原告 ネバダ州法人 TIFFANY DESIGN,INC.および個人 GRANT GRESSER 

                   対

    被告 ネバダ州法人 RENO-TAHOE SPECIALTY,INC.および実名不詳個人 1〜20、               および実名不詳法人 1〜20

              CV-S-98-1207-PMP(RLH)

             ネバダ州地区連邦地方裁判所

       1999 U.S.Dist.LEXIS 10919; 51 U.S.P.Q.2D(BNA)1651

               1999年7月12日登載

処分:[*1] 一部サマリジャジメントを求める原告 Tiffany Design, Inc. および Grant Gresserの申立(Doc.#58) を一部認め、一部却下する。

核心用語:copyrighted ( 著作権のある)、derivative(二次的)、copying (コピ−行為)、photograph(写真)、scanned (スキャンされた、走査された)、summary

judgment(サマリジャジメント)、precursor (先行物)、graphic (グラフィック)、

infringing(侵害する)、scanning(スキャンすること)、architectural (建築の)、 infringement(侵害)、fair use(公正使用)、photographic(写真の)、registration(登録)、ownership (所有)、manipulation(操作)、distribute(頒布する)、

depiction (描写)、map (地図)、triable issues(審理すべき争点)、reproduction(複製)、unauthorized(無断の)、artistic(美術的)、postcard(葉書)、lighting(照明)、poster(ポスタ−)、protected expression(保護された表現)、exclusive  right (排他的権利)、genuine issue (真正な争点)

訴訟代理人:原告側:Michael J.McCue, Quirk & Tratos 法律事務所、                  ネバダ州ラス・ベガス

      被告側:Leland Eugene Backus, John L.Krieger, ネバダ州、ラス・ベガス

裁判官:連邦地方裁判所裁判官 PHILIP M.PRO

意見執筆: PHILIP M.PRO

意見:決定

現在、当裁判所に提出されているのは 1999 年4月23日提出の、原告 Tiffany Design,

Inc.および Grant Gresserによるサマリジャジメントを求める申立(Doc,#58)である。反対申立(Doc.#70)が1999年5月19日、被告Reno-Tahoe Specialty,Inc.により提出された。原告は、それに対する反対申立(Doc.#79) を1999年5月28日に提出した。

I。序論

ネバダ州ラス・ベガスの都市風景は、ネオンに照らされたホテルやカジノで世界中に知られている。本日当裁判所に提出されているのは著作権侵害訴訟であって、この砂漠の大都市の葉書およびグラフィック・ア−トによる描写の無断コピ−行為を争う。

U。事実

原告 Tiffany Design,Inc.は、原告 Grant Gresserが所有するネバダ州法人である。

Tiffany Designは、ビデオ、カレンダ−、ポスタ−、葉書その他気のきいた小物を[*2] 製造し、ラス・ベガス市内および近郊の小売商への卸売りをしている。(参照、Doc.#70 として添付のGresser の陳述書 P 2) 。被告 Reno-Tahoe Specialty Inc.は、ネバダ州全域に亘って販売するために同様な製品を製造する。

1994年から1998年までの間の色々な時に、Gresser は David Phillips Photographers,Inc.の David Phillips を雇って、通称「ラス・ベガス大通り」地区[1]の空中写真を撮らせた。Gresserは次にR.Burton & Associatesのグラフィック・ア−ティストRobert Burton を雇い、これらの写真および Gresser自身が撮影したその他の写真を用いて大通りとその周辺の美術的描写作品を作らせた。Photoshop と呼ばれるコンピュ−タ写真修正プログラムを用いて Burton は、1998年1月10日頃この描写(「1998画像」)を完成することができた。(参照、Gresser 陳述書の証A)。1998画像はいくつかの修正または変更を特徴とし、その中にはイルミネ−ションを加えたり一部のホテルやカジノの大きさを変えたり、色彩を増やしたり減らしたりすることが含まれた。(参照、Doc.#59 として添付の Burton 陳述書 P 3) 。

1998画像の所有権を原告に移そうとしていくつもの確約書や文書が作成された。第一に、 1998年3月13日 Phillips は「ラス・ベガス・ポスタ−[1998画像]に属する一切の著作権を Tiffany Design の Frant Gresser」に譲渡する書簡を作成した。(参照Gresser 陳述書の証Dとして添付のPhillips から Gresserへ宛てた 1998 年3月13日付の書簡)。次に、1998年3月 Gresserは 1998 画像の連邦著作権登録を得た。1998年11月20日、Phillipsは陳述書を作成し、それによって彼の 1998 年3月13日付書簡は Phillips または彼の会社が有する空中写真の著作権をGresserが得た契約を文書にしたことを確認した。(参照、Gresser 陳述書の証Eとして添付の Phillips 陳述書)。グラフィック・デザイナ− Burton は、書簡(参照、Gresser 陳述書の証Gとして添付の 3/15/98付 Burton より Gresser宛ての書簡)および陳述書(参照、Burton陳述書、Gresser 陳述書の証G)を作成し、1998年3月および11月に同じ趣旨の陳述を行った。その間1998年初め、被告Reno-Tahoe Specialty は自分自身のデジタルに変更したラス・ベガス大通りの空中写真画像の制作に着手した。被告[* 4]の主張では、被告の画像はそのグラフィック・ア−ティスト Todd Johnson が、原告の写真画像を見さえしないうちにその85% は完成していたという。(参照、Doc.#61,McCue陳述書に証Aとして添付のJohnson 証言録取書 at 27) 。しかし Johnsonは、1998画像から取った少なくとも6個の建造物の写真をスキャンし取込んで、被告の製品に挿入したことを認めた。(参照、Doc.#71として添付の Johnson宣誓供述書 PP 3-9 )。挿入前にJohnson は、コンピュ−タが「プレビューモ−ド」であるうちに「先行画像」を作り、それを基にして彼は求める建築物の構成部分を切取って操作した。(参照、Johnson 証言録取書 at 53-54)。

