., 52 F.3d 967, 977 n.8, 34 U.S.P.Q.2D (BNA) 1321, 1327 n.8 (in banc)(第112条6項に基づく均等性の決定が、法律問題であるか事実問題であるかという問題のみを留保した)を参照。

侵害分析の第2段階では、クレームと訴えられた装置とを比較する。Cybor, 138 F.3d at 1467, 46 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1184 (Winans v. Denmead, 56 U.S. (15 How.) 330, 338, 14 L. Ed. 717 (1853) を引用)を参照。文字通りの侵害を証明するには、特許権者は訴えられた装置に、主張クレームの全ての限定事項が含まれることを証明しなければならない。上記の判例を参照(Dolly, Inc. v. Spalding & Evenflo Cos., 16 F.3d 394, 397, 29 U.S.P.Q.2D (BNA) 1767, 1769 (Fed. Cir. 1994) を引用)。1つの限定事項でも欠落しているか、クレームされた通りに限定事項を満たしていない場合には、文字通りの侵害はない。Pennwalt, 833 F.2d at 934, 4 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1751を参照。

第112条6項の限定事項に関する文字通りの侵害について、事実認定者は訴えられた装置がミーンズプラスファンクションの節で言及されたものと同一の機能[*11] を実行しているかどうかを判断しなければならない。Pennwalt, 833 F.2d at 934, 4 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1739を参照(同一の機能が実行されていない場合には、文字通りの侵害はあり得ないと判示した)。同一の機能が実行されている場合には、事実認定者は、次に訴えられた装置が明細書に記載されているものと同一の構成もしくは材料、またはそれぞれの均等物を利用しているかどうかを判断しなければならない。Cybor, 138 F.3d at 1467, 46 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1184を参照。

均等論の下で侵害を判断するために、事実認定者は訴えられた装置の特定の要素と、クレームで言及され、明細書に記載の対応する手段構成に示されている主張クレームの限定事項の間で、構成上の相違が非実質的なものであるかどうかを判断する必要がある。Warner-Jenkinson Co. v. Hilton Davis Chem. Co., 520 U.S. 17, 137 L. Ed. 2d 146, 117 S. Ct. 1040, 1046 (1997) を参照。また、Cybor, 138 F.3d at 1467, 46 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1184も参照(制定法上の均等と均等理論の起源が異なることを説明している)。実質的な相違があるかどうかを判断する1つの方法は、Warner-Jenkinsonによって認可されたGraver Tank [*12] の機能、手段、結果に関する分析を適用することである。Warner-Jenkinson, 520 U.S. at, 117 S. Ct. at 1054; Graver Tank & Mfg. Co. v. Linde Air Prods. Co., 339 U.S. 605, 94 L. Ed. 1097, 70 S. Ct. 854 (1950) を参照。

A. 独立クレーム1、3、31

クレーム1は、とりわけ次のことを要求している。

当該暗証番号が入力された後に、継続的なダイアルの回転に対応して、当該カムに対して当該レバ****************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************uch, Inc. v. Electro Mechanical Sys., Inc., 3 F.3d 404, 409, 27 U.S.P.Q.2D (BNA) 1836, 1840 (Fed. Cir. 1993) を参照(「ミーンズプラスファンクションの限定事項を満たすためには、訴えられた装置は (1) 手段の限定事項で言及されたものと同一の機能を実行し、(2) 明細書で開示された構成またはその均等構成を使用して、その機能を実行しなければならない」)。訴えられたX-07ロックは、レバーを移動させる電力を供給するためにソレノイドを使用していない。その代わりに、X-07ロックはステッパー・モーターを使用している。ステッパー・モーターとは、非継続的に、短い時間、実質的に同じ角度だけ回転する電気モーターである。McGraw-Hill, ante, at 1918を参照。地方裁判所が第112条6項の分析で適切に指摘したように、ソレノイドは継続的に動作するため、かなりの電力を必要とする。Mas-Hamilton, slip op. at 59。「これに対して、X-07ロックで使用されるステッパー・モーターは、短い電気パルスによって作動し、電力を印加しなくても、この二次的な状態が維持され、[かつ] 手動によって元の状態に戻される」(同上)。また、訴えられたソレノイドは直線運動を利用しているのに対して、ステッパー・モーターはその電力を[*15] 回転運動に変換する。従って、我々は、訴えられたX-07ロックのステッパー・モーターが第112条の下でクレームされたソレノイドの構成上の均等物ではないとした地方裁判所の判断に誤りはないと判示する。従って、ステッパー・モーターを使用している訴えられた装置は、「レバー操作手段」の限定事項を文字通りに満たしていないため、訴えられたX-07ロックはクレーム1を文字通りには侵害していない。

