PERSONALIZED MEDIA COMMUNICATIONS, L.L.C. を上訴人とし、
INTERNATIONAL TRADE COMMISSIONを被上訴人とし、かつDIRECTV, INC., UNITED STATES SATELLITE
BROADCASTING CO., HUGHES
NETWORK SYSTEMS, HITACHI HOME ELECTRONICS (AMERICA), INC.,
THOMSON CONSUMER ELECTRONICS, INC., TOSHIBA AMERICA CONSUMER
PRODUCTS, INC., MATSUSHITA ELECTRIC CORPORATION OF AMERICAを
訴訟参加人とする事件
98-1160
アメリカ合衆国連邦巡回控訴審裁判所
1998年合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ696号161ページ、レクシス30142、
合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ1880号48ページ(内務局)
1998年11月24日判決
経緯: [*1] UNITED STATES INTERNATIONAL TRADE COMMISSION (アメリカ合衆国国際貿易委員会)が下した決定に対する上訴
措置: 決定を一部支持、一部破棄、一部取消し、審理を差し戻す。
コアターム: 信号、検波器
弁護人: 上訴人の弁護はRobert P.(カリフォルニア州メンローパーク市Taylor, Howrey & Simon弁護士事務所)が担当。準備書面は同氏とワシントン市のRobert F. RuyakおよびCecilia H. Gonzalesが作成。準備書面に関する顧問として、Thomas J. Scott, Jr.(ワシントン市のHunton & Williams弁護士事務所)が参加。
被上訴人の弁護はCarl Bretscher弁護士(ワシントン市合衆国国際貿易委員会法律顧問)が担当。準備書面は同氏とLyn M. Schlitt(国際貿易委員会法律顧問)およびJames A. Toupin(国際貿易委員会副法律顧問)が作成。
DIRECTV, INC.、その他の訴訟参加人の弁護はLouis Touton(カリフォルニア州ロサンゼルス市Jones, Day, Reavis & Pogue弁護士事務所)が担当。準備書面は同氏とVictor G. SavikasおよびKevin G. McBrideが作成。顧問としてGregory A. Castanias(ワシントン市Jones, Day, Revis & Pogue弁護士事務所)が参加。
裁判官:リッチ、マイケルおよびルーリ巡回裁判官
意見作成: ルーリ巡回裁判官
意見: ルーリ巡回裁判官
Personalized Media Communications, LLC.(以下、「PMC」という)は、PMCの特許のクレーム6番、7番および44番 [*2]は侵害されておらず、また不明瞭であることを理由に無効であるとしたアメリカ合衆国国際貿易委員会(以下、「貿易委員会」という)の最終決定について上訴した。「ある種の衛星ディジタルシステム(DSS)の受信機とその部品について(No. 337-TA-392)」(貿易委員会1997年10月20日)(当初の決定)、一部支持(貿易委員会1997年12月4日)(最終決定)参照。上記クレームが不明瞭であることを理由に無効であり、クレーム7番は侵害されていないとした貿易委員会の判断には誤りがあるが、クレーム6番が侵害されていないとした判断は誤りでないため、当裁判所は決定を一部支持し、一部破棄し、一部取り消して、審理を差し戻す。当裁判所はクレーム44番の侵害に関するPMCの主張については意見を述べない。
PMCはテレビ放送に使用するシステムに関するアメリカ合衆国特許第5,335,277号の譲受人である。上記特許の明細書は大部で、328のコラムと22の図面があり、請求の範囲に記載されている発明の実施例は多数にのぼる。争点のクレームを理解するために必要な実施例にかぎって以下に説明する。
第5,335,277号特許のシステムには、複雑な [*3] 一般放送または有線テレビ放送の電波送信に埋め込まれたディジタル式制御信号の復調と処理を行う新奇の受信機が含まれ、上記明細書では制御信号を復調し、利用することの利点が強調されている。例えば、制御信号は受信機によって復調され、多チャンネルの番組送信から特定の番組を選びだすのに使用される。第5,335,277号特許のコラム17、l. 63からコラム18、l. 2まで参照。また、制御信号はビデオなどの周辺機器を遠隔操作するために利用することも可能である。上記文献コラム10、ll. 34から39まで参照。
明細書で説明されているとおり、放送の中には可変「位置」に複数の制御信号を組み入れることができる。
番組の送信時には、信号を一定期間、連続的に、または一定の間隔で送り、これを繰り返す。時々、または一回だけ信号を送ることも可能である。信号は可変位置に表示することができ、テレビでは垂直間隔(バーティカル・インターバル)[1]のライン20などの電波送信のビデオ部分に1ラインで表示することもできれば、1ラインのある部分または2ライン以上として表示することも可能であり、おそらくは通常の同調がなされたテレビではテレビ画像の外側に表示されるものと思われる。テレビやラジオ [*4] では、通常は人間の耳で聞き取れない可聴周波領域の一部に表示することもできる ...。いずれにしても、信号は情報を別々のタイミングまたは別々の位置で、離散的な言葉で伝達することができ、受信機はひとつの完全な命令を受信するためにこれらの情報をアセンブルしなければならない。
上記文献コラム9、l. 61からコラム10、l. 16まで参照。信号の位置は送信の中で変更することができるため、システムの制御装置はかかる位置の情報または制御信号に関するその他の情報をプログラムし、または事前に情報を与えられて、他の信号を無視して、関係する信号だけを識別できるようにする。以上は明細書の中で説明されており、「埋め込まれた信号の構成、タイミングおよび位置のパターンは、特定の時にかかるパターンの情報を与えられた受信機だけが信号を正しく処理できるように変更することができる」と述べられている。上記文献コラム9、ll. 43から47まで参照。[*5]
以上の開示の態様は第5,335,277号特許のクレーム6番および7番で以下のように書かれている。
6. テレビ番組の送信における事前に定められた信号を識別するために、複数の種類の信号が、可変位置または可変タイミングのパターンで伝送され、テレビ番組の送信は標準的なアナログ式ビデオおよびテレビとは別個に規定されて、下記の物から構成されるシステム。
特定の位置または特定のタイミングに基づいて、テレビ番組の送信を受信し、かかる送信に含まれる事前に定められた信号を復調するディジタル式検波器。および −
特定の位置または特定のタイミングで上記の検波器に事前に定められた信号を復調させるために、かかる信号の可変位置または可変タイミングのパターンをプログラムされ、機能上、上記検波器に接続された制御装置。
7. テレビ番組の送信の中からディジタル情報を含んだ特定の信号を捜し出し、または識別し、特定の信号に含まれる情報をアセンブルするために、上記送信については標準的アナログ式 [*6] ビデオおよびテレビとは別個に規定され、以下の物から構成されるシステム。
特定の位置または特定のタイミングにテレビ番組の送信に含まれる一部の情報を受信し、上記の特定の信号を捜し出すディジタル式検波器。
上記の特定の信号に含まれるディジタル情報を受信し、少なくともかかるディジタル情報の一部を情報または命令のメッセージ単位にアセンブルするために、機能上、上記ディジタル式検波器に接続された記憶装置。および −
上記の検波器に上記の信号を捜し出させ、復調させ、または出力させ、かつ上記の記憶装置がメッセージ単位をアセンブルするために使用する技術を制御するために、機能上、上記検波器および記憶装置に接続され、上記信号の構成に関する情報、または上記信号の可変位置もしくは可変タイミングのパターンをプログラムされた制御装置。
開示されたシステムの別の態様は、「ビデオ・オーバーレイ」を作り出す能力に関するものである。明細書に記載する一例として、視聴者は週に一度放映されるテレビ番組である「ウォール・ストリート・ウィーク」をユーザー用にカスタマイズして、個人が所有する株式のポートフォリオの運用成績をビデオ・オーバーレイとして、市場全体の値動き[*7]を示すグラフの上に表示することができる。この手順の詳細は以下のとおりである。