そこで原告は、一部サマリジャジメントを求める申立をし、6個の建築物の移し替えの準備として、コンピュ−タによる先行画像を作成しただけでも、原告の1998画像を複製する原告の排他的権利を侵害していると主張する。さらに原告は、被告が自分の製品に6個の建築物の画像を挿入したことは被告の製品を「二次的著作物」とするものであり、それによって二次的著作物を作成し、1998画像のコピ−を頒布する原告の排他的権利を侵害するものであると認定する決定を当裁判所に求める。

V。サマリジャジメントの基準

連邦民事手続規則 56 条によれば、[* 5] サマリジャジメントが相当であるのは、「訴答書面、証言録取書、質問に対する回答書、および宣誓供述書があればそれを添えて提出された自白書が、重要事実に関する真正な争点のないこと、および申立当事者が法律問題として判決を受ける権利があることを証明する場合」である。Fed.R.Civ.R.56。重要事実に関する真正な争点が、サマリジャジメントを下すに足るだけあるかどうかを判断する時には、すべての事実と引出された推論が被申立当事者に最も有利な見方をされなければならない。参照、Brinson v.Linda Rose Joint Venture,53 F.3d 1044, 1050(9th Cir.1995)。被申立当事者に有利な推論を引出した上で、すべての合理的推論が被申立側の主張を打破する場合に始めて、サマリジャジメントが認められることになる。参照、S.E.C.v.Seaboard Corp., 677 F.2d1297,1298(9th Cir.1982) 。

事実の重要な争点とは、訴訟の結果に影響を与え、真実の異なる言い分を解決するためには正式審理を必要とするものである。参照、S.E.C. v. Seaboard Corp., 677 F.2d 1301,1305-06(9th Cir.1982) 。実体法はどの事実が重要であるかを明定する。参照、Andersonv. Liberty Lobby,477 U.S.242, 248, 91 L.Ed. 2d 202,106 S.Ct.2505(1986)。[* 6] 重要事実の真正な争点は、重要事実に関する何か「形而上学的な疑問」以上のものである。参照、Matsushita Elec.Indus.Co. v. Zenith Radio, 475 U.S.574, 587, 89 L.Ed.2d 538, 106 S.Ct. 1348(1986) 。適用され得る実体法に基づき結果を決定する事実に関する争いだけが、サマリジャジメントが下されることを排除する。参照、同上。事実関係が被申立側の主張を信じ難いものにする場合には、被申立当事者は正式事実審理のための真正な争点の存在を証明するのに他の場合なら必要であろう以上の説得的証拠を提出すべきである。参照、Celotex Corp. v. Catrett, 477 U.S. 317, 323-24, 91 L.Ed.2d.265, 106  S. Ct.2548(1986)。

サマリジャジメントを申立てる当事者は、重要事実の真正な争点がないことの最初の立証責任を負う。参照、Metro Indus.,Inc. v.Sammi Corp., 82 F.3d 839, 847(9th Cir.),cert. denied,519 U.S.868, 117 S.Ct. 181, 136 L.Ed. 2d 120(1996)。もし争いがなく、正式審理において指図評決を受ける権利を申立側に与えるような証拠を提出することによって、一旦申立側の立証責任が満たされると、今度は正式審理をすべき真正な争点があることを証明する[* 7]特定の事実を述べる立証責任が、被申立側に移る。参照、Liberty  Lobby, 477U.S. at 250 。この立証責任を果たすにあたって、サマリジャジメントを下させまいとする当事者は、一旦申立側が宣誓供述書またはその他同様の資料を提出した以上、自分の訴答だけを根拠とすることはできない。断定的に本人自身が知っていることを証明しない宣誓供述書では足りない。参照、Keenan v. Allan,91 F.3d 1275,1278 (9th Cir.1996)。                                    

上に引用された連邦最高裁判所の判例は、「サマリジャジメント手続は、不評な手続上の近道と見られるべきではなく、むしろあらゆる訴訟の、正しく迅速かつ費用のかからない決定の確保を目的とする、連邦規則全体の不可欠な部分であると見るべきである」ことを証明している。CelotexCorp.,477 U.S.at 327 (連邦民事訴訟手続 1を引用)。

W。議論

著作権侵害の訴訟に勝訴するために原告は、(1)有効な著作権を有することと、(2)著作権のある著作物の保護された要素のコピ−行為とを証明しなければならない。参照、

Entertainment Research Group, Inc. v. Genesis Creative Group, Inc., 122 F.3d    1211, 1217 (9th Cir.1997) 。