同様に、均等論の下で、訴えられたX-07ロックが実質的に異なる機能を実行し、実質的に異なる方法で実行され、または実質的に異なる結果を得る場合には、そのロックはクレーム1を侵害しない。Engel Indus., Inc. v. Lock Former Co., 96 F.3d 1398, 1407, 40 U.S.P.Q.2D (BNA) 1161, 1167 (Fed. Cir. 1996) を参照。ソレノイドとステッパー・モーターは、どちらもロック内の他の構成要素、すなわちレバーに電力を供給する機能を持つ。ただし、第112条6項に基づく文字通りの侵害に関して説明したように、ソレノイドは継続的な電力を使用して、その電力を直線的な動きに変換するのに対して、ステッパー・モーターは断続的な電力を使用して、その電力を回転運動に変換する。ソレノイド・ハウジング内のソレノイド[*16] は、自動的に元の位置に戻るが、訴えられた装置のステッパー・モーターは、手動で元の位置に戻さなければならない。従って、ソレノイドとステッパー・モーターは、実質的に異なる方法でロックを操作するためにレバーに電力を供給しているとした地方裁判所の判断は誤っていない。よって、我々は、均等論に基づく侵害がないことに関する地方裁判所の決定を維持する。

クレーム3は、とりわけ次のことを要求している。

レバーを解除位置から動かして、カム・ホイールのカム表面にレバーの突出し部をかみ合わせるための実質的に非弾性のレバー移動要素。これによって、カム・ホイールを一定の方向に回転させると、ロッキング機構がロック状態からロック解除状態に切り替わるようになる。

'656 pat., col. 9, l. 64 - col. 10, l. 2(強調は著者)。地方裁判所は、このクレームの限定事項は「の手段(means for)」という用語に言及していないが、ミーンズプラスファンクション形式であり、従って、第112条6項を使用して解釈しなければならないと判断した。Mas-Hamilton, slip op. at 53を参照。La Gardは、この判断に異議を申し立てている。

La Gardは、「レバー操作[*17] 要素」は「の手段」という重要な文言を使用していないため、ミーンズプラスファンクション形式でクレームされていると解釈するべきではないと主張する。La Gardは、Greenberg v. Ethicon Endo-Surgery, Inc., 91 F.3d 1580, 39 U.S.P.Q.2D (BNA) 1783 (Fed. Cir. 1996) およびEthicon Endo-Surgery, Inc. v. U.S. Surgical Corp., 93 F.3d 1572, 40 U.S.P.Q.2D (BNA) 1019 (Fed. Cir. 1997) を根拠として、クレームが「の手段」という文言の後に機能について説明していない限り、第112条6項が適用されないと推定するべきであると主張する。Greenberg, 91 F.3d at 1583, 29 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1785などを参照。

この推定はクレームの解釈分析を始めるにあたって役に立つが、この推定だけで判断が下されるわけではない。本件では、上記の重要な文言が使用されていないが、限定事項に関する文言はいかなる構成も示していない。本件の限定事項は、特定の構成または材料ではなく、実行される機能として記述されている。35 U.S.C. @ 112, P6; Chiuminatta, 145 F.3d at 1307, 46 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1755を参照。