(テレビ画面には)従来どおり「ウォール・ストリート・ウィーク」のテレビ画像と音声が表示されている。この間、「ウォール・ストリート・ウィーク」は司会者のいわゆる「冒頭のお喋り」を放映し、司会者が「さて、グラフを見ますと、先週のダウ・ジョーンズ工業株価の動きはこのとおりです」と言ったところで、スタジオで作成されたグラフが送信される。図1Bはモニターのビデオ画面に表示されたグラフの画像である。次に司会者が「あなたがお持ちのポートフォリオの値動きはこのとおりです」と言うと、上記番組の送信に埋め込まれ、スタジオで作成された命令信号が生成され送信される。かかる信号は(受信機の解読器によって)識別された後、(マイクロコンピューターに)転送されて、マイクロコンピューターがシステム上で「グラフィック・オン」の命令を実行する。上記の信号は(マイクロコンピューターに対して)グラフィックスカードの中のグラフィック情報を合成されたビデオ情報に重ね合わせて、組み合わされた情報[*8]をテレビ画面に送信するように命令する。すると(テレビ画面には)図1Cに示すとおり、スタジオで作成されたグラフの上に、マイクロコンピューターが生成した加入者自身のポートフォリオの値動きを表すグラフの画像が表示されるのである。
上記文献コラム16、ll. 21から48まで参照。別の実施例は、顧客が自由自在に番組の内容と対話するために使用することができる「ローカル・インプット」に関する開示である。一例として上記文献コラム161、l. 53参照。
この開示の態様は請求クレーム44番で以下のように書かれている。
44. 以下の物から構成されるテレビ受信システム
一般放送または有線テレビ放送の電波送信を受信し、送信されたテレビ番組をテレビ画面に転送するためのテレビ受信器。
特定のテレビ番組の内容に対する視聴者の反応に関する情報を入力するための入力装置。
マスメディアの電波送信に含まれるディジタル情報を検出して、検出された一部の情報を演算処理装置に転送するために、機能上、マスメディア用受信器に接続されたディジタル式検波器。
上記のテレビ番組または視聴者の反応の情報に関係するビデオ・オーバーレイの情報を生成し、出力するために、機能上、上記の検波器および入力装置と接続された演算処理装置 [*9]。
上記のビデオ・オーバーレイを受信し、表示するために、機能上、上記の演算処理装置と接続されたテレビの表示装置。
PMCは、貿易委員会に対して不服を申し立て、本件訴訟の各訴訟参加人[2]が輸入を計画する衛星ディジタルシステム(DSS)は、PMCの第5,335,277号特許のクレーム6番、7番および44番を侵害しており、合衆国法律集第19編第1337章 (a)(1994年)(以下、「第1337章」という)の違反に該当すると主張した。これに対応して、貿易委員会は1996年12月18日に調査を実施した。連邦行政命令集第61編第66695章から96章(1996年)参照。調査は450ページに及ぶ当初決定にまとめられ、その中で行政法判事は貿易委員会に対して第1337章の違反は発生していないとの決定を下すよう勧告し、具体的には (1) 請求されたクレームは、合衆国法律集第35編第112章第2節に基づき不明瞭であることを理由に無効であること、(2) 請求されたクレームは、合衆国法律集第35編第112章第1節に基づき実施不可能であることから無効であること、(3) クレーム7番は合衆国法律集第35編第102章に基づき先行されていることから無効であること、および (4) 請求されたいかなるクレームも侵害されていないとする判断を下した。PMCは貿易委員会に対して当初決定の審査 [*10] を求める申立てを提起した。これに対して貿易委員会は審査を行わないことを決定し、行政法判事の各クレームの解釈、およびクレームは不明瞭であり、侵害されていないとする決定を採用したのである。当初決定2ページ参照。但し、貿易委員会は当初決定で取り上げられた残りの争点については意見を述べていない。上記文献参照。こうして、行政法判事によるクレームの解釈、およびクレームが不明瞭であり、侵害は発生していないとした決定だけが当裁判所に上訴されているのである[3]。
行政法判事の不明瞭性に関する決定は、請求されたすべてのクレームに書かれている「ディジタル式検波器」というクレームの限定[*11]が、合衆国法律集第35編第112章第6節(1994年)に基づきミーンズ・プラス・ファンクション・クレームと解釈されるという結論に基づくものである。行政法判事はかかる制限を「特定の構造に限定されない作用的言葉」と解釈した。当初決定82ページ。行政法判事はまず辞書の定義を調べたところ、「検波器」、「ディジタル式」および「ディジタル回路」の辞書の定義ではディジタル式検波器という言葉がその技術分野における通常の熟練を有する者に特定の構造を伝達しているか否かという疑問は解決できないことが分かった。上記文献67ページ。また明細書には「ディジタル式検波器」の「特定の構造」が記載されておらず、作用的言葉、すなわち、(ビデオの送信を構成する情報に)埋め込まれたディジタル信号の情報を復調する」装置として、ディジタル式検波器が説明されているだけであることも判明した。上記文献67ページ(第5,335,277号特許コラム21、ll. 46から47を引用)[4]。最後に、行政法判事は、通常の熟練を有する者であれば「ディジタル式検波器」をディジタル情報の検波器を指す言葉として理解するだろうが、上記の言葉には特定の構造 [*12]がなく、通常の熟練を有する者でも造りだすことはできないとする各専門家の証言を引用している。上記文献73ページから82ページまで参照。
行政法判事は「ディジタル式検波器」という言葉の範囲は合衆国法律集第35編第112章第6節の適用を受けるとして、対応する構造が記載されているかどうか判断するために明細書を調べたが、既述のとおり何も述べられていなかった。したがって、Dossel事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第115巻942ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第42号1881ページ[内務局])(1997年合衆国控訴審裁判所)等[5]に準拠して、行政法判事は「ディジタル式検波器」という言葉は不明瞭で、クレームは無効であるとの結論を下したのである。[*13]
a. クレーム6番および7番
行政法判事は、告訴の対象となった衛星ディジタルシステムによる侵害に関する二件の主張について考察している。一件目はPMCのクレームに記載された「位置」という言葉のPMCの解釈についてであり、主として明細書の上記部分に基づいて、「位置」という言葉には、テレビのビデオ送信の垂直間隔(バーティカル・インターバル)におけるライン、もしくはラインの一部、またはテレビ送信の可聴周波領域の周波数が含まれているとの結論を下している。当初決定88ページ参照。したがって、行政法判事は、「位置」という言葉はクレームにある制御信号の「搬送波」[6]を指しており、多チャンネルの番組送信から特定の搬送波を選択することは位置を元に制御信号を選択することであるとするPMCの主張を退けている。上記文献93ページ参照。特に、PMCの解釈は制御信号が「テレビ番組の送信」に表示されるとするクレームの要件と矛盾しているとして、行政法判事は「テレビ番組の送信」とは単チャンネルの番組送信で、多チャンネルの番組送信ではないと解釈している。上記文献89ページから90ページ参照。[*14]
二つ目の侵害の主張は、告訴の対象となった衛星ディジタルシステムがサービス・チャンネルID(以下、「SCID」という)を使用していることに関係する。SCIDの機能については一人の訴訟参加人の証人が以下のように説明している。
[A] 単一データ列は同調器、復調器および前方向エラー是正回路(Forward Error Correction circuitry)に入る。ここから単一データ列は転送回路に入って、データの各パケットは閉じ込められ、パケットのSCIDが選択したチャンネルのSCIDに合致する場合は、ビデオとオーディオのパケットが(復号される)。データ処理に関連する位置またはタイミングのパターンは存在しない。これらのパケットは予測できない順序で、予測できないタイミングで到着する。