A。有効な著作権を有すること

第一関門の争点 [* 8]は、原告が1998画像の有効な著作権を有するかどうかである。本件では原告は、連邦著作権登録の証明書を提出した。(参照、Gresser 陳述書の証J,K)。最初の登録は1998画像を「職務上の著作物」[2](参照、同上、証J)と不正確に分類したが、そのような誤記は一般に著作権の有効性に影響を与えず、また侵害訴訟を妨げるものではない。参照、Urantia Foundation v. Maaherra,114 F.3d 955,963 (9th Cir. 1997);Harris v. Emus Records Corp., 734 F.2d 1329, 1335(9th Cir.1984) 。 証明書の不正確な箇所は、詐取または権利侵害の意図の主張を伴う状況においてのみ意味があるが、参照 S.O.S.,Inc. v. Payday, Inc., 886 F.2d 1081,1086 (9th Cir.1989)、本件はそうではない。そういう場合以外は、登録証明書は有効な著作権を有することの推定を生ずる。参照17 U.S.C.§410(c); Micro Star v. Formgen Inc.,154 F.3d 1107,1109-10 (9th Cir.1998)

[* 9]

被告が提出した事実および法律に関する議論は、この推定を覆すものではない。なるほど被告がほのめかすように、原告の1998画像に対する所有権は、部分的にはその基となった写真の著作権の取得に依存している。1998画像は「二次的著作物」、すなわち部分的にラス・ベガス大通りの他の写真画像から引出された画像である。参照、17 U.S.C. §101 。[3]「二次的著作物の著作権は、著作権者がその二次的著作物の基になった資料を適法に使用した場合にのみ取得できる。」 Marshall A.Leaffer, Understanding CopyrightLaw     §2.9[C]1989.

本件において写真家 David Phillips は、1998年3月13日付の署名入り書簡の中で、同書簡によって「 Tiffany Design の Grant Gresserにラス・ベガス・ポスタ−[すなわち、1998画像]に属する一切の著作権を譲渡した」と述べている。参照、Gresser 陳述書の 証D)。署名入り書簡は、連邦著作権譲渡の要件を満たすものである。参照、17 U.S.C. 204(a); Effects Assocs., Inc. v. Cohen, 908 F.2d 555, 557(9th Cir. 1990)( 「著作権者がその所有権を他の者に移転することに同意する場合には、その者は著作権者にその旨の書面に署名をしてもらわなければならい。それはマグナ・カルタのようなものである必要はなく、形ばかりの1行の陳述で足りる。」)1999年4月8日、基礎となった著作物に対する原告の権利は「著作権の所有の譲渡の確認書」(参照、 Gresser陳述書の証F)が   Phillipsによって作成されて、一層強化された。参照、Magnuson, 85 F.3d 1424 at 1429(著作権譲渡を確認する文書の譲渡後の作成は、書面要件を満たすと判示)。

被告はまた、 Phillips [*11] の証言録取書の証言を提出して、重要事実の正式審理すべ

き争点を奇術を用いて作り出そうとする。同証言は、1998画像がその基礎となり得たかも知れないと主張されている約974 枚の写真とスライドのうち 57 枚は Phillips の作品ではなかったことを示している。(参照、被告反論書、Doc.#70 の証 7として添付の、     Phillips証言録取書 at 82-84, 91-110 )。その結果被告は、これらの著作者不明の写真といわれるものが1998画像に用いられたかどうかにつき、かつ原告がその写真の著作権を取得したかどうかについて、正式審理すべき争点があると主張する。この主張は取上げるに足りない。原告がその申立の根拠として提出した証拠は、1998画像の基となる著作物は Phillipsと Gresser両名の撮った写真から取られたものであることを示している。(参照 Gresser 陳述書補遺 P 2)。Phillipsの証言録取書の証言は、彼以外の者によって撮られた写真があることを示しているが、出来事についてのこの言い分とは少しも矛盾しない。従って当裁判所は、連邦の登録によって生じた著作権の有効性の推定を被告は覆すことができなかったものと認定する。

B。保護された表現の侵害

著作権侵害の一応有利な事件[反証がないか、不十分なら勝訴となる事件のこと]の第二要素は、被告による保護された表現のコピ−行為である。「コピ−行為」[*12] という語は本当は略称であって、著作権法106 条に述べられた著作権者の排他的権利の侵害のことである。参照、S.O.S.,Inc., 886 F.2d at 1085 n.3;次も参照、G.S.Rasmussen & Assocs v. Kalitta Flying Serv.,Inc., 958 F.2d 896, 904 (9thCir.1992) 。本件において原告は、被告が次の諸権利を侵害したと主張する。すなわち、(a) 著作権のある著作物を複製する権利、(b) その著作権のある著作物を基にして二次的著作物を作る権利、(c) その著作権のある著作物のコピ−を、公衆に販売またはその他の所有権の移転によって頒布する権利である。参照 17 U.S.C.§107(1)-(3)。これらの主張を処理するため当裁判所は2つの問題を取上げなければならない。すなわち、(1) 原告の1998画像は保護されるオリジナルな表現を構成するかどうか、(2) 被告の行為は、その表現の「コピ−行為」を構成するかどうか、である。後者の問題は、当裁判所による2つの異なるタイプの行為の検討を求めるものであって、それは被告による1998画像のコンピュ−タ・スキャニング、および不当と主張される二次的画像を被告が制作したことである。

