ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー2003
の発表について

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ニュース・リリース 平成15年(2003年)10月11日
財団法人 ソフトウェア情報センター
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後援: 経済産業省    朝日新聞社  日刊工業新聞社

財団法人 ソフトウェア情報センター(略称:SOFTIC 理事長:安西 邦夫)では、ソフトウェアの開発意欲を高めることにより、多くの良質なソフトウェア製品の供給を促進し、利用者の関心を高めつつ利用の促進を図り、さらに、ソフトウェア・プロダクト市場の拡大及び充実を促進することを目的として、優れたソフトウェア・プロダクトを表彰する制度を設けております。本年度は、次の4プロダクトを表彰することに決定しましたので発表します。

[システム分野](1件)

AD−POWERsR(エイ・ディー・パワーズ)
     
大日本印刷株式会社

[ビジネス分野](1件)

サイボウズ ガルーン
                    
サイボウズ株式会社

[エンジニアリング分野](1件)

高速・高安定型連立一次方程式計算ソルバSuper Matrix Solver
 
株式会社ヴァイナス

[ソーシャル/ライフ分野](1件)

携帯用会話補助装置 トークアシスト
        
明電ソフトウエア株式会社

 


表彰ソフトウェア・プロダクトの概要及び選定理由

1.システム分野

(1) プロダクト名称
AD−POWERsR(エイ・ディー・パワーズ)
(販売開始 2003年5月  価格 199,800円)
(2) 申請会社
  大日本印刷株式会社 (代表取締役社長 北島義俊)
http://www.AD-POWERs.jp
http://www.DNP.co.jp
(3) 概要と選定理由
ネットワークに接続しているパソコンのなかで遊休となっているものを検出し、アプリケーション処理を複数のパソコンで分担させて実行するグリッド・コンピューティング・システムを構築・運用するためのプロダクトであり、グリッドシステムを構築するミドルウェアと、アプリケーションの開発サポートツールにより構成されている。
ミドルウェアは処理の分割・指示、結果の回収を行うマスタ用と、実際に処理を実行するスレーブ用に別れており、スレーブ用のパソコンがスクリーンセーバの状態になると、マスタ用のパソコンがこのパソコンに対してアプリケーション処理の実行を依頼する方式をとっている。
開発サポートツールは、アプリケーション開発用のテンプレートなどで構成されており、このテンプレートに沿って必要な部分を書き加えるだけで、簡単にグリッド対応させることができるようになっている。
従来は、極めて複雑な構成をとり、その運用も高度な技術が必要とされたグリッド・コンピューティング・システム分野であるが、小規模のグリッドシステムを簡便に構築・運用することを目的にしたプロダクトである。このため、対象OSをWindowsとし、既存のシステム環境を活用して、極めて安価に構築する事が出来るようになっており、一般の企業でも高速演算処理の実行や月次処理のピーク解消などに幅広く活用することが見込まれ、導入効果も期待されることが評価され、選定された。


2.ビジネス・アプリケーション分野
(1) プロダクト名称
  サイボウズ ガルーン
(販売開始 2002年9月  価格 600,000円(50ユーザ)から)
(2) 申請会社
サイボウズ株式会社  (代表取締役社長 高須賀 宣)
http://g.cybozu.co.jp/
(3) 概要と選定理由
社内システムとの連携や社外システムからのデータ収集機能を強化したポータル型のグループウェアであり、ポータル機能とグループウェア機能により構成される。
ポータル機能は、データ連携機能、LDAP連携などにより、社内外の情報システムとシームレスに連携することができ、かつ、利用者ごとに必要な情報を取捨選択できるようになっている。
グループウェア機能は、スケジューラ、掲示板、電子決裁、アドレス管理などの基本機能に加え、携帯電話やPDAからアクセスできるモバイル機能を備えている。また、利用者ごとにカスタマイズできるトップページにより、利用者にとって直感的で使い易いユーザインタフェースを実現している。
社内外の情報システムと連携して、利用者の職務や役職に応じた適正な組織内外情報の入口(ポータル)を安価に実現することができ、運用効果も見込まれ、今後の普及が期待できることが評価され、選定された。