上記文献228ページ。SCIDはクレームにある制御信号ではないため、侵害を構成しないとする行政法判事の決定の核心部分は、SCIDは信号の「構成情報」[7]であり、「位置」の情報ではないという点である。上記文献228ページ。行政法判事の決定は、クレーム7番は信号の構成と信号の位置を区別しているという事実に基づいている[8]。したがって、告訴された衛星ディジタルシステムは「特定の位置」で [*15] SCIDを識別するものではなく、よって、クレーム6番および7番を侵害していないとの結論を下したのである。上記文献230ページ、233ページ参照。
b. クレーム44番
行政法判事はクレーム44番の侵害に関するPMCの理屈を以下のようにまとめている。
(PMCは)告訴された衛星ディジタルシステムの視聴者はペイパー・ヴュー・チャンネル [*16] に同調することが可能で、同システムは、映画のシーンや監督と俳優のトークを流すことで、視聴者に番組の購入を勧誘することを企図していること、視聴者が、開始時刻、タイトル、視聴率などの番組に関する詳しい情報が欲しがっていることを示す、遠隔操作のキーパッド上のボタンを押せば、同システムの受信器は(類似の情報を含む)情報バナーなどの「テレビ番組」に関するビデオ・オーバーレイを表示すること、衛星ディジタルシステムの受信器は番組ガイドを表示し、これは(類似の情報を)表示したビデオ・オーバーレイであり、視聴者が遠隔操作のボタンを押したことによって生成される(と主張している)。
上記文献234ページ。行政法判事は衛星ディジタルシステムには「『上記のテレビ番組』に関係するビデオ・オーバーレイの情報またはクレーム44番で必要な『視聴者の反応に関する情報』を生成し、出力する能力はない」ことを理由に、クレーム44番を侵害していないと判断した。上記文献235ページ(強調は原文のまま)[*17]。行政法判事の判断は具体的には以下のとおりである。
衛星ディジタルシステムを使用している場合、すなわち、「マスメディアの電波送信」を受信し、「ビデオ・オーバーレイ」を生成している場合、(「テレビ受信器」に相当する上記システムの部分は)「テレビの電波送信」を受信する能力がないため、かかる送信を「テレビ画面に」転送できないことは明白である(上記文献235ページから236ページ)。
PMCは、かかる判断について当裁判所に上訴を提起した。当裁判所は合衆国法律集第28編第1295章 (a) (6)(1994年)に基づき管轄権を有している。
当裁判所は、「実質的証拠」の基準に基づいて貿易委員会の事実認定について審査する。合衆国法律集第19編第1337章 (c)(1994年)(第1337章に基づく決定によって悪影響を受ける者は、当裁判所に上訴して、第5編第7章に基づく審査を求めることができることを定めた規定)、合衆国法律集第5編第706章 (2) (E)(1994年)(「実質的証拠」の基準に基づく審査について定めた規定)、Intel Corp.対United States Int’l Trade Comm’n事件(合衆国控訴審裁判所判例集第2次シリーズ第946巻821ページ、832ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第20号1161ページ、1171ページ[内務局])(1981年合衆国控訴審裁判所)参照。上記の基準に基づいて、当裁判所は貿易委員会の事実認定が「通常人であれば決定を十分に裏付けていると認められるような関連性のある証拠 [*18] で裏付けられていれば」かかる認定を覆さないものとする。Surface Tech., Inc.事件United States Int’l Trade Comm’n事件(合衆国控訴審裁判所判例集第2次シリーズ第801巻1336ページ、1340ページから1341ページ。合衆国パテント・クォータリー第231号192ページ、196ページ[内務局])(1986年合衆国控訴審裁判所)参照。当裁判所は、貿易委員会が下した法的決定を改めて初めから審査する。合衆国法律集第5編第706章 (2) (A)(1994年)、YBM Magnex, Inc.対International Trade Comm’n事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第145巻1317ページ、1320ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第46号1843ページ、1845ページ[内務局])(1998年合衆国控訴審裁判所)参照。
「侵害の分析には二つの手順が伴う。一つ目の手順は、侵害が申し立てられた特許のクレームの意味と範囲を決定することである。二つ目は、侵害を犯したとして告訴されている装置と、正しく解釈された上記クレームを比較することである。Markman対Westview Instruments, Inc.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第52巻967ページ、976ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第343号1321ページ、1326ページ[内務局])(1995年合衆国控訴審裁判所)(全員法廷)、上訴棄却(合衆国判例集第517巻370ページ、合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第38号1461ページ[内務局]、合衆国最高裁判所判例集法律家版第134巻577ページ、合衆国最高裁判所判例集第116巻1384ページ(1996年)参照。一つ目の手順はクレームの解釈であり、当裁判所が改めて審査する法律問題である。Cybor Corp.対FAS Techs., Inc.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第138巻1448ページ、1456ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第46号1169ページ、1174ページ[内務局])(1998年合衆国控訴審裁判所)(全員法廷)参照。二つ目の手順は事実問題である。North Am. Vaccine, Inc.対American Cyanamid Co.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第7巻1571ページ、1574ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第28号1333ページ、1335ページ[内務局])(1993年合衆国控訴審裁判所)参照。クレームの解釈に際して、当裁判所は主として [*19] 内在的証拠、すなわち、クレーム自体、明細書の記述部分および手続追行の歴史を調べていく。Vitronics Corp.対Conceptronic, Inc.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第90巻1576ページ、1582ページから1583ページ、合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第39号1573ページ、1576ページから1577ページ[内務局])(1996年合衆国控訴審裁判所)参照。クレームの一部の文言が合衆国法律集第35編第112章第6節の対象となるか否かはクレーム解釈の問題であるため、法律問題であり、当裁判所が改めて初めから審査することができる。Mas-Hamilton Group対LaGard Inc.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第156巻1206ページ、1213ページから1214ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第48号1010ページ、1016ページから1017ページ[内務局])(1998年合衆国控訴審裁判所)(改めて審査を開始した事件)参照。同様に、クレームが合衆国法律集第35編第112章第2節に基づき不明瞭であるか否かも法律問題であり、当裁判所はこれについても改めて審査することができる。North Am.対Vaccine, Inc.対American Cyanamid Co.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第7巻1571ページ、1579ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第28号1333ページ、1339ページ[内務局])(1993年合衆国控訴審裁判所)参照。