La Gardは、「レバー移動要素」が鍵業界で既知の構成であることを主張したが、地方裁判所はこれを認めなかった。「多くの装置は、それが実行する機能[*18] からその名前を取っている」Greenberg, 91 F.3d at 1580, 39 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1786ことは事実であるが、クレーム3の「実質的に非弾性のレバー移動要素」は、このような装置には含まれない。地方裁判所は、「レバー移動要素」が鍵業界で一般に理解される構成上の意味を持っていることは証明されていないと判断した。Mas-Hamilton, slip op. at 54を参照。我々はこの判断に合意する。Greenberg at 1583, 39 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1786を参照(「重要な点は(係属中の要素が)機能に関する用語で定義されていることだけではなく、その用語が構成の名前として関連業界で合理的に十分に理解される意味を持っていることである」と判示した)。La Gardは、「レバー移動要素」という用語が関連する鍵業界で合理的に十分に理解される意味を持っていないとする地方裁判所の判断が誤りであることを示す証拠を本裁判所に提出していない。

加えて、Greenberg事件で我々は次のことを強調した。

第112条6項は、クレームが「手段」という用語を使用している場合にのみ適用されるわけではない。特許商標庁は「手段」という用語のみによって、第112条6項が適用されるという主張を否認した。1162 O.G. 59 N. 2 (May 17, 1994) を参照。我々は、この判断に合意する。Raytheon Co. v. Roper Corp., 724 F.2d 951, 957, 220 U.S.P.Q. (BNA) 592, 597 [*19] (Fed. Cir. 1983)...を参照(「するために(so that)」という用語で示される機能に関する文言は、「の手段」によるクレームの文言と同等である」と解釈した)。

91 F.3d at 1584, 39 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1786-87。我々は、従来の「手段」という文言によって、ある要素が自動的にミーンズプラスファンクション要素となるわけではないが、反対に、このような文言がない場合にある限定事項をミーンズプラスファンクションの限定事項として解釈することが禁じられるわけではないとも指摘している。Cole v. Kimberly-Clark Corp., 102 F.3d 524, 531, 41 U.S.P.Q.2D (BNA) 1001, 1006 (Fed. Cir. 1996) を参照。

本件でクレームされた「レバー移動要素」は、機械的な構成ではなく、機能に関して記述されている。第112条6項を適用するべきではないとするLa Gardの主張を受け入れた場合、「移動要素」は、レバーを移動させることができる全ての装置を示す。しかし、La Gardのクレームは、レバーを動かす機能を実行する全ての考えられる方法または手段を対象とするほど広く解釈することはできない。また、第112条6項の適用を除外しうる構成が、限定事項に言及されてもいない。Cole, 102 F.3d at 530-31, 41 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1006を参照(組み合わせクレームの要素は、機能を支援する構成、材料、作用に言及せずに、特定の機能を実行するための手段または工程[*20] として表現することができること、および、当該クレームは明細書に記載された対応する構成、材料、作用と、それぞれの均等物を対象とするものと解釈されることを再確認した)。

このため、我々は、第112条6項を適用して、「レバー移動要素」を、明細書に開示された構成と、同一の機能を実行するその均等物に限定した地方裁判所の判断は正しかったと判示する。

指定された機能を実行するための対応する構成を特定するために明細書を参照して、我々は「レバー移動要素」には少なくともレバーを動かすための電力を供給するソレノイドが含まれると解釈する。'656 pat., col. 7, l. 24 - col. 8, l. 7。クレーム1についてすでに説明したように、X-07ロックはソレノイドの代わりにステッパー・モーターを使用している。ステッパー・モーターは、ソレノイドの構成上の均等物ではないため、「実質的に非弾性のレバー移動要素」という限定事項を満たしていない。従って、我々は、訴えられたX-07ロックが '656特許のクレーム3を文字通りには侵害していないと判示する。同様に、我々は、訴えられたX-07ロックが '656[*21] 特許のクレーム3を均等論の下でも侵害していないと結論付ける。これは、クレーム1に関して適用した分析の下で、クレーム3のソレノイドが、X-07ロックのステッパー・モーターとは実質的に異なる方法で動作するとした地方裁判所の判断に明確な誤りがないためである。

クレーム31も、「レバー移動要素」を要求している。'656 pat., col. 16, l. 65。従って、上記の分析の下で、クレーム31は文字通りにも、均等論の下でも侵害されていないとした裁判所の判断に明確な誤りはない。従って、我々はX-07ロックによりクレーム31は文字通りにも、均等論上も侵害されていないとした地方裁判所の判決を維持する。