3.エンジニアリング分野
(1) プロダクト名称
  高速・高安定型連立一次方程式計算ソルバ Super Matrix Solver
(販売開始 2002年9月  価格 40万円〜 )
(2) 申請会社
株式会社 ヴァイナス (代表取締役社長 藤川泰彦)
http://www.vinas.com/seihin/sms/index.html
(3) 概要と選定理由
流体解析、構造解析、電磁場解析などの解析計算において生成される連立一次方程式を高速・高安定に計算できるソフトウェアモジュールであり、CAE分野、科学技術計算分野などの広範なアプリケーションに組み込んで使用することができる。
独立行政法人航空宇宙技術研究所が開発した基礎理論を基にして、独自に計算アルゴリズムを開発/改良し、初めて製品化に成功したものであり、従来の解法に比べて数10〜数100倍の高速計算が可能になった。かつ、大規模な計算問題でも反復回数が増加することなくほぼ一定の計算時間で結果を得ることができるため、大規模な問題には極めて有利な特性をもっている。
極めて地味な分野のソフトウェアで、一般の利用者がこのソフトウェアを直接利用することは少ないが、Windows、LINUX、UNIXなどで動作する広範なアプリケーションに組み込まれて利用され、各アプリケーションの処理速度が格段に向上するばかりでなく、大型化・詳細化する解析対象に対する更なる対応が期待できるようになったことが評価され、選定された。


4.ソーシャル/ライフ分野
(1) プロダクト名称
  携帯用会話補助装置 トークアシスト
(販売開始 2002年3月  価格98,800円)
(2) 申請会社
明電ソフトウエア株式会社 (代表取締役社長  八木啓行)
http://TalkAssist.meidensoftware.co.jp
(3) 概要と選定理由
発達障害、運動障害、聴覚障害、失語症、発声機能障害などによる失声によってコミュニケーション障害を有する児童の意思疎通と、社会的自立を支援することを目的に開発されたコミュニケーションエイドであり、市販の携帯情報端末で動作する携帯用会話補助装置とWindows上で動作するカスタマイジング用ソフトウェアにより構成されている。
静岡県立こども病院と静岡工業技術センターの協力を得て、コミュニケーション障害を持つ、学齢に達した児童が常時携帯し、周囲の者とコミュニケーションを確立することを目的として製品化されたものである。
携帯用会話補助装置の画面上にある直感的で分かりやすいシンボルに触れることで、使用者に代わってシンボルに対応する言葉を音声で発したり、また、使用者が日々の生活を通して自立を支援するための『タイマー』『スケジュール』などの機能も設けている。
出荷時は基本的な317語を搭載しているが、使用者が成長するにしたがって必要となる用語のシンボルや写真および音声をパソコン側で編集し、携帯型会話補助装置に転送できるようになっている。
利用する児童の実情に沿って商品化がなされ、また、児童の成長にあわせて進化させるための機能も具備されており、普及が期待されることが評価され、選定された。
以上

 


ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー2003の選定について

1.募集方法
表彰の候補対象となるプロダクトは、次の情報関連団体等のご協力を得て募集した。

協力団体: 社団法人 情報サービス産業協会
財団法人 データベース振興センター
社団法人 電子情報技術産業協会
社団法人 日本オフィスオートメーション協会
社団法人 日本システムハウス協会
社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
社団法人 日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会
社団法人 パーソナルコンピュータユーザ利用技術協会

今回の募集は、次の4分野に分けて行った。
@システム分野
Aビジネス・アプリケーション分野
Bエンジニアリング分野
Cソーシャル/ライフ分野

2.審査・選定方法
学識経験者・有識者で構成されたソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー選定委員会(委員長:鵜澤 昌和「うざわ まさかず」 青山学院大学名誉教授)及び選定ワーキンググループで、国内開発、海外開発を問わず、平成15年に国内で販売されているもので申請・推薦のあったプロダクトを対象に、次の選定基準により資料審査及び実演審査を行い、表彰プロダクトを選定した。

@コンピュータ利用の高度化・拡大化に資するもの
A社会・公共活動に貢献するもの
B新技術を採用し、新たなコンピュータ利用分野を開拓したもの
C他のプロダクトに好ましい影響を与えたもの
D今後の情報化社会の進展に方向性を与えたもの
E今後の発展・拡張が見込まれるもの

 

 


shima@softic.or.jp