1.保護される表現の一タイプとしての1998画像

両当事者とも1998画像が本質的にコンピュ−タで修正した写真であることには異論がな い。[*13] しかし被告は、この著作物の内容または構成要素が著作権法上保護される表現を構成し得ないという誤った主張をする。

写真は広い範囲の保護され得る要素を有し、それには対象のポ−ズ、照明、角度、フィルムやカメラの選択、面白い点を集め配列しての快い形像を創出、および望ましい表現や外観の喚起が含まれることは著作権法の初歩である。参照、Burrow-Giles Lithographic Co. v. Sarony, 111 U.S. 53, 60, 28 L.Ed. 349, 4 S.Ct.279 (1884) ;次も参照、Los

Angeles News Serv. v. Tullo, 973 F.2d 791, 794 (9th Cir.1992)(ビデオテ−プは、カメラ・レンズ、露出、ファインダーの透視および編集によって著作権性を持つと認定)。

Nimmerは、この測り方によってほとんどすべての写真画像は著作権の根拠となり、他の写真や著作物の丸写しを禁止するに足るオリジナリティ−を持つとするのが通説である、と述べている。1 Nimmer, Nimmer on Copyright 2.08[E][1](1998)。本件において、被告自身のグラフィック・ア−ティストが少なくとも1998画像の実質的[*14]部分をスキャンし、その要素のいくつかをグラフィック操作して、被告の侵害製品と主張されるものへ挿入する先行物としたことを認めている。(参照、Johnson 陳述書 at 54, 106)。両当事者はこの借用の正確な限度を争っているけれども、両者とも、少なくとも6個の建造物が先行画像から取られ、被告の製品に移されたことに異論はない。(参照、被告反論書 Doc.#70, at 16-17; 原告のサマリジャジメントを求める申立書 Doc.#58 at 22)。1998画像からその部分をスキャンしたことは、オリジナルな写真要素のコピ−行為を構成するであろう。

これに反する被告の議論は、厳密な吟味をすれば成立しない。被告はまず、有名なラス・ベガスの目印となる6か所をスキャンし操作したことは訴え得ない、何故なら「建築の著作物」の著作権者は、もしそれらを公的スペ−スから見ることができるのであれば、その建造物の絵画的表現物の制作または頒布を禁じてはならないからであると主張している。参照、17 U.S.C. §120(a)。この議論は連邦著作権保護の範囲の解釈を誤っている。「建築の著作物」という語は、建物または建造物のデザインのことをいっているにすぎない。参照、17 U.S.C.§101 。[*15] 故に、建築家は写真家がその建物の写真を制作することを禁じてはならないが、参照、R.M.S.Titanic, Inc. v.Haver, 171 F.3d 943, 970 n.5 (4th Cir.1999); Demetriades v. Kaufmann, 680 F.Supp. 658, 663(S.D.N.Y, 1988)その写真家のほうでは、その写真の著作権を確かに得ることができる。参照、例えば、Pagano v. Chas. Beseler Co., 234 F. 963, 963-64 (S.D.N.Y.1916)(ニュ−・ヨ−ク公立図書館とその周辺の写真に著作権を付与)。本件においては、争われている基礎となっている著作物は青写真とか建造物の平面図ではない。そうではなくて、有名なラス・ベガスのホテルやカジノの、原告のオリジナルな写真による、かつコンピュ−タ修正された解釈を表わす視覚の著作物である。著作権法120(a)条の援用は本件にはまったく当たらない。

当裁判所は、1998画像が著作権性のない「アイディア」を構成するという被告の議論にも同様に納得できない。(参照、被告反論書 Doc.#70, at 15)。なるほど著作権はアイディアのオリジナルな表現を保護するのみで、アイディアそれ自体は保護しない。参照、17U.S.C.§102(b); Mazer v. Stein, 347 U.S.201, 217, 98 L.Ed. 630, 74 S.Ct. 460(1954)。[*16]「故に、著作権のある著作物に含まれるアイディアは、その著作権のある表現が全面的に盗用されない限り、自由に使うことができる。」Allen v. Academic Games League of America, Inc., 89 F.3d 614, 617(9th Cir.1996) 。しかしながら、この規則に依拠することは当面の争点を誤解するものである。原告は、夜のラス・ベガス大通りの空からの画像を表現するというアイディアに著作権を得ようとしているのではな い。むしろ原告は、この光景の美術的表現の侵奪と主張するものを防ごうとしているのである。実際、本訴訟の基礎となっているのは、被告が大通りの被告自身の写真から取った画像に拠らなかったと言われていることなのである。

2。「コピ−行為」の事例としてのコンピュ−タ・スキャンされた先行画像

しかしながら保護され得る表現の存在の証明では、原告の侵害請求の分析は終わらない。次に当裁判所が決定すべきは、被告の行為が「コピ−行為」の訴求できる事例を構成するかどうかである。著作権事件においてはコピ−行為の直接証拠が得られることはめったにないから、連邦裁判所は通例、著作権のある著作物と侵害著作物と主張されるものとの間[*17] の一般的アイディアと表現の両者の実質的類似性とアクセスの情況証拠の検討に拠らなければならない。Apple Computer, Inc. v. Microsoft Corp., 35 F.3d 1435, 1442(9th Cir.1994)(Brown Bag Software v. Symantec Corp., 960 F.2d 1465, 1472(9th Cir,1992) を引用)。しかし被告が保護されている著作物のコピ−行為を現に認めている場合には、そのような基準に拠ることは適当ではない。Norse v. Henry Holt & Co., 991F.2d 563, 566(9th Cir.1993) 。