PMCは、貿易委員会は「ディジタル式検波器」という限定を合衆国法律集第35編第112章第6節に基づくミーンズ・プラス・ファンクションの限定と解釈したことは誤りであると主張し、その裏付けとして、「ディジタル式検波器」という言葉は十分に明確な構造を伝達しており、我が国の判例法に基づき合衆国法律集第35編第112章第6節の適用は排除されると述べる [*20]。またPMCは、我が国の判例法によれば、機能に基づいて構造に名前が付けられているという理由だけで第6節を適用すべきでないことは明らかであると指摘し、最後に、上記の限定には「ミーンズ(手段)」という言葉が使用されていないことから第6節は適用されないという推定が働くと主張する。これに対して、貿易委員会は、証拠記録から、電気分野における通常の熟練を有する者でも「ディジタル式検波器」という言葉を特定の構造を暗示したものとは理解しないと思われるため、上記の限定は、「...のディジタル式検波器」の後に続く作用的文言によって全体が定義されているとして、この限定には合衆国法律集第35編第112章第6節が適用されると主張する。
合衆国法律集第35編第112章第6節は以下のように規定している。 組合せクレームの要素は特定の機能を果たす手段または方法として表現することができ、それを裏付ける構造、材料または作用を記述する必要はない。かかるクレームは明細書に記載された対応する構造、材料または作用およびそれらの同等物を対象にしたものと解釈する。
合衆国法律集第35編第112章第6節(1994年)(強調付記)。したがって、第6節は明細書で開示された、クレームの範囲に記載されている機能を果たす構造、材料または作用(およびそれらの同等物)に関する作用的文言で作成されたクレームの限定 [*21] を制限するものである。
当裁判所は、最近、ある種のクレームの文言が合衆国法律集第35編第112章第6節の対象となるか否かについて評価を行う複数の機会を得た。Greenberg対Ethicon Endo-Surgery, Inc.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第91巻1580ページ、合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第39号1783ページ[内務局])(1996年合衆国控訴審裁判所)において、当裁判所は、軸の連動について規定した移動止め機構」というクレームの文言を取り扱った。当裁判所は同事件で合衆国法律集第35編第112章第6節は適用されないとの判断を下し、特定の機構、本件では「移動止め機構」が作用的文言で規定されているという事実だけでは、かかる文言に含まれるクレームの要素を第112章第6節の趣旨における「特定の機能を果たす手段」とするには不十分で、実行する機能から名前が付けられている装置は、たとえば「濾過器」、「制動機」、「締金」、「ねじまわし」、「締まり金具」... など、その例は無数にあると述べた。
「移動止め」(またはその同等物である「移動止め機構」)もそのような言葉のひとつである。辞書の定義は、作用的文言で表現されているが [*22]、「移動止め」という名詞が機械分野で広く理解されているある種の装置を表していることは明らかである。確かに「移動止め」は十分に定義されたひとつの構造を思い出させるものではないが、「締金」または「容器」などの良く知られたその他の構造的文言についても同じことが言えるのである。重要なことは、「移動止め」または「移動止め機構」は単にそれらが果たす機能で定義されているだけでなく、これらの言葉には構造の名称として、その部門で合理的に十分理解された意味をも有していることである。
Greenberg事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第91巻1583ページ、合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第39号1786ページ[内務局])(引用文省略)参照。また当裁判所は、分析の中心は「ミーンズ(手段)」という言葉の使い方であることを明示し、「『ミーンズ』という言葉を使用すれば、『ミーンズ・プラス・ファンクション』のクレームが連想されるため、『ミーンズ』という言葉は(特に『ミーンズ・フォア(...のための手段)』として使用される場合)一般的には合衆国法律集第35編第112章第6節の対象となるが、別の表現を使用すればそうはならない」と述べた。上記事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第91巻1584ページ、合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第39号1787ページ[内務局])参照。
その後の事件においても「ミーンズ」という言葉を使用した場合、合衆国法律集第35編第112章第6節の適用が推定されることが明らかになっている。York Prods., Inc.対Central Tractor事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第99巻1568ページ、1574ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第40号1619ページ、1623ページ[内務局])(1996年合衆国控訴審裁判所)(「合衆国法律集第35編第112章第6節に定める法定手続の適用の可否を判断する場合に、『ミーンズ』という言葉が使用されていれば、発明者はかかる言葉を使用することで意図的にミーンズ・プラス・ファンクション条項に定める法定要件の適用を受けようとしていることが推定される」とした)参照[9]。また、「ミーンズ」という言葉を使わない場合は、第6節は適用されないという推定が生まれることも明確になっている。Mas-Hamilton事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第156巻1213ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第48号1016ページ[内務局])参照。以上の推定は、内在的証拠および外在的証拠で保証されていれば、反駁することが可能である[10]。Cole対Kimberly-Clark Corp.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第102巻524ページ、531ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第41号1001ページ、1006ページ[内務局])(1996年合衆国控訴審裁判所)(合衆国法律集第35編第112章第6節の適用の可否を判断するためには、「特許および手続追行の歴史」の分析と、「穿孔機」の辞書の定義を調べて、その技術分野における通常の熟練を有する者であればその言葉が構造を表すものと理解するか否かを判断することが必要であるとした)参照。推定が反駁されるか否かを判断する場合は、適切に解釈されたクレームが十分に明確な構造を規定し、合衆国法律集第35編第112章第6節の適用範囲を避けているか否かに焦点を合わせる。Sega Prods.対Devon Indus., Inc.,事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第126巻1420ページ、1427ページから1428ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第44号1103ページ、1109ページ[内務局])(1997年合衆国控訴審裁判所)(「クレームが機能について記述した後で、記述されたすべての機能を果たすクレームの中の十分な構造、材料 [*24] または作用についても詳しく説明している場合、かかるクレームは、たとえ「ミーンズ」という言葉を使用していたとしても、ミーンズ・プラス・ファンクション形式ではない」とした)参照。 [*26]
