実際、昨年の最高裁判決で示された著作物の利用主体の判断基準は、クラウドビジネス一般とどのような関係になるかが不明確であり新規ビジネス立ち上げに躊躇する大きな要因になっているとも考えられます。

　　また、著作権法上の問題に限らず、健康食品や医薬品のネット販売と薬事法の関係、ソーシャルメディアを利用した電子商取引と関連業法との関係、ネットを利用して金銭貸借の媒介を行うソーシャルレンディングと貸金業法、出資法等との関係、電子決済業務と金融関連法規の関係等、これまでになかったビジネスモデルであるだけに、従来の法的枠組みでは捉えきれない側面があることも否定できないところです。

　このような中、ソフトウェア情報センターは「新たなネットワークビジネスに関する法的問題研究会」を設け、以下の５分野について、それぞれに考えられる種々の法的問題を検討整理し、その成果を出版*することとしました。

*書籍「クラウドビジネスと法」本年８月上旬発行予定

皆様の奮ってのご参加をお待ち申し上げます。

◇基調講演「クラウドと知的財産権」

北海道大学教授　田村善之氏　

１．講演（執筆者）

i. クラウドコンピューティング（総論）･･･弁護士 上沼紫野氏（虎ノ門南法律事務所）

ii. クラウドコンピューティング（各論）･･･弁護士 岩原将文氏（水谷法律特許事務所）

iii. 電子書籍と法的諸問題･･･弁護士 村尾治亮氏（東啓綜合法律事務所）

iv. ネットワークと著作権−コンテンツ利用を巡る諸問題･･･弁護士 井口加奈子氏（スクワイヤ・サンダース・三木・吉田外国法共同事業法律特許事務所）

v. ソーシャルメディアを利用した電子商取引の法律問題−オンラインゲーム、共同購入クーポン、ソーシャルレンディング等･･･弁護士 森亮二氏（英知法律事務所）

vi. EC電子決済−クレジットカード決済、決済代行サービス･･･弁護士 赤尾太郎氏（赤尾・花崎法律事務所）