●調査研究報告書● |
2014.6.26
SOFTIC 25-1
ソフトウェア関連発明の特許保護に関する調査研究報告書―平成25年度―
1.大阪地裁平成24年9月27日 [組み合わせ薬剤大阪地裁事件判決]、東京地裁平成25年2月28日 [組み合わせ薬剤東京地裁事件判決]
原告が有するピオグリタゾン塩酸塩の先行特許の期間満了を受け、被告らはピオグリタゾンを含有する製品の製造販売を行った。この行為は原告の本件特許(ピオグリタゾンとα−グルコシターゼ等他の医薬とを組み合わせてなる医薬)を侵害するとして、被告製品の製造販売の差止及び損害賠償等を求めたケース。
裁判所は、被告らの各製品は「物の生産に用いる物」に当たらず、被告らの行為について101条2号の間接侵害は成立しない。同様の理由によって直接侵害も成立しない等とした。
2.東京地裁平成25年2月28日判決 (平成23年(ワ)第38969号)
原告製品の生産、譲渡、輸入などの行為は、被告が有する発明「移動通信システムにおける予め設定された長さインジケータを用いてパケットデータを送受信する方法及び装置」(特許第4642898号)の特許権を侵害しておらず、被告に、本件特許権侵害に基づく損害賠償請求権がないことの確認を求めた事案。被告の本件特許はFRAND宣言に基づく標準規格必須宣言特許である。裁判所は、FRAND宣言がなされた標準規格必須宣言特許について、FRAND条件でのライセンス契約締結準備段階における重要な情報を相手方に提供し、誠実に交渉を行うべき信義則上の義務を追うものであり、かかる義務に違反する場合は権利濫用ににあたるとして、原告の請求を認容した。
3.CLS Bank International対ALICE事件 CAFC大法廷(2013.5.10判決)
「リスク管理契約の定式化及び取引に関する方法及び装置」に関する特許について、2010年のBilski連邦最高裁判決で示された規範に基づいて、その特許適格性が争われた。 CAFC大法廷は、方法クレーム及び媒体クレームについては、7対3で特許適格性を否定し、システムクレームについては、5対5で特許適格性を否定した。
4.Ultramercial 対 Hulu, Wildtangent事件 CAFC(2013.6.21判決)
インターネットを介して著作権が付着したたコンテンツを配信し、消費者は広告の閲覧と引き換えにコンテンツを受信し、広告主はコンテンツの対価を支払う方法に関する特許について、保護適格性が争われた。CAFCは、保護適格性は肯定したものの、対立する判断基準のそれぞれによる判断が多数意見と同意意見によって示された。
5.東京地裁平成25年10月17日判決(平成23年(ワ)第21126号)
「Web-POS方式特許」の専用実施権者である原告が、被告が提供するショッピングモールのシステムが本件特許を侵害するとして損害賠償を求めたケース。
裁判所は、被告システムの実施態様1は、構成要件A、C及びTに記載された各プログラムの実行手順及び実行内容を充足するとは言えない等として、原告の主張を棄却した。
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