上記の原則に鑑み、当裁判所は、貿易委員会が「ディジタル式検波器」という言葉をミーンズ・プラス・ファンクションの限定と解釈したことは誤りであるとしたPMCの主張に同意する。「ディジタル式検波器」という限定は、「ミーンズ(手段)」という言葉を使用していないため、かかる限定は合衆国法律集第35編第112章第6節の適用を受けないことが推定される。「検波器」という言葉は構造の記述として十分であることから、内在的証拠および外在的証拠によってもかかる推定は反駁されない。「検波器」は「手段」、「要素」、「装置」などの、構造を表す一般的な言葉でもなければ、「小型装置」、「ラムアフラム(ram-a-fram)」などの、明確な意味がない造語でもない[11]。辞書の定義を調べた行政法判事が述べているように、「検波器」という言葉は、整流器、復調器などの構造を暗示する言葉として、電気分野における通常の熟練を有する者には良く知られた意味を持っている[12]。専門家の証言を含む他の外在的証拠は存在せず、また本結論に関する特許の特色に対する内在的証拠も存在しない。また、「検波器」という言葉が機能から定義されており、その技術分野における通常の熟練を有する者にとって正確な物理的構造を意味するものではないという事実があったとしても、構造の明瞭性は棄損されない [*27]。Greenberg事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第91巻1583ページ、合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第39号1786ページ[内務局])(上記に引用したとおり)参照。たとえ「検波器」という言葉は特定の構造を明確に想起させないとしても、その技術分野の知識を有する者に「検波器」として知られる様々な構造を伝達しており、したがって、当裁判所は「検波器」という文言は十分に明確な構造を表しており、合衆国法律集第35編第112章第6節の適用は排除されると判断する。
行政法判事の分析(および当裁判所における貿易委員会の主張)の大半は「ディジタル式検波器」という言葉の曖昧さに関するものである。しかし、十分に明確な構造を表す言葉(「検波器」)に付けられた形容詞(「ディジタル式」)は、上記の構造の十分性を合衆国法律集第35編第112章第6節に定める趣旨よりも低くするものではなく、クレームの対象となるその他の構造の範囲を更に限定し、言葉を更に明確化している。「検波器」という言葉とともに「ディジタル式」という言葉が使用されているが、これは十分に限定された構造(検波器)に機能的制約(ディジタル情報からの抽出)を加えるものである。第5,335,277号特許コラム21、ll. 46から47(その他の情報におけるディジタル信号情報を検波する装置として「ディジタル式検波器」を規定)参照。したがって、当裁判所はクレーム6番、7番および44番の「ディジタル式検波器」という限定は十分に明確な構造を述べており、合衆国法律集第35編第112章第6節の範囲には入らないと判断する。
合衆国法律集第35編第112章第6節は、主張されたクレームに記載する「ディジタル式検波器」の限定には適用されないと判断すると、行政法判事がクレームはDonaldson事件およびDossel事件に基づき無効であるとした根拠の裏付けは大半が失われる。上記脚注5参照。しかし、貿易委員会は、合衆国法律集第35編第112章第6節の適用の可否に関係なく、「ディジタル式検波器」という言葉は不明瞭であるとし、具体的には、証拠記録、特に行政法判事が依拠する専門家の証言は、「ディジタル式検波器」はその技術分野で十分に理解された意味がないことを立証しており、したがって無効であると主張する。PMCは上記証拠に関する貿易委員会の評価に同意しておらず、「ディジタル式検波器」という言葉はその技術分野で十分に理解された意味を有し、明細書は明確にその技術分野における通常の熟練を有する者に言葉の範囲を伝達していると主張する。
合衆国法律集第35編第112章第2節の不明瞭性の要件に定めるとおり、明細書には「申請者が自分の発明と見なす主題を明確に示し、かつはっきりと請求した」クレームが記載されていなければならない(強調付記)。クレームが明瞭であるか否かについて判断するためには、「その技術分野に熟達した者が明細書のクレームを読んだ場合にかかるクレームの範囲を理解できるかどうかを分析する必要があり、明細書のクレームを読めば技術分野に熟達した者に発明の範囲が分かる場合、合衆国法律集第35編第112章ではそれ以上のことは求められない。Miles Lab., Inc.対Shandon, Inc.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第997巻870ページ、875ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第27号1123ページ、1126ページ[内務局])(1997年合衆国控訴審裁判所)参照。クレームの不明瞭性に関する決定は、裁判所が特許のクレームの解釈者としての任務を果たすことで導かれる法的決定である。North Am.対Vaccine, Inc.対American Cyanamid Co.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第7巻1571ページ、1579ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第28号1333ページ、1339ページ[内務局])(1993年合衆国控訴審裁判所)(「紛争の最中にある当事者はクレームの意味に関して意見を異にしているが、クレームは不明瞭であることを理由に無効とするほど明確さを欠いたものではない」とした)と比較。
当裁判所はPMCと同意見で、貿易委員会は主張されたクレームが不明瞭であると判断したのは誤りであるとの結論である。この点において、明細書の記述はその技術分野に熟達した者に「ディジタル式検波器」というクレームの文言を通知するには不十分である。しかし、上記明細書は別の情報の流れから「ディジタル信号情報を検波する」装置として「ディジタル式検波器」を明確に規定している[13]。第5,335,277号特許コラム21、ll. 46から47(ビデオの電波送信からディジタル信号を検波)、上記文献ll. 59から60(オーディオ伝達装置におけるディジタル信号を検波)、上記文献コラム21、ll. 63から65(「テレビの電波送信におけるその他の情報部分」からディジタル信号を検波)参照。同じく、Beachcombers [*31], Int’l, Inc.対WildWood Creative Prods., Inc.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第31巻1154ページ、1158ページから1159ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第31号1653ページ、1656ページから1657ページ[内務局])(1994年合衆国控訴審裁判所)(紛争の対象となった明細書のクレーム限定に照らして陪審の評決を取り消した)、W.L. Gore & Assocs., Inc.対Garlock, Inc.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第2次シリーズ第721巻1540ページ、1557ページ。合衆国パテント・クォータリー第220号303ページ、316ページ[内務局])(1983年合衆国控訴審裁判所)(「クレームの中の『毎秒約10パーセントを越える速度で ... 拡大する』との言葉は不明瞭ではなく、侵害はストップウォッチを利用することで明確に評価することが可能である」とした)参照。
当事者が依拠する専門家の証言によっても以上の結論は変更されない。内在的証拠が紛争の対象となったクレーム [*32]の文言を明確に規定している場合、クレームを解釈している間は外在的証拠に依拠することはできない。Bell & Howell Document Management Prods. Co.対Altek Sys.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第132巻701ページ、706ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第45号1033ページ、1038ページ[内務局])(1997年合衆国控訴審裁判所)参照。したがって、「ディジタル式検波器」という言葉が明確に明細書に記載されているため、この争点に関する専門家の証言は不明瞭性の問題とは無関係であり、何もないのに曖昧さを差しはさむことはできない。