B. 独立クレーム34および43

クレーム34およびクレーム43の双方は、とりわけ次のことを要求している。

暗証番号の入力の前に、カム表面とのかみ合わせを解除する位置にレバーを保持し、暗証番号の入力の後にレバーを解放する移動連結部材

'656 Pat., col. 17, ll. 45-48, col. 18, ll. 51-54。裁判所は、第112条6項に基づいて、この限定事項をミーンズプラスファンクション形式であると解釈した。Mas-Hamilton, slip op. at 41-42。地方裁判所は、「移動連結部材」が鍵業界で十分に理解される構成上の意味[*22] を持っているという証拠はないと判断した。同上を参照(Greenberg, 91 F.3d at 1583, 39 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1786を引用している)。

La Gardは、第112条6項に基づくクレームの限定事項の解釈において、地方裁判所は誤りを犯していると上訴の際に主張した。La Gardによると、地方裁判所は、クレームの「移動」という用語によって、第112条6項が適用されると見なした裁判所の判断は誤りであるという。クレームの「移動」という用語だけでこのクレームがミーンズプラスファンクション形式と見なされることはないという点で、我々はLa Gardに合意する。ただし、我々はそれに続く機能に関する文言が2つの機能を要求していることを指摘する。(1) 「暗証番号の入力の前にカム表面とのかみ合わせを解除する位置にレバーを保持し」、(2) 「暗証番号の入力の後にレバーを解放する」。このような文言は、ミーンズプラスファンクションの限定事項が「特定の機能」を規定することを要求する第112条6項の規定がまさに意図していたものである。35 U.S.C. @ 112, P6。さらに我々は、この2つの機能を定義している文言以外で、クレーム限定事項に含まれている残りの用語、すなわち「移動連結部材」が、この限定事項を第112条6項の範囲から除外させるいかなる構成も規定していないと考える。係属中の限定事項はミーンズプラスファンクション形式で適切に解釈されたため、我々は、「移動」という用語[*23] によって、第112条6項が適用されるとした地方裁判所の説明は、ほとんど害のない誤りであると判断する。

「移動連結部材」について開示された対応する構成と、均等物と見なされる構成を決定するために明細書を参照すると、レバー46は、凹み54内のカンチレバー・アーム52の配置によって、カム47とのかみ合わせから解除される位置に保持されることが分かる。また、正確な暗証番号が入力されると、ソレノイド・ハウジング62が右に移動し、カンチレバー・アーム52が凹み54から上昇して、ソレノイド・ハウジングの上部に移動する。そして、レバーは解放され、カムとかみ合う。'656 pat., col. 7, ll. 40-62を参照。従って、開示された構成は「保持」と「解放」の双方の機能を実行する。

この侵害の分析で、地方裁判所はX-07ロックの対応する構成が、正確な暗証番号の入力の後にレバーを解放する第2の機能要件を満たしていないと判断した。Mas-Hamilton, slip op. at 65を参照。特に、地方裁判所は「レバー・スタッドは常にスライド部材のスロット内にある」[*24](同上)と認定した。この裁判所の認定は、X-07ロック内のレバーは常にスライドと接触しているとするLa Gard社長の反対尋問での証言を根拠としている。

Q. クレーム34の移動連結部材に関して、あなたがクレーム34の移動連結部材と同定するX-07ロックの部分で、暗証番号の入力の後に、レバーの背面から突き出すスタッドのいかなる部分もスライドのチャンネルから解放されず、レバーのいかなる部分もスライドまたはスライド部材の移動によって解放されないというのは真実ですか。