本件において原告は、1998画像の全部または少なくとも大部分を被告のコンピュ−タにデジタル化、すなわち「スキャン」した[4]ことを認める、被告のグラフィック・デザイナ−  Todd Johnsonの陳述書を提出している。(参照、McCue 陳述書 Doc.#51の証Aとして添付の Johnson証言録取書 at 54, 106-107 )。両当事者間には、1998画像が被告のコンピュ−タの RAMに少なくとも一時的には定着したことについて、異論がない。しかし被告が争うのは、その画像の部分の操作の先行物として或る画像をスキャンしただけでも、「コピ−行為」の訴求し得る事例を構成するという原告の主張である。[*18]

連邦著作権法によれば「コピ−」は「有形物で … それに著作物が、現在知られており、または将来開発される方法によって固定され、それからその著作物が、直接にまたは機械もしくは装置の助けを借りて、知覚、複製、その他伝達され得るものである。」17 U.S.C. §101 。対象物が「固定される」のは、「著作者によりまたはその許諾を得  て、複製物またはレコ−ドへの具象化が一時的以上の期間、知覚し複製しその他伝達できるに十分なだけ恒久的、安定的である場合である。」参照 同上。MAI Systems Corp. v. Peak Computer, Inc.,991 F.2d 511,518(9th Cir.1993) 事件において第9巡回区控訴裁判所は、技術者が恒久的記憶装置からコンピュ−タの RAMへコンピュ−タ基本ソフトウェアを無断で移したことが「コピ−行為」を構成したという地方裁判所の認定を支持した。同裁判所は、著作権のあるソフトウェアをコンピュ−タの RAMにロ−ドし、それがそのシステムのエラ−・ログを見てコンピュ−タの欠陥を診断することができる期間に亘る時は、それを「固定された」著作物とするに十分であると理由づけた。参照 同上。

被告の主張に反して、MAI 事件およびそれに倣う判例を適用[*19] することは、保護されているコンピュ−タ・ソフトウェアの侵害だけに止まらなかった。参照、例えば、Religious Technology Ctr. v. Netcom On-Line Communication Servs., Inc., 907 F.  Supp. 1361, 1367-68 (N.D.Cal.1995)( 宗教指導者 L.Ron.Hubbard の説教);Playboy  Enterprises, Inc. v. Webbworld, Inc., 991 F.Supp. 543, 551 (N.D.Tex.1997)(アダルト写真); Marobie-Fl,Inc. v. National Ass´n of Fire Equip. Distribs. and Northwest Nexus, Inc., 983 F.Supp.1167, 1177(N.D.Ill.1997)( 既製のコンピュ−タによる黒白と色彩グラフィック)。従って通説では著作権のある資料は、それがコンピュ−タ・コ−ドであろうと視覚画像であろうと、それをデジタル化またはインプットすれば侵害の認定の根拠となることができ、それがコンピュ−タRAM 中にほんの僅かな期間しか存在しなかったとしても関係ないとするようである。参照、Bruce A.Lehman, White House  Information Infrastructure Task Force, Intellectual Property and the National Information Infrastructure 65 & n.202 (1995); 2 Nimmer, 前出§6.08[A][1]( 「コンピュ−タへ或る著作物をインプットすることはコピ−を作る結果となり、故に … そのような無断インプットは著作権者の[*20] 複製権を侵害する。」)当裁判所は、被告が1998画像をスキャンし、この先行画像をコンピュ−タにインプットし、さらにグラフィック操作と自分自身の作品への挿入の準備をしたことは、法律の問題として著作権侵害行為を構成すると認定する。[5][*21]

3。「コピ−行為」の事例としての被告による二次的画像といわれるものの作成

しかしながら、異なる一群の関心事が、被告の侵害していると主張される著作物は二次的著作物を制作し、その著作物のコピ−を頒布する原告の権利を侵害したかどうかについての当裁判所の分析を支配する。第9巡回区控訴裁判所は、侵害する二次的著作物の存在を証明するためには、原告が被告の著作物は原告の既存の著作物から保護されている資料を実質的に取込んだものであることを証明しなければならないと判示した。参照、同上;

Allen v. Academic Games League of America, Inc., 89 F.3d 614, 617(9th Cir.1996) この立証責任を原告は果たしていない。

原告は次の判例などを引用してこの比較分析を回避しようとした。すなわち、Norse v. Henry Holt & Co.,前出、および Triad Systems Corp. v. Southeastern Express Co., 64 F.3d 1330 (9th Cir.1996)であって、これらの事件で第9巡回区控訴裁判所は、直接のコピ−行為の事件において実質的関係基準を避けた。しかしこれらの事件に依拠することは、当裁判所における本事件の事実的および法律的形態に照らして、誤っている。著作権のある資料の直接コピ−が侵害する著作物に挿入されている Norse事件や Triad事件の事情とは異なり、[*22] 両当事者ともに被告が1998画像から選んだものに手を加え、または変更を加えてから、それらを侵害著作物に挿入したことには異論がない。(原告のサマリジャジメント申立書 Doc.#58 at 8 と被告の反論書 Doc.#70 at 16-17 を比較せよ)。しかし両当事者は、これらの借用画像が変更された程度については激しく争っている。