貿易委員会は、明細書はその他には「ディジタル式検波器」の構造について何も述べていないという事実を重視し、回路図の「ディジタル式検波器」はかかる装置を構成する回路の要素を明らかにしておらず、ただ機能ブロックとして装置を表しているだけだと述べる。第5,335,277号特許図2A参照。更に、貿易委員会は、「ディジタル式検波器」は特許の中で十分に開示されておらず、その技術分野における通常の熟練を有する者は組み立てることはできないとする専門家の証言に依拠している。一例として、当初決定77ページ(「通常の熟練を有する技師なら ... 鉛筆で紙に書いて、こうして「ディジタル式検波器」のブロックの内容を組み立てたと言えるような手掛かりはなく、仕様の情報が完全に不足している」とするCiciora氏の証言)[*33]、上記文献79ページ(Williams氏の証言「特許はディジタル式検波器を表しているが、どのように機能するかについては詳細が記載されてない ...」)参照。
当裁判所は、貿易委員会が依拠する証拠は、クレームの不明瞭であることを示すものではないと判断する。たとえ不明瞭であることを示していたとしても、合衆国法律集第35編第112章第1節に基づく無効の根拠となる、クレームの発明の実施を可能にする明細書の十分性に関係するだけである[14]。Borkowski事件(関税特許控訴裁判所判例集第57巻946ページ。合衆国控訴審裁判所判例集第2次シリーズ第422巻904ページ、909ページ。合衆国パテント・クォータリー第164号642ページ、645ページから646ページ[内務局])(1970年合衆国控訴審裁判所)(範囲は明確だが、かかる範囲に釣り合う開示を可能にする十分な裏付けがないクレームは、合衆国法律集第35編第112章第1節に基づき反駁すべきであるとした)、Ehrreich事件(合衆国控訴審裁判所判例集第2次シリーズ第590巻902ページ、906ページ。合衆国パテント・クォータリー第200号504ページ、508ページ[内務局])(1979年合衆国控訴審裁判所)(「合衆国法律集第35編第112章第2節はクレームだけに関係し ... クレームと明細書との一致または不一致については合衆国法律集第35編第112章第1節に関連する場合のみ適切な検討を行い、第2節の遵守とは無関係である」とした)参照。Miles Lab., Inc.対Shandon, Inc.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第997巻870ページ、875ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第27号1123ページ、1126ページ[内務局])(1997年合衆国控訴審裁判所)(合衆国法律集第35編第112章第2節に基づく明瞭性とは無関係であるとして、被告の主張を退けた [*34])(「発明の操作性はクレームの範囲に関する熟練工の理解とは無関係だが、被告の主張は合衆国法律集第35編第112章第1節に定める実施可能性の要件または合衆国法律集第35編第101章に定める有用性に関係する可能性がある」とした)と比較。当裁判所は、行政法判事は特に「ディジタル式検波器」に注目して、クレームが実施可能性に欠けていることを理由に、合衆国法律集第35編第112章第1節に基づき無効との判断を下したものと理解している[15]。しかし、当裁判所はかかる決定の根拠については貿易委員会が審査をしていないため、当裁判所に上訴されていないことから、合衆国法律集第35編第112章第1節に基づく無効の法理については意見を述べない。上記脚注3および添付書類参照。いずれにせよ、合衆国法律集第35編第112章第1節に定める瑕疵だけに関係する証拠の引用は、合衆国法律集第35編第112章第2節に基づき不明瞭であるとした行政法判事の決定を裏付ける上で貿易委員会を助けるものではないため、かかる決定を破棄する。
クレーム6番および7番
当裁判所は、PMCはクレーム6番および7番の侵害に関して二件の主張を行っていると理解している。一つ目の主張は、行政法判事が複数の搬送波の送信から特定の搬送波を選びだすことに照らして「位置」という言葉を制御信号の選択を妨げるものと解釈したことが誤りであるとするものである。PMCが引用したクレームの文言および明細書の関係部分を検討した当裁判所は、行政法判事が「位置」という言葉を誤解しているとする点でPMCとは意見を異にする。不要な説明は抜きにして [*36]、当裁判所は、クレーム6番および7番の「位置」という言葉は、「テレビ番組の電波送信」における制御信号の位置を指したものであり、明細書は一本の搬送波に包み込まれたひとつの電波送信を表すものとしてこの言葉を使用していると解釈した。PMCがクレーム解釈の裏付けで主張しているように、明細書は「テレビ番組の電波送信」が多チャンネルの電波送信に当たるとは言っていない。行政法判事は「位置」という言葉を明細書に書かれた例(すなわち、テレビのビデオ送信の垂直間隔(バーティカル・インターバル)またはテレビの電波送信の可聴周波領域内の周波数のラインもしくはラインのある部分)にしたがって正しく解釈しているが、上記の例は単チャンネルの番組送信だけの例である。第5,335,277号特許コラム9、l. 61からコラム10、1. 16参照。
PMCの二つ目の主張は、行政法判事は告訴の対象となった衛星ディジタルシステムで使用するサービス・チャンネルID(SCID)はクレーム6番および7番を侵害していないとの結論を下したのは誤りであるするものである。当裁判所は、この主張は行政法判事のクレーム解釈に対する非難ではなく、侵害が存在しないとする事実認定が実質的証拠によって裏付けられていないとする主張であると理解している。具体的には、PMCは行政法判事がSCIDを「位置」ではなく、「構成」として特徴付けていることを非難し [*37]、上記の二つの特徴は相容れないものであると主張する。換言すれば、PMCは、たとえSCIDは「構成」に関する情報であったとしても、SCIDには特定のチャンネルの中の位置も含まれていると述べている。これに対して、貿易委員会は、行政法判事が「構成」と「位置」を区別していることには意味があり、両方のクレームの侵害は排除されるとする。
当裁判所は、実質的証拠は衛星ディジタルシステムはクレーム7番を侵害していないとした行政法判事の結論を裏付けるものではないとする点でPMCと同意見だが、クレーム6番についてはPMCとは意見が異なり、当裁判所は、「構成」という言葉と「位置」という言葉の区別は、SCIDがクレームの制御信号(すなわち、クレーム6番でいう「事前に定められた信号」またはクレーム7番の「特定の信号」)に当たるか否かの問題とは無関係であると判断する。これは行政法判事が侵害の認定をしなかった唯一の理由だった[16]。更に、「位置」という言葉と「構成」という言葉が別々に解釈する行政法判事の根拠は、もし何らかの理由でクレーム7番が侵害されていると示唆されても、クレーム7番でこれらの用語が別々に使用されていること、およびクレームが「上記信号の構成に関する情報、または上記信号の可変位置もしくは可変タイミングのパターンをプログラムされた」制御装置による [*38] 制御信号の検波に関するものだからである。第5,335,277号特許クレーム7番(強調付記)参照。「構成」と「位置」の誤った区別を検討から除けば、クレーム7番は侵害されていないとした行政法判事の結論は、実質的証拠の裏付けがなくなるのである。しかし、当裁判所は、このクレームは侵害されているとの判決記録を作成する準備をしているわけではない。クレーム7番には当裁判所にははっきりと分からない告訴された装置に関係する多数の限定が含まれている。したがって、当裁判所は、クレーム7番は侵害されていないとする事実認定を覆さず、決定は破棄し、貿易委員会が更に検討を行うように審理を差し戻すことが賢明であると判断する[17]。
クレーム6番は異なった事実が提示されている。クレーム7番とは違い、クレーム6番の制御装置は「上記信号の可変位置もしくは可変タイミングのパターンをプログラムされた」制御装置としてより限定的に記述されている。第5,335,277号特許クレーム6番参照。既に述べたとおり、告訴の対象となった衛星ディジタルシステムの制御装置はSCIDがプログラムされ [*40]、入ってくるデータ列のSCIDと比較して、一致するものを見つけ出す[18]。したがって、制御装置は「上記信号の可変位置もしくは可変タイミングのパターン」はプログラムされておらず、信号自体がプログラムされているため、侵害を構成しない。よって、当裁判所はクレーム6番は侵害されていないとした行政法判事の決定を支持する。