A. はい。

Transcript of Trial, at 127-28 (Feb. 7, 1997)。我々は、地方裁判所がこの証言に依拠したことは、取り消し可能な誤りであるとは考えない。Glaxo, Inc. v. Novopharm, Ltd., 110 F.3d 1562, 1567, 42 U.S.P.Q.2D (BNA) 1257, 1261 (Fed. Cir. 1997) を参照(「地方裁判所によって信頼性を認めた証人による証言は、... Glaxoが侵害を証明できなかったとする裁判所の事実認定を十分に支持している」と判示した)。従って、我々は、X-07ロックの「移動連結部材」に対応する構成は、暗証番号の入力の後に、レバーを解放する機能[*25] を実行せず、均等機能も実行していないとした地方裁判所の判断に明確な誤りはないと判示する。X-07ロックのスタッドは、スライド部材の固定スロット内を上下に移動し、決してスロットを離れることはない。これに対して、カンチレバー・アームは、凹み54内の保持位置から解放されて、ソレノイド・ハウジング62の上部を移動する。また、スロット内に永続的に固定されるスタッドは、凹み内の保持位置から離れて、ソレノイドの上面に沿って移動することができるカンチレバー・アームの構成上の均等物には当たらない。従って、'656特許のクレーム34またはクレーム43も、文字通りには侵害されていないとする地方裁判所の判断に明確な誤りはない。また、訴えられた装置の「移動連結部材」に対応する構成には、レバーを解放する機能が全くないため、均等論の下でも侵害は発生していないとする判断にも明確な誤りはない。Pennwalt, 833 F.2d at 949, 4 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1752 (Nies, J., additional views) を参照(「[ある限定事項が] 全くない場合、すなわち訴えられた装置が、クレームの正確な [限定事項][*26] またはその均等物を含んでいない場合には、侵害は発生しない」と説明した)。

III. 有効性

Mas-Hamiltonは、'656特許の主張クレームが次に示す多数の理由のために無効であると、交差上訴において主張している。(1) 販売による非特許事由、(2) 公然使用、(3) 最良の態様、(4) 他者による発明。

35 U.S.C. @ 282の下で、特許は有効と推定される。その有効性に異議を申し立てる者は、明確で説得力のある証拠により、無効性を証明する責任を負う。Innovative Scuba Concepts, Inc. v. Feder Indus., Inc., 26 F.3d 1112, 1115, 31 U.S.P.Q.2D (BNA) 1132, 1134 (Fed. Cir. 1994); Hybritech Inc. v. Monoclonal Antibodies, Inc., 802 F.2d 1367, 1376, 231 U.S.P.Q.2D (BNA) 81, 87 (Fed. Cir. 1986) を参照。特許権者は、異議申立人が無効性に関して推定効果を有する一応の証拠を提出したら、特許権者は反証を提出する責任を負う。ただし、有効性の推定は失われず、訴訟手続きを通じて最終的な無効性の証明責任は引き続き異議申立人が負う。同上を参照。Mas-Hamiltonは、地方裁判所でも、本裁判所でも、どのクレームが無効であるのかを正確に特定していない。Mas-Hamiltonは、いくつかの一般的な理由により、'656特許は無効であると主張しているにすぎない。ここでは最も判断の難しい問題を提示している販売による非特許事由のみ[*27] を扱う。

35 U.S.C. @ 102 (b) の意味において、発明が販売されたか否かに関する最終的な決定は、我々が新たに審査する法律問題である。Pfaff v. Wells Elec., Inc., 124 F.3d 1429, 1432, 43 U.S.P.Q.2D (BNA) 1928, 1931 (Fed. Cir. 1997), 特許証、U.S., 118 S. Ct. 1183 (1998) を参照。ただし、我々は販売に関する判断の元になる事実認定について、明確な誤りがないことを審査する。同上 at 1433, 43 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1931を参照。「問題となるのは、米国での出願日より1年前として定義される標準日より前に、クレームされた発明の明確な販売または販売のオファーがあったかどうかである」(同上)。

'656特許の出願は、1990年12月17日に提出された。従って、Mas-Hamiltonは、1989年12月17日より前に明確な販売または販売のオファーがあったことと、その販売または販売のオファーの目的物が、クレームされた発明に十分な予測性または自明性を付与したことを明確で説得力のある証拠によって、地方裁判所で証明しなければならない。Mahurkar v. Impra, Inc., 71 F.3d 1573, 1576, 37 U.S.P.Q.2D (BNA) 1138, 1141 (Fed. Cir. 1995) を参照。