被告は、スキャンされた建物の照明、外観、色彩、形状を根本的に変更し、その程度はスキャンされた基の要素とはもはや似ていない程だと主張する。(参照、反論書 Doc.#70at 17-18; Johnson 証言録取書 at 60-68 。)原告はこれに答えて、これらの変更にもかかわらず、原告の著作物と認められ得るスキャンされた要素の中には、いくつもの特徴が残っているという。(参照、原告の再反論書 Doc.#79, at 13; Burton 陳述書 PP 3-8。)「コピ−行為」を証明するために原告は、被告が現実に複製を行ったこと(すなわち、事実の問題としてコピ−行為を行ったこと)およびそのコピ−行為は、法律問題として訴求し得るものであることの両方を証明しなければならない。[*23]参照、4 Nimmer、前出

§13.03 。本件においては、被告が「実質的使用」(すなわち、侵害する二次的著作物)を構成するに十分な分量の1998画像から取ったと認められる要素を用いたかどうかの争点は、正式審理において決定されるべき事実問題である。[6][*24]

この結論は決して、被告の新しい議論を採用したという誤った解釈をされてはならない。それは、著作権のある写真またはその二次的画像はコンピュ−タ操作を用いることによって、事実の(すなわち、著作権性のない)構成要素に帰することができるという議論である。当裁判所は、写真からそのオリジナルな要素を何らかの方法で「取除く」ことができるものだという命題を支持する判例を知らない。実際、多くの判例はそのような切除は不可能だろうといっている。参照、例えば、Rogers v. Koons, 960 F.2d 301, 307(2d Cir. 1992)(写真著作物の本来的にオリジナルな面を強調する)。そうではなくて、基本的争点は照明、遠近法、陰影のような物の被告による変更が、スキャンされた画像の被告による使用を性質上、些事または認められ得ないものにする程に重要であったかどうかである。

C。先行画像のスキャニングに対する抗弁の妥当性

正式審理のできる争点の存在は、被告による二次的画像の作成に関して汚れた手と公正使用の積極的抗弁の分析をしなくてもよいとするけれども、当裁判所はそれでも被告が認める[*25] 先行画像の作成に関するこれらの抗弁の妥当性を決定しなければならない。サマリジャジメントを避けるために積極的抗弁を主張する当事者は、自己に有利な認定の根拠となるに十分な事実の立証責任を負う。参照、Exxon Corp. v. Oxford Clothes, Inc.,109 F.3d 1070, 1074(5th Cir.1997); F.D.I.C. v.Giammettei, 34 F.3d 51, 54(2d Cir. 1994)

1。汚れた手

被告の主張によれば、原告は 1995 年に発売された、ラス・ベガス・ダウンタウンの建物の、被告の著作権のある葉書の画像をスキャンして、被告の1997年製品(1997画像)中のその地区の原告のポスタ−と葉書の描写にダウンタウンの建造物を組込むことによって、原告自身著作権侵害を犯したというのである。汚れた手の抗弁の妥当性は、通常事実問題である。参照、Los Angeles News Serv., 973 F.2d at 799 。しかしこの抗弁は滅多に認められず、参照、同上、その主張された非行が、原告の主張する権利に直接関係がある場合に限って認められるべきである。参照、Fuddruckers,Inc. v. Doc´s B.R.Others,Inc.,826 F.2d 837, 847 (9th Cir.1987); Republic Molding Corp. v. B.W.Photo Utilities,319 F.2d 347, 349(9th Cir.1963) 。[*26]

原告が指摘するように、議論上 1997 画像の侵害性が真実であると仮定しても、被告はその非行がその翌年の著作物、すなわち 1998 画像に対する権利を原告が保護できるかどうかという争点にどのように関係しているかを証明していない。本件において、ダウンタウン・ラス・ベガスの、侵奪されたと主張される画像を取込んでいるという被告提出の唯一の証拠は、1998画像は1997画像の「二次的著作物」であるという著作権登録の記入のみより成っている。(参照、Gresser 陳述書の証Jとして添付の登録書)。しかし、この陳述は、原告の1998画像が背景や照明の要素を取入れたために、前年の著作物からの二次的著作物と名付けたという原告の主張と何ら矛盾しない。(参照、McCue 陳述書補遺、Doc.#77 の証Aとして添付の Burton 陳述書)。原告は1998画像が、その他の点では Phillips と

Gresser の撮った写真から作られたと、一貫して主張してきた。(参照、同上;Gresser 陳述書補遺 P 2。)サマリジャジメントに反対する当事者は、原告の事件に関して何か形而上学的疑問以上のものを証明しなければならない。参照、Matsushita Elec.Indus. Co., 475  U.S. at 587 。[*27]