PMCの最後の主張は、行政法判事が告訴の対象となった衛星ディジタルシステムはクレーム44番を侵害していないとの結論を下したのは誤りであるするものである。具体的には、PMCはクレームの範囲に記載されている、ビデオ・オーバーレイを作りだす「マスメディアの電波送信」および「テレビの電波送信」は別個の送信であることを暗に示す行政法判事の決定に異議を唱え、PMCは、衛星ディジタルシステムの放送がビデオ・オーバーレイを表示している時は上記の限定を二つとも満たしていると主張する。PMCはたとえ衛星ディジタルシステムが受信中はテレビが従来型のテレビ放送を受信していなくとも、衛星ディジタルシステムは任意の受信器で変調されるため、内部で変調されたこの信号はクレームの「テレビ送信」に当たると主張する。これに対して貿易委員会は、上記の主張は貿易委員会への申立てに含まれていないことを理由にかかる主張を当裁判所に上訴することはできないとした。
当裁判所は貿易委員会と同意見であり、PMCの「内部変調」に関する主張を検討することは差し控える。PMCの申立てを審査した結果、貿易委員会に対するPMCの主張は、「選択した一般放送または有線テレビ放送 [*42] の送信を受信し、送信されたテレビ番組をテレビ画面に転送するためのテレビ受信器」に関するものであることが明らかになった。PMCは、「... するためのテレビ受信器」の「......」のクレームの文言は、単に「テレビ受信器の品質(または能力)」を規定したに過ぎず(PMCの審査請求29ページ)、したがって、クレームを限定するべきではないと主張する。以下の文はPMCの審査請求を要約している。「明細書に照らしてクレームを解釈した場合に、クレームの「... するための(for)」という文言は前記の構造的要素の能力を規定したものと解釈するべきであり、クレームの追加の構造的要素と解釈すべきではない。」(PMCの審査請求30ページ)貿易委員会への申立てにPMCの「内部変調」に関する主張に多少とも近い言葉は何も記載されていないのである。この主張はPMCの申立てに含まれていないため、当裁判所は上訴に関連してこの問題を検討することはできない。Checkpoint Sys., Inc.対United States Int’l Trade Comm’n事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第54巻756ページ、760ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第35号1042ページ、1045ページから1046ページ[内務局])(1995年合衆国控訴審裁判所)参照。PMCが申立てにおいて侵害の問題を持ち出し、かかる問題に関して今更PMCの立場を裏付ける主張を行うことは妥当ではない。上記事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第54巻760ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第35号1046ページ[内務局])(1995年合衆国控訴審裁判所)(当裁判所[*43]は、紛争当事者が「別のクレーム解釈の瑕疵」を審査請求に含めたことだけを理由に、当事者のクレーム解釈を取り上げないとの判断を下した)参照。クレーム44番の侵害に関するPMCの「内部変調」の主張は、審査請求で「明確に主張」されていなかったため、当裁判所はその実体的事項については検討しない。
主張されたクレームの「ディジタル式検波器」という限定が合衆国法律集第35編第112章第2節に基づき不明瞭であることを理由に無効であるとした貿易委員会の決定には誤りがある。またクレーム7番は侵害されていないとした貿易委員会の決定にも誤りがあるため、当裁判所は上記決定を破棄し、この問題について更なる検討を行うよう審理を差し戻す。但し、クレーム6番が侵害されていないとした貿易委員会の決定に誤りはない。また当裁判所は先に提起されていないことを理由にクレーム44番を裏付けるPMCの主張については意見を述べない。したがって、貿易委員会の決定を −
一部支持し、一部破棄し、一部取消して、審理を差し戻す。
[1] 特許明細書では垂直間隔(バーティカル・インターバル)という専門用語の意味が明らかではないが、当裁判所は通常、テレビでは見ることができないビデオ放送の部分のことを指すものと理解している。
[2] 訴訟参加人および貿易委員会は、当裁判所において貿易委員会の下した決定を支持するほぼ同じ弁論を行っているため、当裁判所は便宜上、上記の者を総称して、以下「貿易委員会」と呼ぶことにする。
[3] Beloit Corp. v. Valmet OY事件参照(合衆国控訴審裁判所判例集第2次シリーズ第742巻1421ページ、1423ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第223号193ページ、194ページ[内務局])(1984年合衆国控訴審裁判所)(貿易委員会は独自の裁量で、当初決定における一部の決定問題だけを審査することができるとした)。
[4] 原文の中の類似の説明を別としても、明細書には「ディジタル式検波器」を構成する回路の詳細な説明がなく、関係する図表は作用的なブロックとして「ディジタル式検波器」が開示されているだけである。第5,335,277号特許図2A参照。
[5] Dossel事件において、当裁判所は、ミーンズ・プラス・ファンクションの要素を含むクレームは、明細書にクレームの機能に当たる構造について十分な開示がなされていない場合、不明瞭であると判断される場合が多いと述べた。Dossel事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第115巻946ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第42号1885ページ[内務局])(Donaldson Co.事件、合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第16巻1189ページ、1195ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第29号1845ページ、1850ページ[内務局][1994年合衆国控訴審裁判所][全員法廷]を引用)。こうした原則はあるものの、当裁判所はDossel事件において「特定の事実」に関するミーンズ・プラス・ファンクション・クレームは、たとえ「再構成型ミーンズ」に当たる解法的構造が明細書の中で明確に開示されていなくとも、合衆国法律集第35編第112章第2節に基づき、不明瞭であることを理由に無効とはされないとの判断を下した。合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第115巻946ページから947ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第42号1885ページ[内務局](「明細書も、クレームも、「コンピュータ」という魔法の言葉を使用していないし、また発明に使用するコンピュータ・コードも引用されていない ... しかし、明細書には最終的結果を計算するためにどの様な数学的解法を使用するかが明確に開示されていないが、既知の解法を使用すれば、その技術分野で知られている基本的な方程式を解くことができることは述べられている」)参照。尚、行政法判事はDossel事件における「特定の事実」は本件事件とは別であるとの判断を下している。当初決定140ページ参照。
[6] PMCの主張を理解するためには、テレビ放送の技術を簡単に説明しておく必要がある。テレビ番組を放送する場合、番組情報または「ベースバンド」信号を特定のテレビチャンネルに周波数が対応した搬送波の中に包み込む。この過程を「変調」という。変調された信号をテレビで受信した場合、テレビの同調器を使って、周波数に合わせて特定の搬送波を選びだす。次に周波数は復調され、実質的に搬送波ははぎ取られて、ベースバンド信号があらわれ、直接、テレビの回路を介して画像が表示されるのである。
[7] 明細書を読めば何が信号情報の「構成」に当たるのかが分かる。例えば、ある信号の構成は「ヘッダ」情報から始まり、その後に「実行セグメント」、「メーター測定セグメント」、「情報セグメント」が続く。第5,335,277号特許コラム27、ll.