本裁判所は、Pfaff事件で、係属中の主張クレームを実施している装置が、基準日の前に販売されていたと判示して、地方裁判所の判決を覆した。Mas-Hamiltonは、[*28] Pfaff事件で提示された事実認定よりも、本件の事実認定は販売に関する非特許事由の認定に適合していると主張する。同上、at 1431, 43 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1929を参照。Pfaff事件では、基準日の前に口頭および書面の双方の購入注文が受け取られ、両当事者は基準日の前に明確な契約を締結していた。同上、at 1432, 43 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1930を参照。さらに、Pfaff事件では、第102条 (b) により特許が無効となるかという法律問題以外の事実については争いがなかった。同上、at 1433, 43 U.S.P.Q.2D (BNA) at 1931を参照。最後に、Pfaff事件では販売のためにオファーされたものが、後に発行された特許の装置であったことは明らかであった。

これに対して、本件で、両当事者は主要な事実問題、すなわちMoslerが法的権利の単なる潜在的なライセンシーであるのか、それとも装置の潜在的な顧客であるのかという問題について争っている。地方裁判所は、Moslerが単なる潜在的なライセンシーにすぎないと認定した。Moleculon Research Corp. v. CBS, Inc., 793 F.2d 1261, 1267, 229 U.S.P.Q. (BNA) 805, 809 (Fed. Cir. 1986) を参照(「発明および潜在的な特許権に関する権利の譲渡または[*29] 販売は、第102条 (b) の意味において、その発明の販売ではない」と判示した)。

Mas-Hamiltonは、地方裁判所と本裁判所で、La GardとMoslerの役員による1989年11月の会議が '656特許のロックの販売にあたると主張した。Mas-Hamiltonによると、会議の目的は10個のロックについて契約を取ることであったという。しかし、La Gardは、11月の会議が特許に基づくライセンスについてMoslerに関心を持たせることのみを目的とし、基準日が過ぎるまでいかなる取り決めも行われなかったと主張している。

地方裁判所は、証言に基づいて、La GardがMoslerに試作品を提示し、'656特許に記載されているものと実質的に同一の装置である追加の試作品の供給を提案したと認定した。ただし、地方裁判所は、その装置が試験または展示のみを目的とし、金銭上の取引があってもロックの商業上の販売には当たらないと認定した。さらに、Moslerに対するLa Gardのオファーは (1) その発明の製造権、または (2) 政府に対してその発明を販売するための専属権のいずれかのオファーにすぎず[*30]、いずれも装置自体の販売または販売のオファーには当たらないとも認定した。Mas-Hamilton. slip op. at 15。地方裁判所は、審理での証言と状況証拠の全体に基づいて、「いかなる時にも、La GardはMoslerに発明品の販売をオファーしていない」(同上)と判断した。

さらに、証言によって、Mosler(ある種の政府仕様を満たすロックの生産に関して、1989年にLa Gardと初期契約を締結した)が基準日前に出した購入注文は履行されず、提案されたロックの詳細に関して、いかなる合意にも達していないことが示された。従って、記録から、後に特許でクレームされたロックの明確な販売または販売のオファーがなかったとする地方裁判所の判断に明確な誤りがあるとは認められない。よって、我々は、販売に関する非特許事由の下で、'656特許が無効ではないとする地方裁判所の結論を維持する。

Mas-Hamiltonが上記に列挙した理論の下で、'656特許が無効であることの証明責任を果たしていないとする地方裁判所の判断には明確な誤りはないと判断し、我々は '656特許の無効性は証明されなかったとする地方裁判所の決定を維持する。無効性に関するMas-Hamiltonの他の主張は、議論の余地が認められないため、ここでは販売に関する非特許事由のみを扱った[*31]。

結論

我々は、訴えられたMas-HamiltonのX-07ロックが、この上訴の主題である '656特許のいずれの主張クレームも文字通りに、または、均等論の下で侵害していないとする地方裁判所の決定に明確な誤りがないと判示する。また、我々は、Mas-Hamiltonが提示した証拠によって、'656特許が明確で説得力のある証拠により無効と見なされることはないとした地方裁判所の判断にも明確な誤りがないと判示する。従って、上訴および交差上訴の双方に関して、我々は

原判決を維持する。

費用

各当事者は、自らの費用を負担するものとする。