2。公正使用

被告は同様に、その非行の主張に対する公正使用の抗弁の妥当性の立証責任を果たしていない。公正使用の法理は、著作権者の同意なく、合理的な方法で著作権のある資料を使用することを許している。参照、Harper & Row Publishers, Inc.v. Nation Enters., 471U.S.539, 549, 85 L.Ed.2d 588,105 S.Ct. 2218(1985) 。使用が公正であるかどうかを決定するために地方裁判所は、その使用の目的と性質、著作権のある著作物の性質、著作権のある著作物全体に対する用いられた部分の分量、および使用が著作物の売行き見込みや価格に及ぼす影響を検討しなければならない。参照、17 U.S.C. §107 。

a.使用の目的 

被告は、著作権のある資料をその完成作品中に使用したのは商事目的であったことを認めた。(参照、反論書 Doc.#70, at 21。)商事目的は不正使用の推定を生ぜしめる。参照、Sony Corp. v. Universal City Studios, Inc., 464 U.S. 417, 472, 104 S.Ct. 774, 78L.Ed. 2d 574(1984)、もっともこの推定は、行われた商事使用の諸特徴によって反駁できる。参照、Sega Enters.Ltd. v. Accolade, Inc., 977 F.2d 1510, 1522(9th Cir.  1992) [*28] (引用判例省略)。なるほど被告が主張するように、商業的コピ−行為が変更的目的のものであって、取って代わるためではない場合、そのような行為を裁判所が許すこともあろう。参照、American Geographical Union v. Texaco Inc.,60 F.3d 913, 921(2d Cir.1994) ;次も参照、Sega Enters.Ltd., 977 F.2d at 1522-23 (著作権のあるコンピュ−タ・コ−ドの中間的コピ−行為を公正使用と認めた。それは被告の意図が互換性のある、営利目的ではないソフトウェアを作ることであったからである)。しかし被告は、先行画像のその作成が非営利的、非競争的目的であったことは証明できなかった。本件において被告は、当裁判所によって以前に退けられた、2つの成立しない議論を提起している。すなわち、(a) 美術的視覚の著作物は「事実的」構成要素に帰し得ること、(b)コンピュ−タのRAM に画像をロ−ドすることはコピ−行為を構成しないということである。  参照、議論、前出。他に正当化する証拠がない限り、当裁判所は直接に競争的な製品を作るためにスキャンした画像を何らの抑制なく使用することは、本来的に営利的なものであると認める。参照、Los Angeles News Serv. v. Reuters Television Int’l, Ltd.,149  F.3d 987, 994(9th Cir.1998)(使用者が通常の対価を支払わないで商業的使用から利益を受ける立場にある[*29] かどうかという争点が、公正使用の第一要因の核心にあると述べる。)

b。著作権のある著作物の性質

第二要因は地方裁判所に、著作権のある著作物の性質の検討を要求する。参照、17 U.S.C.§107(2)。創造的な著作物は、もっと事実的または情報的な著作物よりも「意図された著作権保護の核心に近い」ところに存在する。参照、Campbell v. Acuff-Rose Music,

Inc., 510 U.S.569, 586, 127 L.Ed. 2d 500, 114 S.Ct. 1164(1994)。被告は、1998画像が単なる「事実の編集物であって、これに美術的表現を加えたもの」にすぎないから、市街地図にもっと近いという根拠のない議論を繰返している。(参照、反論書 Doc.#70, at 23) 。被告が、有体的媒体に地理上の目標物のある位置を示そうというアイディアは、著作権を受けることはできないと述べているのは正しいけれども、参照、Kern River Gas

Transmission Co. v. Coastal Corp., 899 F.2d 1458(5th Cir.1990)、地図のような媒体に編集された地理的事実を現実に描写したものには、正に著作権性があり、参照、17 U.S.C.§101(保護され得る絵画の著作物は地図を含むと定義する);U.S. v. Hamilton 583 F.2d 448, 451 (9th Cir.1978)[*30](地図で、編集された要素の選択が些末とはいえないものには著作権性ありと認定)。  上記のように、1998画像は有名な大通りの目標物の単なる「地図」以上のものを構成する。それはコンピュ−タで修正された写真で、照明、透視、陰影、対象物の配置など多数のオリジナルな要素を、著作権の根拠となるに足るほど持つものである。

c。使用された著作物の分量

公正使用の第3要因は「著作権のある著作物全体に対して用いられた部分の分量と実質  性」である。17 U.S.C.§107(3)。被告は、1998画像から「6個の建造物」をスキャンしただけだと主張するために証言録取書の証言を引用しているけれども、(被告の反論書Doc. #70 at 3-4) その証言を全部読むと被告のグラフィック・ア−ティストは事実上 1998 画像の全部またはほとんどをスキャンしたという自白が認められる。(Johnson 証言録取書 at 107 (「私は全部スキャンしました。ただそうしたのです。私はただ真実を求めているのです。」)と同上 at 106(「私はその山の麓から多分ルクソル(the Luxor)の底まで、だからその大部分をスキャンしたのです。そうなんです。」とを比較せよ)。このように被告は、この要因についても正式審理すべき争点を提起していない。[*31]

d。原告の売上げ見込みに対する影響

当裁判所が考察すべき最後の要因は、先行画像が著作権のある著作物の売行き見込み、または価格に対して及ぼすであろう影響である。参照、17 U.S.C. §107(4)。頒布されないスキャンされた画像そのものは明らかに売行きに直接影響しないけれども、被告の完成品の中にその構成部分を組込むことは、ラス・ベガス大通りの原告の画像の商業的需要に大きな影響を及ぼすであろう。原告が指摘するように、被告は先行画像の被告による使用が原告の売行きに影響を与えなかったという証拠を全然提出していない。従って、被告はその要因についても審理すべき争点を提起していない。