37から47参照。
行政法判事は、第5,335,277号特許で開示された「ヘッダ」情報は告訴された装置のSCIDの同等物であるとの結論を下している。当初決定229ページ参照。
[8] クレーム7番の関係部分は以下のように書かれている。「上記信号の構成情報、または上記信号の可変位置もしくは可変タイミングのパターンをプログラムされた制御装置」(強調付記)
[9] 同じく、Unidynamics Corp.対Automatic Prods. Int’l, Ltd.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第157巻1311ページ、1319ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第48号1099ページ、1104ページ[内務局])(1998年合衆国控訴審裁判所)(「ばねはドアを閉めておくためのものをいう」というクレームの文言は合衆国法律集第35編第112章第6節の適用対象となり、作用的文言である『ばね』という記述はかかる限定を第6節の範囲から外すものではない」とした)、Serrano対Telular Corp.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第111巻1578ページ、1582ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第42号1538ページ、1541ページ[内務局])(1997年合衆国控訴審裁判所)(「... を決定するための ... 決定手段は」というクレームの文言は合衆国法律集第35編第112章第6節の適用対象となるとした)、Laitram Corp.対Rexnord, Inc.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第939巻1533ページ、1536ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第19号1367ページ、1369ページ[内務局])(1991年合衆国控訴審裁判所)(「複数のリンクの端を互いに結合して、ある種の穴の軸がある種の構成に配列させるための手段」という文言は合衆国法律集第35編第112章第6節の適用対象となり、「ミーンズ・プラス・ファンクションの要素で構造を記述しても、それが手段の機能を更に詳しく規定しているに過ぎなければ、第6節の適用は排除されず、記述された構造は結合の手段だけを述べたもので、その構造を述べたものではない」との判断を下した)(強調は原文のまま)参照 [*25]。
[10] 一例として、Mas-Hamilton事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第156巻1214ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第48号1017ページ[内務局])(「レバーを動かすためのレバー移動要素」というクレームの文言は合衆国法律集第35編第112章第6節の適用対象となり、たとえ『ミーンズ・フォア』といううたい文句が使用されていなくとも、限定の言葉は構造を伝えるものではない。かかる限定は構造や材料を規定したものではなく、果たす機能をとして起案されたものである」とした)、上記事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第156巻1215ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第48号1017ページ[内務局])(「... のために可動式リンク部材」というクレームの文言は合衆国法律集第35編第112章第6節の適用対象となるとの判断を下した)、York事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第99巻1573ページから1575ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第40号1623ページから1624ページ[内務局])(「側壁部分から突き出し ... 間隔を開けて置かれた複数の部材を含み ... 荷の動きを止める側壁部分 ... する手段」というクレームの文言は合衆国法律集第35編第112章第6節の適用を受けない。クレームの文言は機能をミーンズという言葉に機能を結び付けるものではなく、構造を述べたものである ...『ミーンズ』という文言と記述された機能が十分に結び付いていないため、『ミーンズ』という言葉を使用したことによる推定は働かない」との判断を下した)、Cole対Kimberly-Clark Corp.事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第102巻524ページ、531ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第41号1001ページ、1006ページから1007ページ[内務局])(1996年合衆国控訴審裁判所)(「外側の不浸透性層の装置によってレッグバンド装置をウエストバンド装置まで広げる穿孔装置」というクレームの文言は、「穿孔機能を裏付ける構造(すなわち穿孔装置)を説明したのであり、合衆国法律集第35編第112章第6節の適用を受けないとの判断を下した)参照。Cole事件のクレームは穿孔機能を裏付ける構造だけでなく、その位置(「レッグバンドをウエストバンドまで広げる」)をも説明している。同じく、Unidynamics 事件(合衆国控訴審裁判所判例集第3次シリーズ第157巻1319ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第48号1105ページ[内務局])(1998年合衆国控訴審裁判所)(Cole事件と区別しながら、「当裁判所はCole事件におけるクレームの限定は明確な構造、すなわち穿孔機能を裏付ける穿孔装置だけでなく、構造の位置および範囲をも説明しているため、合衆国法律集第35編第112章第6節の適用を受けないと判断する」とした)(引用文省略)参照。
[11] 後者の言葉は当該事件の口頭弁論でマイケル裁判官が造った造語である。
[12] 例えば、行政法判事は、以下のように「検波器」の辞書の定義を引用している。「(1) 信号の存在を調べる装置、(2) 高周波電流の整流器(針電極、結晶整流器、真空管など)、(3) 信号から情報を抽出する装置、(4) 復調器」。当初決定66ページ(ウェブスターの引用は省略)参照。
[13] 明細書は「ディジタル式検波器」の範囲を明確に規定しているため、当裁判所はかかる言葉を「搬送波からディジタル情報を抽出する復調回路」を指すとするPMC の解釈は退ける。PMC の冒頭陳述26ページ参照。
[14] 「明細書には、その技術分野に熟達した者がかかる発明を生産、使用できるように、明確、簡潔、正確かつ十分な文言で、発明ならびに発明の生産方法および使用方法が書面で説明されていなければならない。」合衆国法律集第35編第112章第1節(1994年)[*35]
[15] 当初決定164ページ(「行政法判事は第5,335,277号特許の明細書には「ディジタル式検波器」の要素に関する合理的な詳細が記載されておらず ... 第5,335,277号特許明細書の書面の説明はその技術分野における通常の熟練を有する者が争点のクレームの発明を理解し、実施できるようにするために必要な情報を伝達してないと判断した」)参照。但し、貿易委員会は決定の裏付けとして上記の根拠に依拠していないため、その結果として、PMCは当裁判所に上訴する根拠の実体的事項については何も主張していない。上記注3 および添付書類参照。
[16] 行政法判事は、制御語パケットのSCIDは、信号の「構成」に関する情報であり、クレーム6番でいう「位置」はないと判断している。したがって、告訴された衛星ディジタルシステムは搬送波に基づき「事前に定められた信号」および「事前に定められた信号」の構成を識別するものである(当初決定228ページ)。同じく上記文献231ページから232ページ(クレーム7番の検討)参照。[*39]
[17] クレーム7番を無効とする理由は、合衆国法律集第35編第112章に基づき先行されているためであり、合衆国法律集第35編第112章第1節に基づき実施不可能であるためではないとした行政法判事の決定については貿易委員会がまだ審査をしていない。不明瞭性および侵害の不存在の問題だけを審査することは貿易委員会の特権であり、こうした取り組み方によって、「貿易委員会、紛争当事者および当裁判所は不要な労力を大幅に省くことができた。」Beloit Corp. v. Valmet OY事件(合衆国控訴審裁判所判例集第2次シリーズ第742巻1421ページ、1422ページ、1423ページ。合衆国パテント・クォータリー第2次シリーズ第223号193ページ、194ページ[内務局])(1984年合衆国控訴審裁判所)参照。しかし、「こうした取り組み方には利点もあれば、危険も伴い、本件ではそれは決定破棄の危険であり、貿易委員会は当初決定において意見を明らかにしなかった一部の問題を改めて審査する必要がある。上記文献参照。
[18] マイクロプロセッサー(すなわち制御装置)は、番組ガイドを利用して、周波数トランスポンダーと利用者が選んだチャンネルのSCIDを入手する。マイクロプロセッサーは同調器に希望するデータ列の周波数を組み込んだ後で、特定のSCIDを含むデータのパケットの選別を始めるように転送チップをプログラムする。転送チップはすべてのパケットのSCIDを調べて、選択されたチャンネルのSCIDと比較する。SCIDが合えば、転送チップはかかるパケットのデータを適当な場所に送るよう命令して ... 更なる処理を行う。」当初決定228ページ(Kepley氏の証言を引用)参照。