V。結論

故に次の通り決定する。 原告 Tiffany Design, inc. および Grant Gresserの一部サマリジャジメントを求める申立(Doc.#58)は、被告 Reno-Tahoe Specialty, Inc. がスキャンされた先行画像を作成したことは、著作権法 106(1) 条により原告の著作権のある著作物を複製する排他的権利の侵害を構成するものであるとの認定を求める限りにおいて、これを認める。[*32]

更に次の通り決定する。原告の一部サマリジャジメントを求める申立(Doc.#58)は、被告のポスタ−、葉書、カレンダ−および地図への、この先行画像のスキャンされた要素の被告による組込みと主張されるものが、著作権法 106(2)-(3) 条により原告の二次的著作物を作成し、その著作権のある著作物を頒布する原告の排他的権利の侵害を構成するという認定を求める限りにおいて、これを却下する

日付: 1999年7月9日

PHILIP M.PRO

連邦地方裁判所裁判官                              



[1] 「ラス・ベガス大通り」は、単に「大通り」とも呼ばれ、ラス・ベガスの最も有名なカジノや盛り場が多くあるラス・ベガス・ブルバ−ドの4マイルのことである。[* 3]

[2] 「職務上の著作物」とは(1) 従業員の作った著作物か、(2) 集合著作物に寄与する部分として、視聴覚著作物の一部、翻訳、付随的著作物、編集著作物、教科書、試問または関連資料、または地図として、特に委託された著作物かのいずれかである。参照、17 U.S.C. §101 。1998画像はこの2つの範疇のいずれにも属さない。

[3] この条文は次の通りである。 

「二次的著作物」とは、翻訳、小説化、映画化、録音、美術複製、抄録、要約、その他著作物を改作し、変形し、または翻案することができる形式など、既存の1または2以上の著作物を基礎として作成される著作物をいう。「二次的著作物」は、改訂、注釈、改良、その他の変形から成る著作物であって、全体としてオリジナルな著作物を表すものである。

参照、17 U.S.C. §101 。

[4] スキャナ−は画像を捕らえ、デジタル形式に変換し、それによってコンピュ−タ記憶とグラフィック操作を可能とすることができる装置である。参照、コメント、If This is the Global Commu-nity, We Must Be on the Bad Side of Town: International Policing of Child Pornography on the Internet [「もしここが全地球社会だとすれば、我々は町の悪い側にいるに違いない:インタ−ネット上の、児童ポルノの国際的取締」]20 Hous. J.Int´l L.205, 213-14 (1997)。

[5] なるほど、少なくとも或る注釈者はデジタル化された「中間コピ−」の作成(すなわち、著作権のある画像を操作または変更する目的でデジタル化すること)の責任を認める判決は、21世紀には美術的表現を冷却することになりかねないと述べた。参照、Jeanne English Sullivan, Copyright for Visual Art in the Digital Age: A Modern Adventure in Wonderland, 14 Cardozo Arts & Ent.L.J. 563, 586(1996)(「マルチメディア美術は … どんな画像でも、視る者の選択に従って別の画像に変形または変換する際、ほんの短い期間写されても著作権のある著作物のコピ−になるとすれば、侵害的になり得るであろう。表現的著作物をスキャンし、その上でグラフィック・プログラムを用いてそれを抽象的なものにすることによって、その合成物を変更しまたはさらに特徴を加えることは、侵害となるかもしれない。何故なら第一段階が複製権に関わるであろうからである。」)しかしながら、そのような心配は既存のオリジナルな表現を守る必要によって相殺されるにちがいない。

[6] 原告が争うように、1998画像の無断の二次的著作物の頒布もまた 1998 画像の排他的頒布権を侵害するかどうかは明らかではない。1976年連邦著作権法によれば、著作権者は「著作権のある著作物のコピ−またはレコ−ドを販売その他の所有権移転または賃貸または貸与によって公衆に頒布する」排他的権利を有する。17 U.S.C.§106(3)。Nimmerは「頒布」という語は同法で用いられている「発行」という語とほぼ同義語であると論じた。参照 2 Nimmer,前出§8.11。同注釈者は 彼として二次的著作物の発行もまた、それが基礎とする既存の著作物の発行を構成するのではないかと述べている。参照、1 Nimmer, 前出§4.12[A] 。しかし当裁判所で現在審理されているような、二次的著作物の無断製造販売の主張に関する事件においては、原告は通常複製および二次的著作物に関する106 条の規定にのみ焦点を当てる。参照、例えば Dr. Seuss Enters. v. Penguin Books USA,  Inc., 109 F.3d 1394, 1397(9th Cir.1997); Mirage Editions, Inc. v. Albuquerque A.R.T.Co., 856 F.2d 1341, 1343(9th Cir.1988) 。しかしながら、被告が現実に侵害する二次的著作物を制作したかどうかについての正式審理をすべき争点が存在する以上、この問題は今解決されなくてもよい。